火花天龙剑 -> 外语学园 -> 要不怎么说搬运工不好当呢。累人呀

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-22 13:12
差し伸べる手

 「暇を取らせてくれ······だって?」

 “聖戦”と称された戦いが終結して3ヶ月。レンスター城の玉座の間で、青い髪の槍騎士は、即位したばかりの少年王の問いかけに対してゆっくりと深く頷いた。

 「はい。·····」

 リーフは、長年自分を護り育て、今は補佐役をしている家臣をじっと見つめた。

 「········わかった。········しかし、王として命じる。どんなに時が過ぎてもいい。何年かかっても必ずここに帰ってきてくれ。いいな。フィン。待っているぞ。」

 それ以上リーフは何も訊ねなかった。どこに行くのか、何の為に行くのかすら。

この槍騎士はずっと自分に影のように付き従い、己を殺してよく仕えてくれた。彼から何かを頼まれるのは、実にこれが初めてのことだといってもよかったのである。本音としては、まだまだ至らぬ身である自分をずっと補佐していて欲しい。しかし、それを望んでもよい子供の時代はずっと昔に通り過ぎた。リーフは自分の後ろに立っている姉の方をちら、と見た。アルテナは微笑んでいた。

 「フィン、あなたの思うままに。私もあなたの帰りを待っています。·····どうか無事に。」

 槍騎士は深く一礼した。


  **********


 砂漠はあの時と同じく、熱い風が砂塵を吹き上げていた。
 フィンは当時の兵の報告を書き付けた羊皮紙をもう一度見、顔を上げて周囲の様子を見渡した。
 遥か北、シレジア山脈の最高峰を真正面に見、西のフリージ城を真横に見る位置·····間違いない。ここが彼の主君とそのお妃·······いや、心の内では兄や姉とも慕っていた、レンスターのキュアン王子とその妻エスリンの終焉の場所だ。·······親友であるシアルフィのシグルド王子のために兵を出し、キュアンはこの砂漠を横断しようとしていた。そこをトラキアの竜騎士部隊が襲ったのだ。砂に足を取られ、馬は思うように動けず、神々の武器の一つと讃えられし地槍「ゲイボルグ」を携えた神々の血をひきし聖戦士の一人キュアンもなすすべなく竜騎士の餌食となり、彼のそばにいた、エスリンも命運を共にした。

 あのとき自分は共にいることができなかった。

 キュアンの従者であったのに。その命はキュアンといつも一緒であると誓いをたてていたのに。
 護ることも······戦うことすらできなかった。
 もうあれから二十年近くたつのだ·······

 槍騎士は馬の鞍の物入れから、小さな枝を取り出した。

 押し花にしたリンゴの花。······レンスター城の果樹園から運んできたものであった。エスリンはこの花が好きであった。

 フィンは跪くと素手で砂を掘り、丁寧に花を埋めた。·······風は砂を飛ばし、いつかまたこの花を地表に現すことになろう。そして時がたてば、花は乾き、細片となり、砂と違いがわからなくなるまで細かくなって、風と共に舞うだろう。

 「······さあ、いくぞ。」

 愛馬に声をかけその背に跨ると、槍騎士はオアシスの村にゆっくりと歩かせていった。もう一つの心残りを精算するために·······わからなくとも、わかろうと最大限の努力をするために。


 オアシスの宿は賑わっていた。殆どがラクダを連れた商人達の中にあって、砂色のマントを目深に被っているとはいえ、物腰から軍人であることがわかってしまうフィンの回りには人々は寄ってこない。

 すべてを見届けるまでは、と酒を断って水を飲む槍騎士の脳裏に、レンスターを後にし、息子が待っているはずのイザークへと単騎で向かった気丈なノディオンの姫の姿がくっきりと浮かぶ。一人で行くのは危険だ。せめて自分を護衛として連れて行ってくれ、と言った自分をラケシスは叱った。

 (フィン。あなたはレンスターの騎士ではありませんか。ならば、ここに留まり、城と主君の忘れ形見を守るのが務めのはず。一緒に来てはいけません。どうしても来るというのなら、ノディオンの第一王女として貴方に来てはならぬと命令します。)

 そう、凛とした声でいうと、まだ幼かった彼女の子のナンナをフィンに託し、彼女は出立してしまった。

 ·····もしも無事に砂漠まで来たならばこの町に寄っていらしたはずだが。

 女の一人旅、ましてやあれだけの美姫だ。立ち寄ったならきっと覚えている者がいるはずだ。

 「ご主人·····」

 槍騎士は酒場の亭主に声を掛けようとして、カウンターの上にあるものを見てはっとした。主人の背後にある古びた棚。そこには本物と見間違うばかりの、毛の一本一本が精巧に彫り込まれたネズミの石細工が置かれていた。
 石細工に目を釘付けにするフィンに、亭主はにやっと笑った。

 「旦那もこれに気づきなすったか。····見事なもんでがしょう?」

 「本当にな·····まるで生きているように見える。······大きな都でもこのような細工物は見たことがない。これをどこで。」

 亭主は、客に何度も訊ねられたことがあるのだろう。得意げに淀みなく話し始めた。

 「ずいぶんと前のことになるね。そうさなあ、あの“バーハラの悲劇”が起こってからあまり経ってはいなかったね。けちな野郎がやってきて、この細工物を取り出して、買ってくれというんだよ。男の様子で盗品だということはすぐにわかったね。どこで盗ってきたんだと聞いたら、砂漠の神殿·····イードっていったけか?あの近くの別の神殿のような場所に転がっていたって言うんだ。重くて運べなかったが、石になったラクダもあったと言ってたな。」

 「石に·····なった?」

 「ああ、やっこさんの話じゃそうとしか思えないんだ。もっとなにかお宝があるんじゃないかと思って奥に進んで見たんだが、なんかこう、手足がまさに石のように重たくなってくる感じがして、慌てて引き返したんだそうだ。······物騒な奴だったよ。高い値段をふっかけてきて、それじゃとても買えんといったら腰から刀を抜いて脅してきて······あんとき、そら、あっちのテーブルで酒を飲んでいた金髪の傭兵の旦那が居なかったら、俺は大金ふんだくられてたね。·······傭兵の旦那は、あっちから短剣をひょいと放って来て·····盗賊野郎の額当てを見事に切り裂いたんだぞ。盗賊は悲鳴をあげて、この石像も放り出したまま逃げていったのさ。いや、腰に刺した使い込まれた銀の大剣といい、ありゃ、さぞかし高い賃金を払わないと雇えない旦那だな、と思い、お礼がてら旦那の値段を聞いてみたら「俺は雇われるには10000ゴールドは貰ってたな」と無造作に言うじゃないか!」

 フィンは体をぐい、と乗り出した。

 「その傭兵、それからどうしたかご存知ではないですか。」

 その瞳に宿った強い光に店主は反射的に背筋をピンと伸ばした。

 「······あんたの知り合いなのかい?·····盗賊が言っていた神殿のことを話したら、血相を変えて飛び出していったよ。そこに仲間がいるとかなんとか訳のわからないことを言って。」

 ······おそらくその傭兵はラケシス王女の夫であった傭兵ベオウルフに違いない。そして·······彼は嘗ての戦友たちを救いにいったのだ。·····フィンも聞いたことがある。イード砂漠のどこかに、神々の血をひく聖戦士たちの幾人かが石像にされて閉じ込められているという噂を。·····さきの戦いで剣をともにしたエーヴェルも暗黒司祭マンフロイの邪悪な魔法により一度石像にされた。·····こうしてネズミの精緻な像を前にしているとますますそれは本当のことのように思われた。

 「····一体あそこには何があるっていうのかねえ。俺なら絶対に危ない場所にはいかないがね。あの傭兵の旦那といい、べっぴんの女といい、話を聞いた途端出て行ってそのまま帰って来やしねえ。悪いことはいわねえ、青い髪の兄さん。あんた、行く気だろ。顔に出てるぜ。やめとけやめとけ。何があるかは知らねえが、命あってのものだねだよ。」

 べっぴんの女!?······!·····フィンは気づくと店主の胸倉を掴み締め上げその女性の風体を事細かに問い詰めていた。次の瞬間、はっと我に返り、店主から腕を外し、一礼する。

 「いいってことさ。·····あの戦争で、あんたも苦労したんだろうさ······でもね、兄さん、もう一度いう。·······その場所を探そうなんてことだけはやめておきなよ。」


 その言葉は槍騎士の耳には入ったが、心には届かなかった。

 バーハラの悲劇を生き伸びたもののうちの2人、ベオウルフとラケシスは確かにここに来て、その石像が並んでいるという神殿に出発したのだ。······自分も行かねばならない。キュアンやエスリンはもう蘇らせることはできない。しかし·····もしかしたら嘗ての仲間達を助けることはできるかもしれないのだ。·······ユリウス皇子との戦いの中、自分は一度命を落とした。しかし、聖杖バルキリーの力で蘇った。あのとき、バルキリーの力を解放してフィンを救った少年司祭コープルはこういった。“ブラギの神は、理由なくして死者を蘇らせることはなさいません。···フィンさん。あなたはこれから重要な役目を果たすことになるでしょう。あなたにしか出来ない役目を····”

