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火花天龙剑 -> 创意的永无乡(IF 作品区) -> 这是.....动画短篇集吗?
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闇の皇女

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这是.....动画短篇集吗?

http://www.ideaf.co.jp/generation/dvd.html
http://online.ram.ne.jp/online/secondary/goc/goc.html


[ 此贴被闇の皇女在2006-04-04 07:26重新编辑 ]


デミトリ「また風の中でお会いしましたね。
私から与えた若い体がお気に召しますか?」

ゲニ子「いえ…もとの体にもどさせていただきますよ、
ダークストーカー!」

[楼 主] | Posted:2006-03-29 05:00| 顶端
leosank



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DVD特典啊,初回限定版送的.

哪个被锁在十字架的一幕真让人怀念,2001某本电XXXX杂志名字忘记了,有很大篇幅介绍.

哪时候真想玩,可惜没PS2.时间真快....

PS:话说能不能翻译你哪贴里的日文


[ 此贴被leosank在2006-03-29 06:22重新编辑 ]


NEVER LAND
[1 楼] | Posted:2006-03-29 06:16| 顶端
闇の皇女

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「最近、ヴィレッタの様子がおかしくない?」
唐突に吐かれた台詞。そこに居た男二人は言葉の発信者を驚いた様に見つめた。
SRXチームリーダー、アヤ=コバヤシの一言によって騒動の幕が開く。
新西暦195年・L6コロニー ピースクラフトアジトにて

昼食時で賑わうアジトの食堂の一角を奇妙な格好をした一団が占領していた。
構成は男二人に女一人。そして、そこから少し離れた位置に更に男が一人。
計四人のその集団は何を隠そうガイアセイバーズ所属のPT部隊SRXチームなのだ。
過去の英雄が何故に未来世界にいるのか?
……種明かしをするならば、熊ヶ岳に潜んでいたデビルガンダムを潰したら未来に飛ばされてしまったからなのだ。
しかし、場所が何処であろうが芸風が変わらないのがSRXチームの長所であり、美徳である。
未来世界に飛ばされてから僅か数日で、彼等はその生活に適応していたのだ。

「なあ…様子がおかしいって、どんな風に?」
チーム一の問題児、且つ熱血漢が興味深そうに話に乗っかってきた。
リュウセイ=ダテ。18歳。漢字で書くと伊達隆聖だ。ロボオタクの格ゲーマニア。寺田Pの分身と言う説すらある多感な青年だ。
「うーん…具体的に何がおかしいって言われると微妙な所だけど…」
冬馬声のミニスカノースリーブがプリンアラモードにスプーンを突き刺して、気の無い声を発した。
アヤ=コバヤシ(古林彩)。21歳。
階級は大尉。良い歳こいたご婦人がその格好は恥かしくないのか?作品の都合上、マイマイは出演しません。
「そうなのか?……いや、様子がおかしいって言われても、俺はヴィレッタと出会って日が浅いからなあ。なぁ…ライは気付いてるのか?」
「うん?」
リュウセイが振った男は日本茶を啜りながら、うーん、と義手の左腕で顎を掻いて思い当る節を頭の中で巡らせていた。
「そう…だな。おかしい…と言う事の程かどうかは判らんが、違和感は確かにあるな」
ライディース=F=ブランシュタイン。19歳。
日本人とのハーフで、名門軍人家系ブランシュタイン家出身の凄腕。Fはフォン(ドイツ語でV)の誤表記でフジワラは後付設定だ。
「そうなのか?…でも、明確におかしいんじゃなくって、ただそれは感覚的な違和感なんだよな?」
「まぁ…そうだ、な」
「それって何か問題あるのか?」
リュウセイは焼きそばを頬張りながら、言葉を紡ぐ。
周りの人間誰もが気付くほどの異常ならばそれは周りの者が手を差し伸べて改善を促すのが常だろう。
しかし、明確な以上が見当たらず、何ら職務に支障を来たしていないのならば一々目くじらを立てるほどの事では無い。
焼きそばを咀嚼しながら、そんな様な事をのたまうリュウセイ。喰うか喋るかどちらかにして欲しい。
「リュウ?貴方ちょっと冷たくない?仲間に対して」
「んな事言ってもなぁ…俺はヴィレッタの事は殆ど何も知らないぜ?
そりゃあ、二人は情報局務めとTDF参謀職だったから詳しいかもしれないけど…」
「あ…そうだったわね。ごめんなさい」
リュウセイの言おうとしている事を察して、アヤが謝った。
バルマー戦役後、ずっと独房に軟禁状態だったリュウセイの言う事は今のアヤやライには非常に重たい。
幾ら厚遇され、『スパロボシリーズを遊び倒して』いようとも、だ。
…本当だろうか?
「まぁ、そりゃあ良いんだ。過ぎた事だからな。…でも、実際さ、ヴィレッタってどんな奴なんだ?
話した事もあんまりないけど…凄く大人しい娘と言うか、クールな娘だな位には思ってたけど」
「む…まぁ、捕らえ方は間違っていないな。余り感情を表には出さない女だし、任務に対しては忠実だ。
その評価についても素晴らしいの一言に尽きる。…そうだな。兵士としては非常に優秀だな」
ライは月見蕎麦の汁を飲み一息ついた。一兵士としては優秀と言うのが彼のヴィレッタに対する評価の様だった。
「ああ…。それは彼女の戦い方を見てたら判るよ。でも、なあ」
「うん?どうしたの?」
一瞬何かを言い掛けて止まったリュウセイに興味深げな視線をアヤは向けた。
リュウセイもそれに気付き、言って良いのかどうか判断に迷ったが、咳払いをした後にそれを言った。

