停滞
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[苍炎轨迹同人] 信
手紙
ご無沙汰しておりました。いかがお過ごしでしょうか。 『任務に就いている間は手紙など寄こさなくても良い』とお叱りになるかもしれぬとは私も重々承知しております。しかし、こちらも一段落いたしましたので、近況を報告させていただきたいと存じます。
部隊に配属され、半月がたちました。本格的な訓練も始まりましたが、私は問題なくすべての教練をこなしております。入隊時には顔と名前も一致しなかった同輩達ですが、今はその技量や考え方も徐々にわかって参りました。その中で戸惑ったのは、竜を意のままに御し、武器を巧みに操る者が必ずしも高潔な志の持ち主ではないということでした。愚痴を言うようで申し訳ありませんが、教練では誠に騎士らしい優れた動きをする者が、権力至上の志向を持ち、あまつさえそれを他者の前で堂々と公言したり、軍の規律を躊躇もせず破るのに驚かされました。逆に、市井の人々の為に力を尽くしたい、と誠実に思っているものが竜や槍を扱う技量が低かったりもします。 このような実情を知っていらしたため、私が騎士になることを反対なさったのでしょうか。しかし、私は騎士となったことを悔いてはおりません。隊長殿は信頼に足る方ですし、私は常に範となる真の騎士の姿というものを心の中に持っております。 騎士たる資格を持たぬとしか思えぬ数名の同輩を改心させるには、しかし私は全く技量が足りません。同輩であり、しかも女である私が心技共に優れた竜騎士となる他に彼らの非を正すことはできないように思いますのに。 「力を尽くせ。しかし手柄に拘るな」 との言葉をもって送り出していただいた私ですが、代々竜騎士として名を馳せたフィザット家の血を引くものとして、私はこの戦乱を収束するために微力ながらも力をつくし、父祖に恥かしくない功なり名をあげて帰還するのが使命と思うようになりました。 騎士になりたいと言った私を中々許して下さらなかったあなたは、しかし最後には 『守ろうとする者を守り、己の信ずる道を行くように』 としっかりと私の目を見ておっしゃいました。私はあなたの言葉に応えたいと思います。すなわち、私の守ろうとするものはこの世界、我が国、特にダレルカの大地であり、私が信ずる道とは真の騎士に通じる道なのです。
まだまだ竜を手足のように駆ることもできぬ若輩者ではありますが、私はあなたに誓いたいと思います。 フィザットの名を辱めることのないよう、誇りと名誉を胸にいつも戦うことを。
遠い空からあなたの健勝とご多幸をお祈りしております。
あなたの娘より
追伸:お父様に、戸外での居眠りは控えるようにとお伝え下さい。そろそろ寒くなってまいりますので。
愛するジルお母様へ
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[楼 主]
辽宁 |
Posted:2006-01-19 10:26| |
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