 これが自分の役目、課せられた使命なのかもしれない。

 フィンは食料と水を馬に積むと、イードに向かって一直線に進んでいった。




  **********

 それからしばらくたったある日、レンスター城には珍しいお客が来ていた。リーフを助けて傷病兵の看護をしてくれたこともあるシスター見習いの少女ティナだ。今は、マンフロイの孫であるサラ王女の友人として、元はロプト教団の魔道士であったセイラムという青年と3人で、王都から少し離れた森にある館でひっそりと暮している······といっても、お喋りなティナや、セイラムの友人であった義賊団“ダンディライオン”の度々の来訪により、無口であったサラも少しずつ笑顔を見せ、活発になってきていると聞く。

 謁見の間の隣の私的な応接室で焼き菓子を食べて居たティナは、リーフ、ナンナ、そしてアルテナが揃って入ってくると口の中の菓子を急いで飲み下して椅子から降り、深々と一礼した。ふわふわした翠の髪が揺れた。

 リーフがくすっと笑う。

 「ティナ。他人行儀は止してくれないかな。·····君がかしこまっているのを見ると、なんだか 僕の調子が狂ってきちゃいそうだ。ここは正式な謁見の間じゃないんだから。·······それとも僕に相談しなければいけないような酷い失敗でもしたの?」

 ティナはブンむくれた。

 「王子様ッ!あ、もう王様だったッ!いくらあたしだって、そうしょっちゅう失敗ばかりしているわけじゃありませんッ!·····その·····まだまだ回復の杖の発動は5回に1回ミスしますけど。」

 ティナの“回復の杖の発動失敗”には何度も泣かされたことのあるリーフは、失敗したティナを補助するように杖を振るっていたナンナと目を合わせて苦笑した。そこいらへんの事情を弟から何度も聞かされていたアルテナもくすくすと笑う。

 「それより、今日は本当にどうしてここに?あ、特別な理由がなくても来てくれると嬉しいんだけど、何かあったのかい?」

 ティナはじっとアルテナを見つめた。そしてもじもじしながら言う。

 「あ、あ、あの、アルテナ様。サラがアルテナ様にお会いしたいって!」

 アルテナは首を捻った。サラとは何度も話をし、感情を表わすのが不器用ではあるけれど気持の優しい良い子だとわかってはいたが、特に親しいわけではない。呼ぶならリーフの方ではないだろうか。

 「·······何か御用なのかしら。」

 「え·····っと。よくわかりませんけど、すぐにお会いしたいって。それから·····しばらく泊まっていって下さいませんか·····って。」

 急な申し出だが、もしかしたら重要な相談事なのかもしれない。いや、政務が急激に増えてきたリーフの身を慮ってリーフを呼ばないだけのことかもしれない。······寂しそうな目をした儚げなロプトの姫を思い起こし、アルテナは頷いた。

 「リーフ、行って来てよいでしょうか。」

 少年王は頷いた。姉にはいろいろと政務を手伝って貰っているが、本来はリーフの仕事だ。暫く骨休めして欲しいと彼も感じていたところだったのだ。

 「それではすぐに馬車を用意して····」

 ティナの目がまん丸になった。

 「あのッ!アルテナ様の竜にも会いたい·····ってサラが······あ、あと····またゲイボルグも見たいかな·····なんて····」

 ·····何か不自然だとは思ったが、アルテナは頷いた。

 「そうですね。気分転換をするためには、竜におのせするのがいいかもしれませんね。馬車を仕立てるよりも竜で行った方が早いし·······それに、何より、窮屈なドレスを着ないで済みます。」

 アルテナの言葉にはあっと息をつくティナにますます不審な思いを募らせはしたが、アルテナはすぐに準備を始めた。


  **********


 サラの館は緑濃い森の中にある。彼女が木々に囲まれた静かな場所を好んだこともあるが、孫娘に罪はないとはいえ、先の戦の黒幕であったマンフロイの血縁である彼女を人々が恐れたせいで、このような場所に住むことになった。

 自分の背にしがみつきながらも上空からの風景に歓声をあげてティナが喜んでいるうちにアルテナは森を切り開いた気持のよい開墾地に竜を着陸しさせた。赤い髪に黒衣の青年····セイラムが館から出てきて竜の乗り手がアルテナであるのに気づくとその細い紅の瞳を驚きの為に大きくした。アルテナに一礼してから静かな、だが怒った声をティナにかける。

 「ティナ、これは一体どういうことです。·····なぜ、アルテナ様を·····」

 ティナは下を向いていた。

 「あの······エダさんを連れてくるって約束してここを出たけど····エダさん、もうトラキアに帰っちゃってたの。でも、ドラゴンは必要なんでしょう?だから······駄目でもともとって思ったけど、アルテナ様にお願いして·······セイラムさん。ごめんなさい、ごめんなさい。」

 泣き出しそうになっているティナの髪をセイラムはそっと撫でた。この青年がティナに注ぐ眼差しはいつもとても優しい。

 「アルテナ様。ティナがご無理を申し上げたのではないでしょうか。」

 「いいえ。レンスター城のことなら大丈夫です。······それに、理由は言ってくれませんでしたが、ティナが真剣なことはよくわかりました。」

 「そうですか。·······まず、館にお入り下さい。私からでなく直に事情をお聞きになられた方が宜しいでしょう。」


 竜の着陸を知ってサラは応接室で待っていた。セイラムに伴われて入ってきたのがトラキアの竜騎士であるエダではなくアルテナ姫だとわかり、このロプトの姫は僅かに眉をあげたが、セイラムの後ろに隠れるようにしているティナに気づくと微笑んだ。立ち上がり、優雅に会釈する。

 「アルテナ様。今日はようこそおいで下さいました。私の我が侭にお付き合い下さって申し訳ございません。」

 「サラのせいじゃないわ。あたしが····」

 小声でいうティナの肩にぽすっとサラは掌を置いた。同い年であるはずだが、サラの方がずっと大人びて見える。

「いいのです。それよりサラ。一体何が起こったのでしょう。私の竜が必要だというのは····」

 「そのことならば、私がお話することではありません·····もうすぐいらっしゃるはずです。」

 サラがじっと見やった扉が開いた。

 入ってきた人物を見て、アルテナは目を疑った。青い髪の優しい槍騎士、疲れた様子であったが、紛れもないフィンその人が、アルテナと同じく驚愕の表情を浮かべ、そこに立っていた。

 「フィン!」

 自然に両手が肩の高さにまで上がり、彼女は2、3歩前に歩きかけた。

 「アルテナ様······これは·······一体··········」

 槍騎士がその場から動こうとしないのを見てアルテナは手を下ろした。今は喜びに浸るときではないのかもしれない。彼が語る話を聞くべき時なのだ。




 「砂漠に······あなたとサラを運べ、······と?」

 槍騎士はアルテナの前に跪いた姿勢のまま頷いた。

 「それ以上の理由は言って下さらないのですか。」

 槍騎士はまた頷いた。

 「申し訳ございません·······」

 サラに視線を移すとサラも頷いた。

 「私は今の話よりも多くを伺っています。·····しかし、この方がアルテナ様にお話なさらないのなら、私からご説明するわけには参りません。······私の転移の術が使えればあなたにお頼みすることはなかったのですが·····あいにくあの術は自分一人だけ、しかも一度行ったことがある場所にしか使えません。」

 アルテナは何も語ってくれぬフィンに一抹の寂しさを覚えたが、それでもフィンに、彼のいうとおりの場所に二人を運ぶと約束した。

 「あ、わ、私も行く!私一人ならワープの杖で·····」

 サラが笑った。

 「ワープの杖は、自分ではなく他の人を移動させるときに使うもの····それに、あなたはよく失敗するし·····」

 むくれるティナに、サラはまた笑った。




 3人はアルテナの竜に乗って空を駆けた。ゲイボルグを携えたアルテナが手綱を取り、杖を持ったサラがその背に目をつぶって齧り付き、サラを守るようにフィンがその後ろに乗る。
槍騎士の大きな手の感触を肩に感じながら、アルテナは顔を曇らせた。
自分が誰よりも頼りにしている槍騎士·····自分は彼に随分と甘えてきた。彼は自分の弱さを含めて全てをわかってくれていると感じていたが、自分も彼の優しさ、生真面目さ、融通のきかなさ·····いろいろな表情を見てきたと思った。しかし、結局のところ、自分は彼の過去のことなど何一つわかっていないのかもしれない。····新しいことを知ってしまうのが怖い気がして、フィンが何故キュアンに仕えることになったのか、自分の父母の死はどうして起こったのか、ラケシス姫とはどのような間柄だったのか·······そういった彼の人生にとって重い意味を持っていることは一切訊ねていない。

今のフィンはアルテナの知らない人間だった。

自分に隠し事を····それも重要な隠し事をしている。主君への絶対的な忠誠を崩さないこの騎士が、彼の主君であったキュアンの娘に告げないことは何であろうか。·······気にはなったが、アルテナにはそれを訊ねることができなかった。