「ほら…さ。彼女…この時代の人間なんだろ?」
「え?ええ…そうね」
「俺等からすりゃ、未来人だ。その正体がばれたのがつい先日だろ?そしてその矢先に自分の故郷に戻ってきちまったんだ。
…それで、戸惑ってるんじゃないのか?」
「・・・」
この時代は嘗て居た私の時代とは微妙に差異がある。ヴィレッタはリュウセイ以下の前でそう語っていた。
それが原因で頭を悩ませているのではないのか?…リュウセイの見解だ。
「むうぅ…リュウセイもやっぱりそう思うのね」
「あ?」
「?…大尉?と、言うと…」
だが、その答えもアヤは既に自分の中で考え付いていた様だ。リュウセイもライも今度はアヤの見解を聞く為に視線を集中させる。
…決して胸元へは行ってません。
「私もそれは思ったのよ。でも…彼女の様子がおかしくなったのは私達に正体がばれた直後…
そう、史上最大の侵略作戦でごたごたしていた最中からだった様に思うのよ。…時期的に少しばっかりずれるのよね」
「あの時…ですか」
またしてもライが日本茶を啜り、その時の様子を思い出そうとしていた。
「ん?何か思い当る節でも?」
「いや…彼女も感情を表に出さないとは言っても、鉄面皮ではない。
確かに回数は少ないが笑う事もあれば、悲しむ事も、驚く事もある。感情表現は出来るんだよ。でも…あの時の彼女は……」
「どう、だったんだよ」
「そうだな…ずっと何かを考えていた様な気がする。妙に呆としていたしな」
ズルズル……蕎麦を啜って、あまり噛まずにライは飲み込んだ。
「んー…ずばりその時の姿が今のヴィレッタにも当てはまるのよねぇ」
「それって感情の起伏が乏しくなってるって事か?…考え事して、ボーっとしてるから」
「表面的に言うとそんな所ね。でも、原因が判らないのよ。それが気になっちゃって」
リュウセイの的を射た問いに答えると、アヤはカップに注がれたレモンティーに口を付けて、息を吐く。
「気になるのよねぇ」
「確かに…そうですね」
ライもまたヴィレッタの様子の変化には多少興味を持っていたので、自分なりの仮説を見出そうとするが、所詮は他人事だ。
そう都合良く閃くものは無い。
「むむ…ひょっとして」
だが、そんなアイデアの不作に喘ぐSRXチームに於いて、リュウセイだけは頭に電球が光った様だった。
「何?何か判った?」
「一応聞いてみるが…それは何だ?リュウセイ?」
リュウセイの発した一言は周りの空気を凍てつかせた。

「恋患い…なんじゃねえの?」

「…聞いた俺が馬「それよっ!」
聞いて損したとでも言いたそうな失望したライの声をアヤのそれが掻き消す。どうやら、リュウセイの意見に賛同したらしい。
「きっとそれよ!だとしたら四六時中心此処に在らずも説明出来るし!…迂闊だったわ。何でそれに気が付かなかったのかしら…」
「あの…大尉?」
呆れた様に問い返すライの言葉は届かなかった。
「だろ!?外面だけ見ると、ヴィレッタってかなりイケてるよな!?格好良いし、おっぱいデカイし!」
「別に貴方の意見は聞いてないわよ。…まさか、リュウセイ?…貴方が」
「いや、俺じゃないぞ?確かにそう言う部分で魅力は感じるけど、その他の部分でのマッチングが宜しくない。
…それに俺は生身の女性よりはロボットの方が」
「リュウセイ?…お前の趣味にケチは付けんが、体外にしておかないと泣きを見るぞ?」
皮肉の篭ったライの台詞をリュウセイは全く意にも介さなかった。
「しかし…そうなると、相手は誰なんだろうな」
「私が知るわけ無いでしょう?でも、本当に誰かしら?あのヴィレッタのハートをゲットしちゃった幸運な男って」
「少なくとも、自分には判りませんね。こればかりは本人にでも聞くしか……」
話題が妙な方向に盛り上がりつつあるSRXチームは此処に来て壁にぶち当たった。
昼休みもそろそろ終わりだが、彼等に与えられた仕事などは何一つありはしない。多少、時間とハメを外しても平気なのだ。
…そんな暇があるんならL8コロニーにさっさと向かって話を進めろ、と言いたくなる。

「いや…そうでもないぜ?」

「「え?」」
一条の光明が射す。その元凶はまたしてもリュウセイだ。
「居るじゃねえかよ、それを知ってそうな奴がさ。
……なぁ、そうだろう?イングラムの兄さんさぁ?」
一斉に視線がその男に集まる。
彼等の占領したテーブルから二つ程離れた位置で昼食を取りながらトレーディングカードを整理する暗い男が一人だが確かに『居た』。

「え?俺?」

唐突に話を振られた青ワカメは間抜けな声と顔を晒した。
イングラム=プリスケン。今まではぶられていたお兄さん。
α最終決戦後、何故かSHO世界(ヴィレッタ準拠)に跳ばされてしまった悲劇(喜劇)のたいむだいばー。
自称ピッチピチの二十代後半にしてヴィレッタの兄(仮)と言う胡散臭い奴。
最近は屁垂れ化に輪を掛けて、似合わなくも周囲の好感度ポイントを順調に稼いでいる先生である。

「えーと…俺が何だって?」
「おいおい。恍けなくても良いだろ?話は聞いてたんだろうし、大体察しはついてるだろ。ヴィレッタのお相手さ」
α世界ではないのでリュウセイはおもいっきりイングラムに対してタメ口である。だが、イングラムはそんな事は気にしない。
「御免なさい全然話が判りません」
スパッと慇懃にリュウセイに返答してイングラムは背を向けた。
そうして、彼のお宝であるトレカを弄りながら箸を動かす。本日の彼のランチは山盛りの餃子定食(行者ニンニクたっぷり)である。
「だあぁ!冷たいぞイングラム!仮にもヴィレッタの兄貴なんだろう!?気にならないのかお前は!!」
「だ・か・ら!何の話だと言っている!話の流れについて行けてないんだこっちは!!」
「しょぉがねぇなぁ~~!?耳かっ穿って良く聞きやがれ!」
「頼んでないぞ……」
一方的に捲し立てるリュウセイのテンションを捌けないイングラムは強制的に彼等が盛り上がっている話題を聞かされてしまった。

「…で、だ。俺達はヴィレッタが誰かに恋患いでもしてるんじゃないかと予測した訳だ。
でも、残念な事に俺達はその相手が誰だか検討が付かないんだよ。だから、お前なら知ってると思って…」
「で…それがどうした?」
「どうしたって…それだけかよ。妹、何だろう?」
「知らんね」
今度こそ興味が失せたイングラムはパクパク餃子を口に放り込みながら冷たい言葉を放っていた。
「アイツが誰と付き合おうが知った事ではない。そこまで俺はヴィレッタの行動を制限しないし、アイツも大人だ。自己責任の範疇だろう」
正論を吐いたイングラムにリュウセイは口どもる。そんなイングラムからは何故かリュウセイは違和感を覚えた。
「…な、何か不機嫌になってないか?」
「何を言っている?」
「いや、気のせいなら良いんだけどよ。何か何時ものお前らしくない…みたいな」
「それこそ気のせいだ」
やはり、何かしらの違和感があるとリュウセイは感じる。
イングラムもヴィレッタ同様に口数は少ないが、感情表現はヴィレッタ以上に豊かである事を出会ってから短い期間で彼は理解していた。
それに、普段からこの男は厳しい事を言う事はあっても突き放す言い方は決してしない奴だとも。
「そう言えば…うん。やっぱり…」
そして、新たな疑念が浮かんだアヤに電球が光る。
「ねえ、イングラム?貴方、最近ヴィレッタと一緒に居る事が無いみたいだけど…」
「む?……ああ。そうだな。…それで?」
「それでって…貴方達、何時も一緒に居たじゃないの。戦闘行動以外でもべったりだった時期がかなり長くあったのを私は覚えてるわよ」
アヤの言葉を受けて、今度はライまでもが動き出した。
「確かに。お前達を見て、随分と仲の良い兄妹だと俺も思ったほどだ。それが最近になって全く見られていないな」
「あのな、兄妹は四六時中顔を合わせなければいけない間柄では無いだろう?そんなのは偶々なだけだ」
ライスを掻き込み、また餃子を喰って、咀嚼。ゴクリ。喰いながら喋るのはマナーが悪いとイングラムは判っているらしい。
「そうか…お前等って仲良かったのか」
リュウセイは感じ入るような目でイングラムを見る。そして、焼きそばを喰いながらイングラムに問うた。
「なあ…(モグモグ)お前ら、ひょっとしたら喧嘩でもした…(ゴクン)っしたのか」
「だから、食うか喋るかどっちかにしろ。
俺とヴィレッタが?……いや。別に口論したり殴り合ったりした事は一度だって無いぞ」
「(ゴクゴク…)っ、そうか」
自分の当てが外れた事に対してリュウセイは落胆する。お冷を飲みながら。
「うーん…でも、喧嘩したって訳でもないのに擦れ違ってるって言うのも変な話ねぇ」
「何か別の要因があるんでしょうか……それとも本当に恋患いを…?」
アヤもライもお手上げと言った感じに匙を投げた。兄であるイングラムにすら解らないと言うなら、もう後は本当に本人に聞くしかない。
だが、それでもリュウセイは追撃を諦めなかった。
「なぁ…本当に心当たりは無いのか?」
「それは俺とヴィレッタの間に関して、と言う事か?」
「ああ。良く考えたら、どうも恋患いとは違うみたいだからな…」
「む……心当たり、と言えば…」
そうして、餃子の山を八割方無力化したイングラムは軽いゲップを吐き、己の過去を振り返った。自分とヴィレッタの遍歴でどちらからとなく擦れ違いそうな原因になり得るものと言えば……