 竜のはばたきをもってしても、そこには1日ではたどり着けなかった。オアシスからオアシスへと旅を続けたが、目的の地にあと少しで到着するという夜は、まばらに潅木が生えた場所での野宿であった。それまでも3人は殆ど無言でいたが、酒場の喧騒の中では互いに会話をしないことがそれほど気にはならなかった。が、この音を出すものが他にいない場所では、静寂がアルテナの胸に突き刺さった。夕食を食べた後、彼女は一人離れてぼんやりと煌々と冴え渡る冷たい色の月を眺めていた。

 今までならば、フィンはこのようなときに、『アルテナ様、どうなさいましたか。』と声をかけてくれただろう。しかし、今のフィンにはそういった心遣いをする余裕もないのか、眉間に皺をよせてじっと砂を見つめている。と、眠ってしまったと思っていたサラがアルテナの横にやってきて座った。

 「私が········喋らなくちゃ········」

 首を傾げるアルテナにサラはくすっと笑って見せた。

 「館では、セイラムが私の2倍くらい喋って、ティナはセイラムの100倍くらい喋るの。··········アルテナ様もフィンも全然喋らないから、ここでは·····私が喋らなくちゃ。········ティナが言うの。·······皆が一緒にいるときはいっぱい喋らなくちゃいけないって。喋ると心が繋がるんだよって。·········それはいつも正しいとは言えないけれど、今、黙っているのはきっと正しくないこと·····」

 「サラ·········私に、この旅の理由を話してくれるのですか。」

 ロプトの姫は首をゆっくりと横に振る。

 「前にも言ったように、それは私がしてはいけないこと。」

 大きな瞳で見つめるサラに、アルテナはつい視線を逸らしてしまった。

 「········悲しみが聞こえるの。········あの人が内側に持っている悲しみが聞こえるの。······アルテナ様。あなたはあの人があなたに語ってくれるのを待っているのでしょう。·········でも、待っていてもあの人はきっと語らないでしょう。········アルテナ様。だから貴女が喋らないといけないと思う······胸の中のもやもやしたもの。全部、話さなくちゃいけないと思う·····それがきっとゆくゆくはあの人の悲しみを和らげると私は信じています·····」

 自分よりずっと年下の姫はそういって、それきり黙ってしまった。

 アルテナは立ち上がった。サラはアルテナが考えて、そして自分だけでは思いきれないでいたことを告げてくれたのだ。焚き火の傍で静かに見張りをしているフィンの横に座る。

 「フィン·····」

 「アルテナ様?」

 アルテナの顔にははっきりとした怒りが浮かんでいた。

 「あなたが隠していることは一体どんなことなのですか!!」

 槍騎士としてはこれは意外な発言だった。王女は、自分が話そうとしない気持を理解してくれていると信じていたから。

 「そうやって·······いつもいつも自分の内側に抱え込んで······あなた一人が苦労して·····リーフが言っていたことがよくわかります。あの子を連れて追っ手から逃げている時、あなたは碌に食べ物も食べずにあの子達を養っていたと。·····しかし、わかっているのですか。私はもう子供ではありません。あなたの後をついて回っていた幼子でもなければ、戦の中で心の弱さを覚え、惰弱にもあなたに甘えきっていた時も過ぎました。······あなたが話したくないのならはっきりとそう言って下さい。それならば私も退きましょう。····しかし、あなたが私を一人の人間として認めず、このまま何も言わないのなら、私はもう竜を駆ることを断ります。」

 フィンは、眦を上げて凛としてそう言うアルテナに、ラケシスの姿を重ね合わせていた。ラケシスは凛とし、いつも毅然としていて·····一歩も後ろへと退かなかった。

 「わかりました。······しかし、アルテナ様はご存知のない者達のことです。」


  **********

 その次の日、3人は半ば砂で埋もれた神殿の入り口に立っていた。

 「········感じます·······ロプトの波濤····」

 目を瞑って言うサラにフィンは頷いた。サラが呪文を唱えると、彼女の杖の先にぽうっと明かりが灯った。フィンはアルテナに外で待っているように言ったが、アルテナは承諾しなかった。

 フィンから聞いた話によれば、この神殿には石化の呪文がかかっているという。随分長い時をかけ、この地をやっと見つけたフィンであったが、小動物の石化した像が石を敷き詰めた床に転がっている場所まで来た所、体が重くなる気配を感じ、慌てて引き返したのだという。たいまつの明かりでははっきりとはしなかったが、奥には石となった人間の像が1つ認められた。·······それが、噂にあった、石化した嘗ての聖戦士の像ではないのかというのだ。······噂では、その像は剣を帯びていたという。フィンが知る聖戦士の血をひく人々のうち、命を失ったと確実にわかっているもの以外では剣士は限られている。

 イザークの王女アイラ。そして本人は“俺の血は薄いのだ”と笑っていたが、イザーク出身の剣闘士のホリン。·····まだ戦に慣れないフィンを何かと励ましてくれたその二人のうちどちらかが奥に石として眠っているのかもしれぬ。·······フィンは助けたかった。サラを伴ってここに来たのはそのためだ。····サラは石化を解呪する力を持つ“キアの杖”を扱うことができる唯一の人間だ。暗黒のロプトの血をひくが故にその呪いを解く力を持つ······その貴重な杖はサラにしっかりと握られている。

 石になった昆虫が床の上に散らばるようになった。

 「以前来た時は、このあたりで苦しさを感じたのですが····」

 フィンが不思議そうにいうと、サラは頷いた。

 「この杖の周囲では呪法は弱まります。」

 奥にはフィンが言っていたように、人間らしきものが石となって立っていた。そこを目指して3人は進む。·····石像は近づき、その造作がわかるようになってきた。腰に携えた剣。長い髪······アイラだろうか。いや·······

 「ラケシス様!!」

 槍騎士は叫んだ。

 駆け寄ろうとした彼をサラが止めた。

 「·······これ以上近づけばあなたも石になってしまいます。」

 アルテナは石像を見る。

 (綺麗なひと······)

 ラケシスの像は、石化した生身の人間というよりもひとつの美術品のように見えた。フィンの心は乱れていた。一人で行かせてしまったラケシス。······女の身で、自分達と共に戦い、ナンナとリーフを立派に守ってくれたひと。······自分の憧れ。

 「サラ様。ラケシス様を·····早くあの方を元の姿に·····!」

 ああ、これで一つの重荷が取れる。·······あの方を、お子様達に合わせてやれる。·····今はノディオンに居るデルムッドと、ナンナと······ラケシスを母として慕っていたリーフもさぞや喜ぶだろう。······石化が解けたら彼女は自分になんといってくれるだろうか。平和になったこの世界を見て、あの美しい微笑を自分に投げかけてくれるだろうか。

 しかし、サラは石になったラケシスの更に奥をじっと見つめていた。

 「··········!」

 そこには一人の男の石像があった。歯を食いしばり、銀の大剣を杖とし、石化する体を引き摺り、しかし、一心に前を見据えて必死に進もうとする傭兵ベオウルフ····

 「·······フィン。キアの杖の魔力は有限です。今ここでは一人の人の石化を解くことしかできません。·······お二人のうち、どちらに杖を使いますか。」

 フィンは頭の中が真っ白になってしまったようだった。·······自分の心はラケシスをもとに戻せと告げている。·····しかし·····ベオウルフ······彼は自分に戦場で生き残るすべを教えてくれたではないか。騎士としてはなく人間として生きねばならない時があると身をもって示してくれたではないか。··········それに·····神の前では2つの命のどちらが尊いかということはない。

 と、フィンはラケシスの顔に浮かんだ表情を見た。

 ベオウルフに両手を広げて歩み寄ろうという姿勢でラケシスは石になっていた。石化の苦痛があったであろうに、彼女の顔は歪んではいなかった。····そして、それはフィンの良く知っている、凛とし、毅然とした顔でもなかったのである。·····そこにあったのは、少女のような柔らかな笑顔であった。愛する男にめぐり合えた喜びに溢れた幸福な表情だった。

 「·····サラ様。お二人を同時に解呪することはできないのですか。」

 「······この神殿全体に掛けられた石化の“場”そのものを解呪することはできます。····でもそれはとてもゆっくりと進んでいくもの······何年、いえ、何十年かかるかわかりません。しかし、解呪が完成された後、石となっていた人々は生身の体へと戻り、同じ時間を生きていくことになるでしょう。」

 フィンは二つの石像を見た。······そして、ベオウルフが歩み寄ろうとしていただろう、もっと奥に眠っているかもしれない石像のことを考えた。

 「あなたが選ばないのならば·····私は最後のロプトの姫として、“場”を解呪する方を選びます。それがわたしの務めだと信じます。」

 随分長い時間がたってから、フィンは小さな、しかし、しっかりした声でいった。

 「わかりました。サラ様。この“場を”解呪して下さい。」

 そのとき、フィンが浮かべていた表情をアルテナは生涯忘れない。彼がこんなに弱々しい表情をするなどと思って居なかったのだ。····それほどフィンの顔は哀しみと苦渋に満ちていた。


  **********


 解呪を終え、神殿の入り口に戻ると、すでに空には星が瞬いていた。

 「やあッ!」

 アルテナが、ノヴァの聖光を纏った地槍ゲイボルグを振るうと、神殿の入り口はあっけなくがらがらと崩れ落ち、砂に埋まっていった。

 「······このことは他の方々······セリス様にさえ黙っていた方がよいと思います。····エッダ城のコープルさんにだけ知らせましょう。·······ブラギ神の声を聞く力をもった彼ならば、必要なときに必要なことをしてくれるはずです·····」

 静かに言うサラはフィンを見上げて眩しそうな顔をした。。

 「ですから、あなたはこれ以上、苦しんではいけません。·····私はすぐにエッダ城に行きます。····お二人の旅の安全をお祈りいたします。」

 サラは杖を掲げると姿を消した。·······暗黒教徒だけが使える転移の術だ。サラが去っていったその場にしばらく輝いていた魔力の光をフィンとアルテナは見つめていたが、······アルテナはフィンが苦しげなのに気づいた。唇を噛み、しかし、押し殺すような声が彼の咽喉から洩れている。

 「フィン········泣いてもいいのですよ······」

 槍騎士の目から涙が一粒線をひいて流れ落ちた。

 「······ここには私しかいませんし······私もここで起こったことは忘れることにします。ですから·····泣いていいのですよ。」

 膝をつき声を殺して泣き続けるフィンの頭をアルテナは抱きしめ、彼の青い髪を優しく梳き続けた。

 

   **********


 アルテナがレンスター城に戻ってしばらくたってから、フィンは帰ってきた。城内は沸きに沸いた。一方的に任を辞していたフィンであったが、その存在は今でも大きなものであったのだ。儀礼的な歓迎が終わって、近しいものたちだけになると、リーフとナンナは槍騎士を抱擁した。二人の後ろでアルテナは静かに微笑んで居る。

 「お帰り!フィン。無事でなによりだ。」
 「お帰りなさいませ、お義父さま。」

 「········リーフ様、留守の間に大人になられたかと思いましたが······まだ私に甘えるのですか。」

 少年王は言い返す。

 「何をいうか。3年ぶりに帰ってきたものを迎えるのに抱擁しなくてどうする。····私が大人になったかどうかは、お前がその目で私の働きを見て評価してくれればいい。」

 抱きついたままでナンナは笑った。

 「お義父様、リーフ様はあんなことを言っていますけれど、お義父様が不在の最中、『フィンがここに居てくれたら!』とかれこれ数十回は弱音を吐いていましたわ。」

 慌ててナンナの口を塞ぐリーフを見てフィンは笑った。

 「········旅で·······捜していたものは見つかったのか?」

 神妙な口調で問いかけるリーフにフィンは少しだけ寂しそうに、しかし笑顔で頷いた。




 それから暫くしてから、フィンは庭の泉水近くを歩いていたアルテナを見つけ、いきなり彼女の前に跪いた。

 「砂漠でのこと·····あらゆることを謝罪いたします。」

 え?、とアルテナは小さく声を出した。

 「謝罪されるようなことは何一つなかったと思いますが·····」

 「·········私は、アルテナ様の前で数々の失態をお見せしてしまいました。騎士としてあるまじき行為でした。」

 アルテナは微笑む。

 「いいのです。······あれを失態というのならば、私の前で失態を見せてくれて、アルテナは嬉しかったのですよ?それに·····あの日のことは忘れました。約束したでしょう?」

 フィンの手をひいて立たせる。

 「それより·····お願いがあります。」

 「なんでしょうか。」

 「先程、リーフとナンナに出遅れて、私はまだあなたに『お帰りなさい』を言っていません。今、ここで、言わせて下さい。」

 アルテナは少し下がると腕を上にあげてにっこり笑った。

 「フィン。お帰りなさい。」

 フィンははっとした。·······アルテナのその動作と表情は、先程のリーフとナンナのものにも似ていたが、石像になったラケシスそのものであったから····いや、サラの館で自分にあったときのアルテナも今と同じような表情を······あのときの自分は、彼女の表情に気づかなかった·····リーフやナンナやアルテナがそんなにも自分などという矮小な男を待っていてくれているのだと理解していなかった。




 自分は騎士としてのみ存在しているのではなかったのだ。




 槍騎士はすっと近づくと、壊れ物を扱う様に優しくアルテナの右手をその両手で包んだ。

 「アルテナ様·······」

 槍騎士の行動に戸惑うアルテナは小さく返した。

 「なんでしょうか。フィン。」

 「··········」

 槍騎士は想いを言葉にできなかった。

 もう自分はレンスターを離れることはないだろう。······騎士として、家臣としての義務感からではなく、自らの意思でリーフを、アルテナを支え、·····そして彼の故郷であるトラキアとレンスターを繋ぐ道具となりたい、とフィンは微笑みながら思った。

 「フィン·····手が、痛いです。」

 力の籠もってしまった手を放し、槍騎士が顔を赤くして跪いて謝る。アルテナは笑って許し······そして屈むと、彼の額にそっとくちづけた。

レンスターの槍騎士。彼は聖戦の後、3年間の空白の時を過ごした後、レンスターに帰ってきたことになっているのですが、そのときに何があったのかを捏造してみました。(本来の設定と違っているところがあります。ご承知置き下さい)
フィンはきっとその3年で何かを乗り越えたのだと思いますが、それはきっと苦さを伴っていたんだろうな~とか、他のサイトさんではラケシス王女がフィンの奥さんになっていて、それを捜しにいくお話が多いけど、うちではラケシスが奥さんではないし、だとすればどういったことかな~とか、いろいろ考えているうちにこんな話になりました。騎士さん軟弱になっちゃいましたが、いつもは鬼のように頼りになる人なので、たまにはこんなこともあっていいかと。ええ、補佐役としての彼はあまり温情に流されることのない結構なタヌキさんだと思います。

結局のところ、フィンはラケシスを助け出して·····身も蓋もない言い方をすると、彼女に褒めて貰いたかったのだと思います。ある意味、彼女1人を助け出すことができればきっと自分が成すべきことは終わると考えていたのではないでしょうか。········実際、そんなことはないわけで······彼が果たす重要な役目というのはきっとまだ別にあるということですね。

最後の行はオマケです。浮いた噂の一つもない槍騎士さんに愛の手を····ということなんですが、きっとこのあとフィンは顔真っ赤にしてまた謝るんでしょう。(キスしたのはお姫さんなんですが)····そんなあなたが管理人、大好きです。甘えられてばかりいる彼が、誰かに甘えられるようになるまでの道のりは果てしないですよね。

しかし、どうにもティナあたりを書いているときが幸せというのはどうにかしたいところです。(いや~、あの子のミス連発っぷりにはゲーム中に怒り爆発しましたですよ)

疾风火 2005-11-03 16:09
终于看完了,感觉跟雷文写的某一篇有些类似。阿鲁缇娜和菲因真的有基础吗?在作品中几乎没有体现呢。

雷文·菲鲁赛迪 2005-11-03 17:57
这个配对构想其实很早就有了。

日本人似乎更喜欢老少配。

邪恶的本帝也从中汲取了不少“营养”,嘿嘿嘿……

雷文·菲鲁赛迪 2005-11-03 19:15
鉴于有不大懂日文的朋友,我大致讲讲这篇同人的大意好了。

菲恩在圣战结束后谢绝了利夫的封赏,执意要前往沙漠。一是祭奠亡主夫妇的英灵,二是为寻找拉格茜丝的下落。

他在一所酒店得知了罗普托教将许多被俘的圣战士化成石像收藏在地下宫殿的事,于是前往隐居的莎拉的住所请求帮助,却不料想被尾随而来的阿鲁蒂娜逮了个正着。但阿鲁蒂娜并没有阻止他,而是要求和他与莎拉一起去。

三个人寻找到地下宫殿,并从许多石像中找到了拉格茜丝的石像,但是随之找到的,竟还有拜奥沃夫的石像。拜奥沃夫的石像神态有着必死的觉悟,仿佛竭力要保护着什么。而拉格茜丝的石像却面带深情的微笑注视着拜奥沃夫。如胶似漆难舍难分。

莎拉的石化解除杖魔力有限,只够解除其中一人的石化状态。而菲恩却无法说服自己为了自身爱情拆散这一对苦命却相爱至深的夫妇。他了解到被石化的人的灵魂由于石化“场”的影响永远无法脱离石像转生。而莎拉的杖也可以解除石化“场”的影响释放这些石像的灵魂,但相对的,这些石像也就真正死去,再也无法复苏了。长久的思索,菲恩最终做出痛苦的抉择,让莎拉将石化解除杖唯一的魔力用于解除石化场。

解除后,三人回到地面。阿鲁蒂娜用地枪将这个地堡永远埋在砂下。而后菲恩和阿鲁蒂娜启程回国。菲恩自王都陷落以来,第一次跪在地上,痛哭失声,而阿鲁蒂娜则温柔地抱住他的头,轻轻地梳理着他的头发......

剩下的大致都能想到了吧。这篇故事写的的确很精彩。对几个人物的内心把握相当到位。感觉写三年的压力越来越大了。

athlon07 2005-11-03 19:23
不管自己创作什么的有什么,只要尽力就行了(这种吃力不讨好很容易搞砸的工作本来就只有苦劳没多少功劳)
顺便问下可能有完全汉化的版本吗(只是单纯地问下而已)……

FARA 2005-11-04 08:06
不错啊…………能让菲因得偿所愿…………

不过仔细想想,老拜和公主被擒的时间差那么多,不太可能摆出这样契合的姿势吧…………(菲因死忠参上)

雷文·菲鲁赛迪 2005-11-04 10:21
老拜是保护拉时被变成石像的,当然就是那个“必死”的姿势了。

而拉格茜丝被押到地下殿,见到老拜这么拼命保护自己的神态能不触景生情吗?