(…構わないんだよな?)(ん…)
(あ…でも……痛く、しないでよ?)(歯を喰いしばって耐えてくれ。…軽い痛みで済む様にお祈りしてても良いかもな)
(う、うん……ぁ、っあ……うあ!)(あぐっ…!う、うんんっ…っ、はぐっ!)

『…っ!』『痛ぁっ!!』

(ゴメンな。…痛かっただろう?)(……うん。でも、耐えたよ?私…)

「最高に……具合が良かったなぁ(照)」
該当する記憶が一件だけある。最高にいかがわしくて、深く根を張っているだろう事象だ。
その時の行為の記憶を脳内で反芻したイングラムは途端にニヤケ顔になった。
…俺もあの時は柄にも無く頑張った気がする。あの時のヴィレちゃん…かーいかったなぁ。
「ちょっと待て!何かあるのかよ!?いかがわしい香りがするぞ!?」
「きゅ、急に真っ赤になったな。…何があった?」
「って言うか、今貴方は何言ったの!?聞こえなかったわよ全然!!」
三者三様の突っ込みが入る。イングラムは未だにトリップ状態から帰って来ていない。
「こりゃ、決まったな。原因は兄妹間の溝か」
「ああ。間違い無い。原因が判ったのならば、話も早いな」
「なら、早速…問題解決を図りましょうか。…ふふ、楽しめそうね」

「………はっ!?…う、ゲフンゲフン。…あー、済まないが俺には検討が付かないな」
漸く現実世界に帰って来たイングラム先生は取り返しのつかない事態になっている事に気付いていない。
「はいはい、良ーく分かりました。…それじゃあ、行こうぜイングラム」
「何?」
リュウセイの台詞を理解できなかったイングラムは目を丸くした。何処に、行くって?
「決まってるだろ?ヴィレッタの下へだよ。それが問題解決への一番の近道だからな」
「お、おい!何だってそうなる!…く、糞。ライディース!お前までこんな馬鹿騒ぎに興じるのか!?」
「馬鹿騒ぎとは人聞きが悪い。…仲間の心配をするのは当然でしょう?寧ろ。協力したいと願い出るのは悪い事なのですかな?」
上手く言葉は飾っても、そんなモノは方便以上の何物でも無い。嘘では無いが。
「ぐっ…大きく出たな、貴様。…ブランシュタインの末席に名を連ねる者がこんな騒ぎに乗る、とはな。…マイヤー殿が泣くぞ?」
「あ。今、僕は勘当中の身なんでご心配無く」
「………アヤ?ひょっとして、お前等…俺で遊びたいだけなのか?」
「あら♪嫌ですわイングラムさん?そんな人聞きの悪い…
貴方とヴィレッタの二人に決まってるじゃありませんか♪」
最早、こいつ等に言葉は通用しない。何時の間にか、弄られキャラが定着したものだと涙が出てくる。
「……未だ、飯を喰い終わってないんだがな」
「それぐらいは待つよ。…五分だけな。大体、食い終わってる見たいだし、妥当だろ?時間稼ぎはさせないぜ?」
あっさり先手を打たれた。こうなったら…状況に流されるしかない。やれと言うのならやってやる。だが、この屈辱は決して忘れない。
「ああ……判ったよ。貴様等全員…後で覚えておくが良い」
「「「多分、忘れてます」」」
「安心しろ。俺が覚えてるから。…一人一殺で勘弁してやるよ」
「「「マヂデスカ?」」」
はい、大真面目です。
どんより鈍色に光った先生の瞳が本気である事を訴える。弄りすぎには注意しましょう。