拉格茜丝被变成石像的神态是难舍温柔的微笑。菲恩刚一看见不还以为是对自己的微笑吗?

FARA 2005-11-04 10:38
暴走中………………

又:雷文殿这里还有圣战系谱的详细的战事记录吗?有的话请发给O

雷文·菲鲁赛迪 2005-11-04 11:37
除了二次创作的以外也找不到什么了。

二次创作的战史意义也不大。

sd3369091 2005-11-05 19:00
强烈恳求译成全中文,我只看得懂一小部分啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊!!!!!!!!!!!!!(暴走中................)

雷文·菲鲁赛迪 2005-11-07 15:17
阿鲁蒂娜隐隐察觉了菲恩的苦楚,虽然他是那样紧咬着嘴唇,但仍无法阻止被他死死抑制的悲声从他的喉咙流泻出来。

“菲恩......你可以哭出来的......”

如断线珍珠般的泪水从枪骑士的目中飞落下来。

“......现在这里只有我.....无论发生什么事,我都会很快忘记它的。所以......哭出来也可以的”

阿鲁蒂娜缓缓抱住将哭泣之声埋藏在蜷缩的膝盖中的菲恩的头,温柔地梳理着他蓝色的头发。

————————————
回头把上面这段做签名。

athlon07 2005-11-07 16:16
已经翻译到结尾了??

雷文·菲鲁赛迪 2005-11-07 16:38
想得美,哪有那美国时间。

挑出全文的精华来翻译,准备作成签名的。

艾尔文 2005-11-07 18:56
忽然有点后悔,早就应该和精通日文的人交道打好点的……

十字锁链 2006-05-23 16:31
递出的手
“你说要…休假?”

被称为“圣战”的战争结束3个月后。在雷斯塔城的王座之间,兰色头发的枪骑士对着刚刚即位的少年国王的提问,深深的点了一下头。
  “是的。   ”
  利夫怔怔的望着长年以来守护着自己、辅佐自己的家臣。

“…明白了。…但是,我以国王的名义命令你。无论过了多少时间,无论过了多少岁月都要回来。好吗。菲恩。我等你。”
利夫再也没有问别的什么。包括去哪里,为什么而去。
这名枪骑士一直如影随形,舍弃自己全力辅佐自己。从他口中说出什么要求,可以说这是第一次。利夫心里,还是希望他继续辅佐尚不成熟的自己。但是即便自己如此希望,乖孩子的时代早已经结束了。利夫悄悄望了一眼站在身后的姐姐。阿尔迪娜正朝他微笑。

“菲恩,就按你的意愿。我也会等候你的归来。…请保重。”

枪骑士深深的行了一礼。

 ***************************
沙漠还是同当时一样,灼热的风卷起沙尘。
菲恩再一次阅读了记录着当时士兵报告的羊皮纸,然后抬起头环视周围的情况。

正北的远处,可以看见西勒基亚山脉的最高峰,西面则可以看见弗利基城的侧腹……没错。这里正是他的主君和其妃子……不,在心中已经是当作兄长和兄嫂般敬仰的雷斯塔的究安王子和他的妻子艾斯玲终焉的地方。•••••••为了友人西亚鲁菲的西古鲁德王子而出兵,究安原本打算横穿这个沙漠,但在此时遭到了特拉基亚龙骑士部队的袭击。被沙尘缠住脚步,坐骑无法灵活移动。即使是持有被称为诸神兵刃之一的地枪“盖依波尔古”以及继承诸神血脉的圣战士究安,也无可奈何的成为龙骑士的活靶子,他身边的艾斯玲也一同陨命。

那时候自己没能和他们同生共死。

虽然是究安的侍从。虽然曾经起誓任何时候和究安共存亡的。

没能保护……甚至没能抵抗。
已经有近20年的岁月了……

枪骑士从马鞍的袋中取出一根枝条。

是一朵苹果花的压花……是从雷斯塔城的果树园里带来的。艾斯玲非常喜欢这种花。




  菲恩跪下身躯,用双手挖开砂地,小心的将花朵埋下去。……风吹起砂尘,这朵花不久以后应该会重新翻到地面上吧。而那时花瓣会干枯成为碎片,变成和砂土一样的细小,随风舞动。
 
“……好了,我们走。”

招呼了爱马跨将上去,枪骑士慢慢的向奥亚西斯村进发。为了达成另一个心愿……即使无法改变,也要尽最大的努力去改变他。

奥亚西斯的宿屋热闹非凡。那里几乎都是带着骆驼的商人,菲恩混迹其中,虽然他包着砂色的斗篷只露出双眼,但从举手投足之间就能知道他是军人,所以并不靠近他的周围。
 
在亲眼看见所有之前,拒绝了酒而改饮清水的枪骑士的脑中,离开雷斯塔,向着儿子所在的依扎克单骑突进的英姿勃勃的诺迪奥的公主的身影浮现出来。当时自己说“一个人去太危险,至少应该让我保护您”,结果招来拉克西斯的训斥。

(菲恩。你难道不是雷斯塔的骑士吗。那么你有义务留在这里守卫城堡以及主君的子嗣。不可以一起来。若你执意要跟来,我会以诺迪奥第一王女的身份命令你留下。)
 
就这样留下坚定的话语,将尚且年幼的孩子楠那托付于菲恩,她踏上了旅程。
 
……如果安全到达沙漠的话应该会到这个村子歇脚的。
 
一个女人单独旅行,而且是一个美丽的女人。在这里停留过的话一定有人会记住的。

“店主……”
枪骑士原本想和店主打招呼,但见到柜台上的一件东西后便愣住了。是店主身后的一个古旧的橱。简直可以以假乱真的,每一根毛发都细致的刻上去的一个老鼠的石雕就放置在那里。
看着对石雕行注目礼的菲恩,店主咧开嘴笑了一下。

“老兄你也对这个有兴趣吗。……是个好东西吧?”
 
“是啊……栩栩如生呢……就是在大城市里也没有见到过。这个是从哪里?”
 
店主像是被客人问过无数次,洋洋自得的开了口。

“那就说来话长了。是啊,就是那‘巴赫拉的悲剧’发生后不久。有个猥琐的家伙跑来,拿出这个摆设我我买下。从这个家伙的样子来看,我马上就知道那是赃物。问起是从哪里搞来了,他说是沙漠的神殿……好象叫依多的地方?他说自己跌到那附近的一个像神殿样的地方。还说那里有化成石头的骆驼,就是太重了搬不动。”

  “变成……石头?”

“啊,他这么说只能当真了。还说想继续深入看看有什么宝贝,结果竟然觉得自己的手脚像石头一样沉重,结果赶紧逃了出来。……是帮凶悍的家伙啊。开了一个很高的价格,我说那价钱我出不了结果就拔出腰间的到威胁我……在那时候,呐,就是做在那桌子边金发的佣兵。要是他不在的话我可要被勒索一大笔钱了……佣兵大哥从那里咻的飞过来一把短剑……很漂亮的直扎进那个盗贼的额头。盗贼惨叫了声,扔下石像逃走了。哎呀,看看他腰间那把常用的银色大剑,唉,一定是要花大价钱才能雇到的好手,我这么想,也包括道谢的意思问了下价钱。结果很随便的放出了句‘想要雇我先拿10000金币来’!”

菲恩一下探出身子。
 
“你知不知道那个佣兵后来怎样了?” 

那眼中跳动的精光让店主条件反射似的背脊抽动了一下。
 
“…你认识他?……听到盗贼说了神殿的事,立马变了脸色冲出去了。嘴里好象说什么有同伴在那里。” 

……十之八九那佣兵是拉克西斯公主的丈夫佣兵贝奥威尔夫。而且……他是要去拯救过去的战友。……菲恩也听说过。在依多沙漠的某处,几个继承诸神血统的圣战士被化为石像受到监禁的传说。……而且在先前的战斗中艾维尔也曾经被暗黑司祭曼夫洛依的邪恶魔法连剑带人变成石像。……看着这精致的老鼠石像越发让人感到这是真实的。
 
“…到底那里有些什么么。我是绝对不会去那种危险的地方。那个佣兵大哥也好,大美女也好,听了一半就冲出去结果再也没有回来。不是打击你,兰头发的大哥,你是想去吧。听我的别去了。那里有什么不知道,但命没了可都没了。”

 大美女!?……!……菲恩回过神来的时候已经揪着店主的胸口提起来问话了。下一秒,终于恢复正常,放开手,道歉。

“没事,算了。……你也在那场战争中吃了不少苦吧……但是,大哥,我再多嘴一句。……绝对不要去找那个地方。”

这话虽然进了枪骑士的耳朵,但没有进他的心里。

巴赫拉的悲剧的幸存者中的2人,贝奥威尔夫和拉克西斯确实来过这里,而且去了树立着石像的神殿。……我也必须去。究安和艾斯玲已经不能苏醒了。但是……也许能够拯救过去的同伴。……和尤里乌斯王子的战争中,自己曾经一度死去。但是依靠圣杖瓦尔基里的力量复苏。那时,解放瓦尔基里力量拯救菲恩的少年司祭考普尔这么说‘布拉基的神明不会无故复活死去的人。……菲恩先生,此后您一定会去完成重要的任务,只有你才能完成的任务……’

这就是自己的任务,自己背负的使命吧。

菲恩将食物和水放在马身上,直奔依多。
 
******************************************************


抽风中,表理我...