食堂を出てコロニー内通路を歩く珍奇な集団。先導するアヤに続いてリュウセイ、ライ…そしてイングラムの順。
「それで…?出てきたは良いが、件のヴィレッタは何処に居るんだ?」
「はぁ?…ライ、俺が知るわけ無いだろう」
リュウセイがライに手をヒラヒラさせながら答えた。行こう、と第一声を発しておきながら居場所を知らないのは問題だ。
「はいはい安心して。場所なら私が知ってるわ。…多分、司令室ね。ハワードさんに呼ばれてたみたいだから」
だが、居場所についてはアヤが知っていた。今は彼女が先導役だ。
「・・・」
「渋い顔してるわねぇ。…イングラム?そんなに嫌なのかしら」
振り返って最後列を歩むイングラムにアヤはわざとらしく聞いてみる。返って来た答えは予想の通りだった。
「んなもん当たり前だ。……全く、何だって俺が…」
「ふぅん?ひょっとして…照れてる、とか」
そんなイングラムにアヤはからかう様に言ってやった。すると、すぐさまライとリュウセイは飛びついた。
「何だそれは?本人を前に言う事では無いが……イングラムにそれは似合わない。イメージではないし、何より不気味過ぎる」
「はは、確かに…!はっきり言って、似合わねぇ。そうじゃなかったら、愛憎か…痴情の縺れか……いや、それこそ有り得ねぇよなぁ」
ゲラゲラゲラ。周りの目も気にせずに二人は笑う。しかし、笑えない立場に立たされている人間が一人だけ居た。
列の最後尾…道行く三人から大きくポツンと離れた場所に項垂れた男が冷や汗を垂らしながら歩いていた。
無論、我等が先生である。
「?……ちょっとどうしたの!遅れてるわよ!」
「ぅ…言葉が胸に刺さって痛い…いやいや、足取りが重い……いやいや、今直ぐ逃げ出したい…じゃなくて、えーと………な、何だっけ?」
「いえ……隊列から離れ過ぎてるってだけなんですけど」
ライと(主に)リュウセイの言葉がイングラムの柔らかいハートをズタズタにしてしまった。歩くたびに体力が削られていく。
毒に冒された状況と言うべきだろうか?精神的なモノなのでメディグラスは一切効きません。
しかし、そんなイングラムの心情は無視し、一行は司令室前に到達してしまった。

「それじゃ、私は司令室に行って来るわね。…ここまで来て、ヴィレッタが居なかったら困るから。……ここで待機してて?」
「行ってらっしゃ~~い」「分かりました」「……了解」
颯爽と司令室内部に突入して行くSRXリーダー。その足取りには微塵の躊躇も無い。
……色んな意味で一生懸命なのかもしれない。そんな考えがイングラムの頭を過ぎった。
「なあ…」
「むぅ?」
リュウセイがイングラムに話しかける。少しばかり遠慮がちなのは、イングラムの表情の為である。
「怖い顔しやがって。そんなに…ヴィレッタに会いたくないのか?」
「……此処まで来たなら、会うしかないだろう。…俺が気になってるのは、寧ろアヤの事でな」
「大尉の……?」
ヴィレッタの事かと思ったがそうではないらしい。それが以外だったライが今度は声を上げていた。
「…アヤのあの格好についてだ。平然と着こなすアヤもアヤだが…それ以前にあの制服を通したのは何処の誰なんだ?
何やら…問題がある様な気がするんだ」
主にソイツの頭の構造について。そう付け加えたイングラムに二人は頭を横に振った。
「知らねぇ」「知らんな」
「………その事について、お前等どう思う?」
一瞬だが、二人は黙り、互いを見合った。そうして咳払いしてこう言った。
「……こう言っちゃ何だが……俺は見飽きたよ」
「大尉には失礼だが、今は痛いだけだな」
二人は正直だった。可哀想に。イングラムはちょっとだけアヤに憐憫の情を向けていた。紅一点はやっぱり色々と大変らしい。
ああ…そうさ。俺も見飽きてる。こっちの世界と向こうの世界。お前達の少なくとも二倍はな。
そんな言葉が喉を通過しそうになったのでイングラムは飲み込んだ。
「…っと、帰ってきたな」
アヤが指令室内から出て来た。その顔を見る限りでは……中に居るらしい。
「お前等…今の話は忘れろよ」
「「(コクコク)」」
イングラムは本人には聞こえない様に、二人に小声で囁いた。

司令室から出て来たアヤは目配せをしながら三人に指示を出す。もう後数分でヴィレッタが現れる。
それが絶好の機会だと言いながら、司令室入口から少し離れた物陰にチームを牽引した。
そして…張り込みから凡そ五分の後、何も知らない生贄が司令室から出て来た。

生贄の名はヴィレッタ=プリスケン少尉。この世界での要であり、ユーゼスクローンである主人公。
……の筈なのだが、二週目の兄・イングラムの強さには遠く及ばず、戦闘面では日陰者になりつつあるお姉ちゃん(見た目19歳)。
先日、イングラムのエクスガンナーとコネクトを果し、怪我人となったが復帰を果した模様。

リュウセイとライがそんなヴィレッタに駆け寄っていく。
「ふいぃぃ…やっと見つけたぜ」
「此処に居たのか。随分と探したぞ」
「?…あら、リュウセイ。それにライも」
…出遅れた。そう思い、リュウセイとライに続こうとしたイングラムだったが、アヤがそれを制した。
「む…」
「貴方の出番はもう少し後ね」
今は私達に任せろ。そうアイコンタクトが為される。
「私を…?何か御用でもあるのかしら」
「あー…用って言うか、アレだ。……最近、様子がおかしいって言うから心配になってな」
「様子がおかしいって…それって、誰?まさか、私の事を言ってるのかしら?」
「ああ、そうだ。最近どうも上の空だったり、魂が抜けている事が多い様だからな」
離れた位置からヴィレッタの視界に入らぬ様、耳を欹てる。会話を聞く限りでは…未だ出る機会ではないらしい。
今は大人しくしている時だ。イングラムもアヤもそう決めた瞬間に、会話をしていた三人が司令室前から移動を開始した。

「それは…気のせいじゃない?心配される様な事ではないと思うけど」
「んー…それが俺一人の思い込みだったならその線もあるけどさ。
…ライもアヤもお前の様子が妙だって言ってるんだ。俺は思い過ごしと思いたいんだけど」
「……考え過ぎよ」
「それは違うな。俺や大尉は平時のお前を知っているからな。…だが、今のお前はそこからかけ離れて異質だ。心配せん訳にもいかんだろう」
後方で一定の距離を保ちながら、様子を伺う。
遠くから見る限りでは、ヴィレッタの様子は普段のモノと何ら変わらない気がする。
おかしな部分は何処なのか?イングラムには未だ見えていなかった。
「…………そう、ね。確かに最近、集中力が途切れがちだったり、思考が纏らなかったりする事はあるわ」
「そうなのか…。自分で自覚してるって事は間違いや気のせいじゃ無いって事だよな」
「ええ。認める。…だけど、それが何?確かに今はこんなだけど、職務に支障は無いし、ミスだって無いわよ?」
「今の所は、な。だが、それが重症にならないと言う保障が何処にも無いのもまた事実。俺達が心配しているのはそれだ。
…お前には御節介かも知れないが」
「ええ。全くその通りね」
少しだけだが空気に緊張感が混じる。ヴィレッタの苛立った様な声を聞いたアヤはここが出所だ、と見抜き三人に歩み寄って行った。
イングラムへの指示は尚も『待機』。取り残されたイングラムは前方の集団を尾行する。

「こんな事言うのも悪いけど、二人共神経質過ぎるわ。私は大丈夫。悩みなんて無いし、時間が経てばこんなのは治…「嘘ねそれは」
アヤの言葉がヴィレッタのそれを遮った。
「ア、アヤ大尉…?」
SRXチームが全員集結。合流したアヤは落ち着いた口調で話し出した。
「そもそも悩みが無いって事自体が疑わしいわ。例えそうであったとしても、貴女がそうなった原因は存在している訳でしょう?
…体調が悪そうには見えないしね」
集結したSRXチームは包囲戦を展開。囲いを狭めてヴィレッタを追い込んで往く。
「なあ…何かあるなら、話してくれねえか?」
「まあ、待てリュウセイ。話せる内容なら良いが、本人にとって話したくない内容かも知れない。無理に聞き出すのは宜しくないぞ」
ヴィレッタは無言のまま歩き続ける。そうして、居住区画へと続く分厚い鉄の扉を前に一行は到達した。
そこでアヤは決めに掛かった。
「話せないなら、それも構わないわ。…でもね、ヴィレッタ?悩みは基本的に自分で何とかするしかないけど…
その為に塞ぎこんでしまった確実に煮詰まるわよ?そして、そのまま自分の中に蟠りやら何やらを飼うのはナンセンスだわ」
「・・・」
「そんな顔しないで?…そう言う時、一番手っ取り早いのは、誰かに話して助言の一つでも貰う事だけど……
それは貴女自身が望んでいないようね」
「?…ア、アヤ……?」
ここに至って漸くヴィレッタが異変に気付く。
SRXチームによって三方から包囲された自身の状況と、口の端を歪めたアヤの表情がそれを確信させた。
「まあ…後、何か方法があるとすれば…」
アヤが片手を天井に向かって振り上げた。最後の人物への合図だ。

…どうやら、出番らしい。正直やってられないが、ここで変に物怖じすれば余計にみっともなく写る事は間違い無い。
(…行くか)
イングラムは物陰から飛び出し、通路の真ん中に立った。

「な!?……あ」
その姿を目視し、ヴィレッタの顔が変貌する。涼しげなクールな表情は後退し、余裕の無さがありありと顔に滲んでくる。
「…方法があるとすれば、それは悩みの原因と直接対決する位かしらねぇ?」
「「(ニヤリ)」」
アヤの言葉で他の二人も口の端を歪めた。悩みの種であるイングラムを突きつけられたヴィレッタはこれからどう出るのか?
SRXチームは楽しみで仕方が無い。
「よう。妹」
「ぅ…」
「ここ一週間、全く会話が無かったが…恋患いだって?」
一歩イングラムが踏み出した。ヴィレッタは逃げる様に一歩退く。だが、後ろに控えている扉の為にそれ以上の後退は出来ない。
「なっ!?……そ、そんな、大層なモノじゃないわよ」
「ほう?…そうか。だが、原因は俺にある…違うか?」
「・・・」
ツカツカ歩み寄るイングラム。距離が縮まる度にヴィレッタの顔色は芳しく無くなっていった。
嫌悪や憎悪とは違う戸惑いの表情も如実に現れ始めた。
「図星、か。…さて、そう考えると…俺の行動に何か拙いモノがあったって事だな。だが、残念ながら俺の方に心当たりは無い。だが、そっちにはあるんだよな」