霜之哀伤 2006-05-24 23:04
楼主哪里弄的。可否给个地址?

十字锁链 2006-05-25 15:45
此后又过了几天,雷斯塔城来了稀客。是曾经帮助利夫照顾伤病员的见习修女迪娜。现在和作为曼弗洛依的孙女莎拉公主的朋友,元罗布特教团的魔导士叫做塞依拉姆的青年三人在临近王都的森林中的一个别墅中隐居……话虽然如此,但由于话多的迪娜的影响以及塞依拉姆的朋友“但丁之狮”义贼团的多次来访,听说原本不喜欢开口的莎拉也逐渐有了笑容,人也变得活泼起来了。

  在接见室旁的私人会客厅,原本吃着糕点的迪娜,看见利夫、南那,还有阿鲁缇娜一同进来后,赶紧将嘴里的糕点咽下,站起来深深的行了一礼,蓬松的绿色头发随之颤动起来。

  利夫忍不住笑了一下。

迪娜撅起嘴唇。

“王子!啊、已经是国王陛下了!再怎么说,我也不会一直犯这么多错误的!……其实……只不过发动回复之杖的时候5次里有1次失败而已。”
 
由于迪娜发动回复之杖失败而多次欲哭无泪的利夫和一直给失败的迪娜作善后工作的南那相视苦笑。而从弟弟处多次听到如此光荣事迹的阿鲁缇娜也“吃吃”的笑出声来。
“算了,到底是为什么而来的?啊,如果光是为了见我则十分荣幸,出了什么事?”
 
迪娜直直地看着阿鲁缇娜,羞答答的开了口。

 “其、其、其实阿鲁缇娜小姐。莎拉说想见您!”

  阿鲁缇娜有些不解。虽然和莎拉交谈过几次,也知道她虽然不太会表达情感但是一个好孩子,不过也不是很熟。要见面的话应该是找利夫吧。

 “……有什么事呢?”

“嗯……不清楚,但她说马上想见您。还有……问您能不能多待几天。”
 
虽然是突然的请求,但看来有要紧的事商量。或者,考虑到政务缠身的利夫不方便才没有叫他。……想到神情沉重目露悲光的罗布特公主,阿鲁缇娜点了头。
 
“利夫,我去去行吗。”
 
少年国王点了点头,姐姐在政务上帮了很多忙,但这些原本是自己的工作。他早就考虑让姐姐休息休息了。
 
“那么赶快备马车……”

迪娜吐蕃瞪起了眼睛。

“等等!莎拉她还说……说也想见……见见阿鲁缇娜小姐的飞龙……想见见盖依波鲁古……” 
……怪不的刚才那样呢,阿鲁缇娜有点明白了。

“也是啊。要是放松心情的话还是乘龙好呢。比起马车龙更快些……还有可以不要穿着拖拖拉拉的长裙呢。”

 听了阿鲁缇娜的发言深吐一口气的迪娜招来越来越多的怀疑,但阿鲁缇娜已经开始准备出发了。

 ***************************************************
  莎拉的别墅在墨绿的密林中,虽然有部分原因是她喜欢被树木围绕的安静场所,而更多的是即便是孙女无罪,但人们终究害怕继承先前暗中操纵战争的曼弗洛依血统的女人,所以她就只能住在这样的地方。
 
迪娜虽然害怕的紧紧抓住阿鲁缇娜背脊,但还是因为俯瞰的风景而欢呼,而此时阿鲁缇娜已经操纵飞龙越过森林降落在一片开阔地上。赤发的黑衣青年……塞依拉姆从别墅中出来迎接客人时发现龙骑士竟然是阿鲁缇娜,原本细长的红色瞳人都不禁圆了。他向阿鲁缇娜行了一礼后,沉稳但饱含怒气的责问起迪娜。
 
“迪娜,这到底是怎么一回事。……为什么把阿鲁缇娜大人……”
 
迪娜低下头。

“其实……原本是说好把艾达带来的……可艾达已经回特拉基亚去了。但是,不是需要飞龙吗?所以……本以为肯定不成的,试着向阿鲁缇娜小姐说了……塞依拉姆。对不起,对不起。”

  塞依拉姆轻轻的抚摩着泪珠满眶的迪娜的头发。这个青年注视迪娜的眼光总是那么的温柔。

“阿鲁缇娜大人,对于迪娜的无理举动真不知道如何向您道歉才好。”
 
“没关系,雷斯塔城没事的。……而且,虽然迪娜没有说明理由,但我知道她是认真的。”

“是么。……请先进来吧。这件事比起问我还是和事主交流比较好。”
 
知道飞龙的降落挲拉已经在接待室等候了。看见这个随着塞依拉姆进来的不是特拉基亚的龙骑士艾达而是阿鲁缇娜公主时,罗布特的公主稍稍扬了下眉毛,但看见藏在塞依拉姆身后的迪娜不禁露出了微笑。他站起来,幽雅的问候。

“阿鲁缇娜公主。今天大架光临非常荣幸。能包涵我任性而为十分感激。”
 
“不是莎拉不好。是我……”
 
莎拉将手按住正小声解释的迪娜的肩膀。虽然年纪相同,但莎拉明显的表现出成熟。

“没关系。莎拉,到底发生了什么事要用我的飞龙呢……”

“关于这事情我不能告诉您任何东西……他应该马上就到了。”
 
莎拉注视的门开了。
 
进来的人使阿鲁缇娜怀疑起自己的眼睛来。兰发的枪骑士,虽然显得疲惫异常但肯定是菲恩。他脸上挂着同阿鲁缇娜同样的惊讶,呆立在那里。

“菲恩!” 

不自觉的将双手抬到肩膀高度,她上前2、3步。

“阿鲁缇娜公主……这到底是……”

看见枪骑士在那里毫不动弹阿鲁缇娜放下手,现在不是沉浸在喜悦中的时候。应该听听他的事情。




需要理由吗?不需要理由吗?

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-09 13:57
终于有人帮忙了,辛苦辛苦……

フィン 2006-06-09 21:59
菲恩会在这个地方哭出来?
有点不可思议的感觉……

フィン 2006-06-09 23:12
再问个土问题:
菲恩对拉克西丝的感情,到底在哪儿体现出来过,在哪儿能感受到?
塞尔菲娜那段话只让我觉得是菲恩当时对女人很冷淡
三年我只承认是去找乔安夫妇的遗骸加拜祭
除了系谱下部和南娜的剧情对话和别人有区别就看不出别的了

是不是因为南娜的存在,所以才有了"菲恩爱着拉克西丝"这样的猜测存在?

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-12 14:03
这个……就目前所有的资料来看,菲恩对拉格茜丝的爱慕之意的推断主要来源于三个方面:

1、系谱上半部,拜奥沃夫和拉格茜丝的恋人对话;下半部,南娜在菲恩身旁登场,代表拉格茜丝曾与菲恩有巴哈拉大屠杀之后的接触。

2、776公布时,官方宣传资料显示南娜与菲恩的义父女关系。

3、776中,塞尔菲娜对菲恩的质询、菲恩模棱两可的态度。以及战争结束后空白的三年。

官方资料中,能够明确显示两者关系的大抵这么多。而1996年末出版的官方系谱攻略本,2000年分别出现的776官方攻略本和系谱设定集中对此问题也有一定的阐述,可以算准官方消息。但真正确认这一消息的的确没有。

十字锁链 2006-06-12 15:35
“你说…是要把你带到…沙漠去?”

枪骑士保持下跪的姿势点了点头。

“你不想说一下理由吗?”

枪骑士又点了一下头。

“非常抱歉。”

视线转向莎拉而莎拉也点了头。

“我其实知道更多的内情。…但是,他不肯向阿鲁缇娜大人解释,我也不便多说。…若我的转移之术有效的话也不会来拜托您…但是那法术只能移动自己一个人,而且必须是要曾经去过的地方。”
 
阿鲁缇娜感觉到沉默的菲恩有着一丝消沉,但还是答应他将他们二人带到那个地方去。
 
“啊、我、我也去!我一个人的话可以用转移之杖…”

莎拉笑了。

“转移之杖不是对自己而已移动他人时使用的…而且你总是失败…”

莎拉朝着撅起嘴的迪娜又笑了起来。


  三人乘着阿鲁缇娜的飞龙翱翔在天空,阿鲁缇娜牵着盖依波鲁古,莎拉在后面拿着杖闭着眼睛紧紧地抱着她,而菲恩像是在保护莎拉一样坐在最后。肩上感觉着枪骑士的大手阿鲁缇娜脸上浮起一层忧郁。
最信任的枪骑士…自己总是依靠他。一直感到他知道自己的一切包括柔弱的一面;而自己也看见过他温柔、认真、顽固…各式各样的表情。可是到头来,自己对他的过去一无知晓。…害怕知道新的事情、菲恩为什么侍奉究安、为什么自己的父母会过世、和拉凯西斯公主到底是什么关系…类似这类跟他的人生有重要意义的事自己从未开口询问过。

现在的菲恩是阿鲁缇娜所不了解的。

瞒着自己…而且是重要的事情。对君主绝对效忠的这个骑士,需要瞒着君主究安之女的事件到底是什么?…虽然非常在意,但阿鲁缇娜终究无法开口询问。

即使借助龙的飞翼,也无法在一天之内到达。横穿奥阿西斯的土地,那晚已经到达目的地的附近了,大家在灌木丛生的地方野营。此前大家基本上没说什么话,在酒场这这样喧闹的地方不说话也无可厚非,但在如此安静的地方,寂静的感觉刺入了阿鲁缇娜的胸口。晚饭过后,她一人离开直直的观望着散发阴冷气息的明月。
 以前,菲恩总会在这时候来问:“阿鲁缇娜小姐,您怎么了。”但今天他似乎没有时间注意到自己,只是拧着眉头怔怔得看着砂土。这时,原以为已经睡下的莎拉坐到了阿鲁缇娜的身边。

“我…得说话…”

阿鲁缇娜转过头来对莎拉笑了一下。

“在别墅里,塞依拉姆说话是我的2倍,迪娜比塞依拉姆能说100倍。…阿鲁缇娜和菲恩都不说话,所以…我必须说。迪娜说的。…大家在一起的时候要说很多话的。说话才能把大家的心联系在一起。…不能说这一定是对的,可是现在,大家都不说话肯定不好…”
 
“莎拉…能告诉我这次出行的目的吗?”
 
洛布特的公主缓缓的摇头了摇。

“以前也说过的,不该由我出口。”

莎拉睁大眼睛,结果倒是阿鲁缇娜移开了目光。
 
“…我听见悲伤的声音。…从他心里听到悲伤的声音。…阿鲁缇娜公主。您是在等他对您述说吧。…阿鲁缇娜公主。所以我认为你必须开口…藏在心里的东西。全部,必须全部说出来…然后我相信您能够逐渐的缓和他的悲伤…”

比自己小很多的公主这么说了,然后再也没出声。

阿鲁缇娜站起身。莎拉她把自己一直无法考虑透彻的事捅破了。于是她走到在篝火旁站岗的菲恩身边坐了下来。
 
“菲恩…” 

“阿鲁缇娜公主?”
 
阿鲁缇娜脸上浮现出明显的怒气容。

“你瞒着我的到底是什么事!!”

对枪骑士来说这是一个唐突的提问。原本还深信公主能够理解自己为什么不去刻意解释。
 
“一直这样…总是藏在自己心里…一个人痛苦着…利夫说的话终于明白了。带着那孩子逃亡的时候,你也是连吃饭也顾不上照顾着孩子。…但是,你知道吗?我已经不再是孩子了。既然已不是跟在你身后的孩子,在战争中发觉自己内心的软弱,一直依赖你的日子也已经过去了。…你若不想开口的话就明说好了。那样的话我也不多问了。…但是你为什么不把我当作一个个人来看待,要是再这样不说话,我就拒绝再驾御飞龙了。”

 
菲恩感觉扬起眉毛表情严肃说话的阿鲁缇娜的身影和拉凯西斯重合起来。拉凯西斯一直是那样英气勃发,不会退让一步。

“好吧。…但那是一些阿鲁缇娜公主所不认识的人们的事情。”





名字有不对的地方请告知...

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-12 17:08
一般来说,究安应该翻译成“乔安”

拉凯西斯——拉格茜丝

阿鲁缇娜——阿尔蒂娜

贝奥威尔夫——拜奥沃夫

迪娜——蒂娜

西勒基亚(地名)——希利基亚

艾斯玲——艾斯琳

フィン 2006-06-12 17:15
恩,又有翻译看又有军师的解释看,快哉。
这么看来所谓的“菲恩对拉克茜丝的感情”真是全靠YY啊。

话说系谱对菲恩真是不公:
上部跑的早,大家说情话的时候人不在了;
下部没老婆,大家说情话的时候孤零零的。

为什么即使上部不娶,下部也不能结婚呢?
这个是我最怨念的地方……
不过其实我最早是支持菲恩+艾拉的……

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-12 17:25
这个,因为下半部亚利奥因作为阿尔蒂娜的恋爱候补是无法真正加入我军的。而菲恩作为另一恋爱候补,剧情上必须和亚里奥因处于同一起点。如果其下半部能够成功结婚,就无法再形成与阿尔蒂娜、亚里奥因的二选一对白了。

感觉上这正是制作者刻意要表现给大家去领悟的。

フィン 2006-06-12 17:33
其实可以让阿尔蒂娜二选一后就印上字啊
让人有个温馨感

不是我方也可以是恋人吧
小尤变敌方那会,结婚的话,会被她丈夫标出来么?

虽然一直高呼要让小塞娶小尤。
但是每次都可耻的让小塞娶了拉娜,小尤独身

フィン 2006-06-12 17:41
菲恩自王都陷落以来,第一次跪在地上,痛哭失声,而阿鲁蒂娜则温柔地抱住他的头,轻轻地梳理着他的头发......


发现这个作者在二选一的时候选了亚利奥……

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-12 17:48
下面是引用フィン于2006-06-12 17:41发表的:
菲恩自王都陷落以来,第一次跪在地上,痛哭失声,而阿鲁蒂娜则温柔地抱住他的头,轻轻地梳理着他的头发......


发现这个作者在二选一的时候选了亚利奥……


??

什么地方?

フィン 2006-06-12 18:36
呃,理解出了点问题
这个第一次指的是什么?是哭?还是跪在地上哭?
反正二选一的时候,选菲恩的话,菲恩会哭一次

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-12 18:47
当然是跪在地上哭。对阿的第一次哭是在马上。

フィン 2006-06-12 19:49
不过这个第一次跪在地上哭没什么意义吧?
毕竟烧城的时候是在马上哭的……

フィン 2006-06-12 20:01
呃,第一次跪在地上哭是你总结出来的啊……
我还以为是原文呢

十字锁链 2006-06-14 11:47
第二天,3人来到已被沙土掩埋了大半的神殿的入口处.

“••••••••能够感觉到••••••••洛布特的波涛•••” 

菲恩向闭眼凝神的莎拉点点头。莎拉颂唱起咒文,她的魔杖上亮起了火焰。菲恩要阿尔蒂娜等在外面,但她却不肯。
 
听菲恩说,这个神殿被下了石化的咒文。菲恩花了很长时间找到这里,但到了遍地都是被石化的小动物的地方,自己也觉得身体变得迟钝,急忙退了出来。虽然松明的光芒比较昏暗,但还是看到里面有一尊石头人像。••••••••那好象是被石化的过去的圣战士的像••••••••。据说这石像还带着剑。菲恩所认识的继承圣战士血统的人中,除了确定死亡的人之外没有几个剑士。
 
依扎克的公主爱拉。还有就是自嘲“我的血统很远”的依扎克出身的剑斗士荷林。•••在菲恩还是新手的时候总是鼓励他的两人中,可能就是其中的一位被变成石头沉睡于此处。•••菲恩想营救他。带莎拉来也是这个目的。•••莎拉是唯一能使用具有解除石化诅咒力量的“基亚之杖”的人类。因为继承了暗黑的洛布特的血统才具有的力量•••现在莎拉正紧紧地握住这贵重的法杖。

变成石头的昆虫满地都是。


“以前来到这里就觉得很难受了••••”
 
菲恩不可思议地说,莎拉点了点头。

“这杖的周围咒语的力量会减弱的。”
 
在深处正如菲恩所说,有人形的石头树立在那里。3人朝着那方向前进。••••靠近后,逐渐可以看清石像的容貌。腰上挎剑。长发••••••••爱拉吗?不••••••••
 
“拉格茜丝大人!!”

枪骑士失声大喊。

莎拉拦住想要跑去的菲恩。
 
“•••••••再靠近的话你也会变成石头的。”

阿尔蒂娜看着石像。

(真美。)
 
拉格茜丝的像,与其说是被石化的人更象是件艺术品。菲恩已经混乱了。孤身出发的拉格茜丝。•••••••虽为女性,但和自己一起战斗,成功保护南娜和利夫的人。•••••••暗恋的人。

“莎拉小姐,请赶快把•••••••把拉格茜丝大人恢复原来的样子•••••••!”
 
啊,这样就算圆了一个心愿。•••••••可以让她和孩子们重逢。•••••••现居住在诺迪奥的迪鲁姆德,南娜•••••••还有把拉格茜丝看作母亲的利夫也会很高兴吧。•••••••解除石化后她会对自己说什么呢?看到这和平的世界,她会向我展露美丽的微笑吗?
 
但是,莎拉的眼睛被拉格茜丝石像更里面的东西吸引了。
 
“••••••••••!”

那里是一尊男性的石像。咬着牙,拄着大剑,被石化的身体扭曲着,但还是努力前进的佣兵拜奥沃夫••••

 “••••菲恩。基亚之杖的魔力有限。现在只能解除一个人的石化诅咒。••••给他们二人谁用呢?”