「寄らないでっ!」

ヴィレッタから凡そ三メートルの半径を踏み越えた時、ヴィレッタは叫んだ。イングラムは足を止めて、うろたえる事無く口を開く。
「寄るなって…それはどうして」
「……お願い。頼むから、これ以上は」
たどたどしく、しおらしい口調でヴィレッタは返す。そんな二人をSRXチームのメンバーはニヤニヤしながら見つめていた。
「悪いが、却下だ。近付かんと込み入った話も出来ん」
イングラムはヴィレッタの言を無視し、再び近付こうとした。
「っ!」
確実に距離を詰めてくるイングラムにヴィレッタは目を丸くする。
歩みを止められないと判断した彼女は、その場からの退避を決め込んだ。
その場で回れ右をして反転。居住区画へと逃げ込むのが彼女の算段だ。
しかし…

「「「あ」」」

ガンッ!!
「あぁうっ!!?」
でかい衝突音が木霊した。完全に開き切っていない扉にヴィレッタが勢い良く顔をぶつけたのだ。
「ブ、ぷっ…っ!!」
そんな普段の彼女からは有り得ない痴態を目撃したリュウセイは笑い出しそうになるのを懸命に堪えていた。
「く、くく…ふ、ふ」「うわ…痛そうっ」
ライもアヤもそれは同じだ。
「ぅ…あ、ぁ……痛っ」
「……全く、何をやっている」
痛みと衝撃でふらつくヴィレッタにイングラムは颯爽と駆け寄っていた。
「どれ…見せてみろ」
「あ、痛たた……え?」
肩を捕まれた感触で顔を上げると、ぶつけた額を覗き込むイングラムの顔が矢鱈と近かった。
それこそ吐息まで感じ取れそうな近い距離。ヴィレッタは赤面する。
「…少し赤くなってるな。濡れタオルで2、30分冷やせば…」
「…!!!」
ドン!
「う、うお!?」
真っ赤になったヴィレッタはイングラムを突き飛ばし、居住区画に走り出した。
「お、おい!……はぁ。やれやれ、嫌われたもんだ」
逃げ去ってゆくヴィレッタの背中を目視しながら、イングラムは嘆息する事しか出来なかった。

「あー…すまん。逃げられたな」
「そうだな。ここまで追い込んだのに、惜しい事をした」
「いや、でも…ヴィレッタ、マジで重症だな。あんなにうろたえてる彼女は初めて見たぜ」
「でしょう?…って、私もここまで酷いとは思わなかったけど」
包囲を破って離脱したヴィレッタ。イングラムは謝り、SRXチームの三人は残念そうに今は閉じた扉を注視した。
ここまで追い込んでおきながら逃げられるとは、詰めが甘い事この上ない。
だが…SRXチームは心に浮かんだ別の疑問を解消する為にイングラムを不審そうに見つめる。
何故、彼女は逃げたのか?重要なのはそれだ。
「……な、何だ?」
「イングラム…お前、彼女に何をした?」
「………知らん。心当たりが無い」
「おいおい、本当かよ?」
「お、俺だって知りたい」
ライとリュウセイの詰問をイングラムは避けた。心当たりが無い、なんてのは嘘だ。恐らく、自分は真実に一番近い所に居る。
だが、それは他人に話せる内容なのか?
…言える訳が無い。妹を喰っちまいました、等口が裂けてもだ。

「まあまあ…でも、これで判ったでしょう?あんな状態のヴィレッタは放っておけないわ」
アヤは早々にイングラム叩きから身を引き、消えたヴィレッタの心配を始めた。それもそうだな、とリュウセイとライも頷く。
「そうだな」
「良っしゃ。俺たち出来るのはここまでだ。後は任せたぜイングラム」
何だかんだ言ってヴィレッタが心配なイングラムも頷いて見せた。リュウセイ達は後の任務をイングラムに託す事を決めていた。
「何?」
「当然だろう。明らかに彼女がああなった原因はお前だ。だから後は当事者同士で何とかしてくれ。
…これ以上首を突っ込むのは無理だろうからな」
ライは理解したのだろう。二人の間の問題は部外者が立ち入って良いものではない。当事者同士で解決するしかない事だと。
「……ああ。分かった。何とかしてみる」
「これで決まりね。…じゃあ、私達はここで帰投するわ。貴方はこのままヴィレッタの追撃を。良い?」
此処に至って漸くイングラムは乗り気になった。
初めは付き合い程度の軽い気持ちで動向したが、ヴィレッタの姿を見せ付けられてか、心に動揺が奔りだす。
若し、抱いた事が問題だと言うのなら…いや、それはもう間違い無い。それならけじめは付ける冪だ。動揺と同時に決心が心に湧いてきた。
「承知した。…余り期待されても困るがな」
アヤにヴィレッタの追撃任務に就く事を明言し、拳を握り締める。