菲恩大脑里变得一片空白。••••自己的内心是想把拉格茜丝恢复原样。••••但是••••拜奥沃夫••••难道不是他教会了自己在战场上的生存之道。而且以身作则告诉自己有时不是作为骑士而是必须作为一个个人生存下去。••••而且••••在神明面前无法比较2个生命究竟谁更重要。

此时,菲恩看了看拉格茜丝的表情。
 
展开双手迎向拜奥沃夫的时候拉格茜丝变成了石头,即使有着石化的痛苦,她的脸上也没有扭曲的表情。••••而且,那表情并不是菲恩所熟悉的英气勃发,坚毅的样子。••••而是少女般温柔的笑容。洋溢着和深爱着的男子重逢的幸福的表情。
 
“••••莎拉小姐。不可以同时解除两人身上的诅咒吗?”

“••••可以将附在神殿全体的石化的‘场’解除。••••但这是一个极为缓慢的过程••••几年,不,也许要花几十年。但是,完成解咒后,石化的人会恢复原先的肉体,并且生活在同一个时间里吧。”

 
菲恩看着2尊石像。••••然后考虑到拜奥沃夫想进入的可能在更深处的石像。
 
“如果你不选择的话••••我作为洛布特末代公主,选择将这个‘场’解除。我坚信这是我义务。”
 
过了很长时间,菲恩终于小声地但是坚定的开了口。
 
“明白了。莎拉小姐。请解除这个‘场’吧。” 
那时候菲恩的表情阿尔蒂娜一辈子也不会忘记。从来没有想到过他会露出如此无助的神情••••他的脸上居然写满了悲伤和苦涩。

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-14 15:51
嗯,在下对日语的理解还是有点不熟练。

很多地方只能靠摸索。

十字锁链 2006-06-21 13:38
  **********
  解咒结束,回到神殿入口时,天空中星星已经开始闪烁了。

“呀!”
 
阿尔蒂娜挥动起缠绕着诺瓦圣光的地枪盖依波鲁古,神殿的入口脆弱地崩塌,被埋入沙土之中。
 
“••••••这里的事不要对别人••••••我想即使是塞利斯大人也还是不要告诉他(她)比较好。••••••只要告诉艾达城的高布鲁先生就可以了。••••••具有可以听到布拉基神之声力量的那个人,可以为我们在必要的时间做必要的事情••••••”
 
低声说完,莎拉抬头看着菲恩,一脸的镇静。
 
“所以,你不必再折磨自己了。••••••我这就出发去艾达城。••••••一路顺风。”

莎拉举起杖后身影消失了。••••••是暗黑教徒才能使用的转移之术。莎拉离去后,菲恩和阿尔蒂娜看着残留的魔力所显现出的光芒,••••••但是阿尔蒂娜感觉到菲恩的痛苦。他咬着嘴唇,但是,想要压抑在喉咙里的悲伤却透了出来。
“菲恩••••••哭出来没关系的••••••”

 从枪骑士的眼睛里,泪水划作一条直线落了下来。

“••••••只有我在这里••••••我会忘记在这里所发生的事情。所以••••••哭出来没有关系的。”
 
阿尔蒂娜紧紧抱住跪在地上抽泣的菲恩的头,梳理着他兰色的发丝。


   **********

阿尔蒂娜回到雷斯塔城过了些日子,菲恩回来了。城内沸腾起来。即便是自己辞去职务,但他的存在在如今也是影响巨大的。礼节性的欢迎结束后只留下一些亲密的人时,利夫和南娜拥抱了枪骑士,而阿尔蒂娜在他俩身后露出了微笑。

 “欢迎回来。没事真是太好了。”
“欢迎您回来,义父大人。”

“••••••利夫大人,还以为在我离开后你长大了••••••还要向我撒娇吗?”
 
少年国王还了口。
 
“你说什么啊。迎接离开3年回来的人不拥抱他还能干什么。••••••我是否长大,你还是先看一下我的成绩再做评价吧。”

南娜就这样抱着回过头笑了。

 “义父大人,利夫虽然这么说了,但您不在的时候,他有几十次沮丧的说‘要是菲恩在就好了’。”

菲恩看着利夫慌慌张张按住南娜的嘴时笑了。

“••••••在旅行中找到寻求的东西了吗?”

菲恩向着用奇妙语调询问的利夫,少许悲伤的含笑点了点头。
 

几天后,菲恩找到在庭院泉水处散步的阿尔蒂娜,突然跪在她的面前。

“在沙漠中的事••••••对所有的事我向您请罪。”
 
哎?阿尔蒂娜小声说。

“我没记得有需要谢罪的事情啊••••••”

“••••••我,多次在阿尔蒂娜大人面前失态。这是骑士不该有的行为。”
 
阿尔蒂娜微笑着。
  “没关系的。••••••如果说那是失态的话,在我面前失态,阿尔蒂娜很高兴的。而且••••••我们约定忘记那天的事的吧?”

她拉着菲恩让他站起来。
 
“其实••••••我有事想拜托您。”
 
“什么事?”

“刚才,被利夫和南娜抢占了时机,我还没有对你说‘欢迎回来’。现在,这里,请让我说出来。”

阿尔蒂娜稍稍弯腰抬起手微笑了一下。

“菲恩,欢迎回来。”
 
菲恩哈哈一笑。••••••阿尔蒂娜的这个动作和表情,和刚才利夫以及南娜有些相似,但更是和遇到变成石像的拉格茜丝时相似••••••不,在莎拉的别墅中遇见自己时阿尔蒂娜也是刚才的表情••••••那时的自己,根本没有去看她的表情••••••利夫和南娜以及阿尔蒂娜如此重视自己这样卑微的自己他过去总是无法理解。
 




自己不仅仅是作为一名骑士存在的。
 




枪骑士径直靠近阿尔蒂娜,小心翼翼的用双手包住她的右手。
 
“阿尔蒂娜大人••••••”

阿尔蒂娜不解枪骑士的行动于是轻声问道。

“怎么了。菲恩?”

“••••••”
 
枪骑士无法将想法诉诸于话语。
 

自己不再会离开雷斯塔了吧。••••••不是作为骑士以及家臣的义务感觉,是自己的意志想辅助利夫以及阿尔蒂娜,••••••而且自己想成为联系他故乡特拉基亚和雷斯塔的纽带,这样想着,菲恩微笑着。
 
“菲恩••••••手,很疼。”

送开紧握的手,枪骑士红着脸跪下谢罪。阿尔蒂娜笑着原谅了他••••••然后弯下身体,在他的轻轻吻了一下。
 
雷斯塔的枪骑士。他在圣战后,度过了3年的空白后,回到了雷斯塔,这段时间到底他遇见了些什么,我尝试着捏造了一些故事。(有些地方和原来的设定有冲突,请原谅。)

我想菲恩一定在这3年里超越了什么,并且是伴随着苦难的。在其他的主页上有很多拉格茜丝公主成了菲恩的妻子,他去寻找她的讲法,我想拉格茜丝不是他的妻子,要是的话又会怎样呢?想了很多结果就成了这样的一个发展。让骑士变得软弱起来,但一直如同神一样(原意是“鬼一样”,日本人会把骁勇的人称为“鬼”)可靠的人,所以偶尔让他流露出这样的感情也觉得不错。我想作为辅佐角色的他很少流露出温情是个相当口不对心(狸子?)的人。


在结局的地方,菲恩救出了拉格茜丝•••••若是没有根据的吓说说,我想他是希望得到她的夸奖。从某个意义上说,要是能救出她一个人那么自己要做的事就肯定完成了吧。•••••实际上这是不可能的。•••••还有其他需要他完成的大事。

最后一行是个优惠。没有任何恋爱流言的枪骑士给予爱的手•••••想是这样的,不过那时菲恩肯定面红耳赤的连忙道歉吧。(主动亲的可是公主啊)•••••像你这样的管理人我很喜欢。一直被依靠的他要学会如何依靠别人估计还有很长的一段路要走。

但是,不知怎的写到蒂娜的时候有种幸福的感觉还想做点什么呢。(呀~那孩子的连续空放在游戏中是要爆发怒火的啊。)



完成...

フィン 2006-06-22 07:07
看完了,感谢十字锁链的劳动
再次确认:自己果然是菲恩独身派的支持者
更确切的说是我还是倾向于菲恩对拉没什么感觉
而对阿尔蒂娜的感情,有待发展

雷文·菲鲁赛迪 2006-06-22 13:05
嘿嘿,这篇我可没贴呢。

封印の槍http://bbs.fireemblem.net/read.php?tid=128356&fpage=1

360922858 2006-06-22 13:12
怎么说呢……还是觉得……菲恩单身有点不现实……即使不娶拉克西斯……以菲恩的条件……绝对还是有不少人爱他的……只不过……不知道他会不会接受就是了……可怜的……菲恩……

MadScientist 2019-02-20 10:41
老拜是保护拉时被变成石像的,当然就是那个“必死”的姿势了。

而拉格茜丝被押到地下殿,见到老拜这么拼命保护自己的神态能不触景生情吗?

拉格茜丝被变成石像的神态是难舍温柔的微笑。菲恩刚一看见不还以为是对自己的微笑吗?

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