「…火点け役としては十分だったよ、お前達は」

そう言って、イングラムは多少皮肉った礼をSRXチームに言った。
何だかんだ言っても、気の良い奴等だ。多少、お節介っぽい所もあるが今回はこれで十分。
自信は無いが、後は任せろ。心の中で彼は呟く。

…そうしてヴィレッタへの攻撃は此処で終了と相成った。
自室へと引き上げていくSRXチームと別れ、イングラムはヴィレッタの走り去った方角へと回頭したのだった。

「はあ…」
人通りの少ない居住区画通路を沈んだ面持ちでヴィレッタは歩いていた。
…あの時、どうして逃げ出したのか?行動を振り返って見て、その時の己の行動がどうしても理解出来なかった。
思考が掻き乱され、何もその時は考えられなかった。拒絶の台詞を吐いてみたりしたが、それもどうしてだか判らない。
そうしてイングラムに顔を覗き込まれた時、もうその時点で反射的に突き飛ばしていた。
だが…確かなのは胸が今まで感じた事の無い程に痛かった事だけだ。
「病気…なのかしら」
そう呟いてヴィレッタは笑う。
何を馬鹿な。病気だとしたらそれは一体何なのか?感染症の類では無いし、精神が病んでいると言う事も考えられない。
『恋患いだって?』
不意に…先程のイングラムの言葉が頭の中に木霊した。
「違う…そんな事は…」
雑念を振り払う様に頭を振る。だが…そんな事をしても胸中のモヤモヤが晴れる事は無かった。
そうして、ヴィレッタは少しふら付きながら自室近くに辿り着いた。

「・・・」
自室の隣…最近、新たな住人が住まい始めた隣室のドアに目が吸い寄せられる。
新たな住人の名はイングラム=プリスケン。心を掻き乱してやまない相手。
…初めて抱かれた男にして、今まで一週間全く音沙汰の無かった兄だ。
あの時以来、ヴィレッタのイングラムとの会話は減っていき、此処最近はふつりと途絶えてしまっていた。
それも仕方の無い事だ、と彼女は胸中で納得しつつも、そんな減っていく会話に反比例する様に思考に費やす時間は増えて行った。
取り留めない日常の風景、仲間達との他愛の無い会話、だが…気付いてみればイングラムの事ばかり考えているヴィレッタがそこには居た。
「どうして…」
これが恋患いなのだとした、自分は終わっているのだろうとヴィレッタは笑う。
だが、例えそうだとしても状況の好転を望んでいる自身に気付き、その考え自体を今度は否定する。
為らば、今の状況は何なのか?…それこそが現実だ。
「……っ!!」
ガンッ!!
湧き上る雑念は苛立ちに変換され、ヴィレッタはイングラムの部屋の扉を殴りつけていた。
拳が痛むがどうでも良い。今はこのカオスと化した思考と言い様の無い感情をどうにかしたかった。

「…え?」

それに答える様にイングラムの部屋の扉が開かれた。どうやら…鍵が掛かっていなかったらしい。
「…ふう」
どうしたものかと少しだけ戸惑ったが、ヴィレッタは次の瞬間にはイングラムの部屋の敷居を跨いでいた。

無断で上がりこんだ室内は、照明が点けっ放しだった。
自分の部屋と同じ間取りと同じベッドやデスクの配置。私物が殆ど無い小奇麗に片付けられた部屋だ。
少し視線を移すと、デスクの上には飲みかけのブランデーと吸殻が山と詰まれた灰皿があった。
その点だけが自分の部屋と違うとヴィレッタは思った。
「…煙草臭いわね」
空調が機能していないのか、室内にはイングラムの煙草の残り香が充満している。少し咳き込みそうになったが、嫌悪感は無い。
あの時のイングラムも仄かに煙草の香りがしていた事をヴィレッタは思い出していた。
「妙にうろたえてる所もあったわね……」
その時の事を思い返しながら狭い室内を縦断。ベッドに腰掛ける。
使用してそのままなのか、毛布と枕が乱雑に皺の寄ったシーツの上に放置されていた。
ヴィレッタはパイロットスーツのまま、イングラムのベッドに身を横たえた。
「優しかったな……あの時の彼」
目を閉じれば、当時の光景が浮かんでは消えていく。荒々しい部分もあったが、それでも最後まで優しかったイングラム。
寝台に残る彼の残り香がヴィレッタを扇情的な気分にさせる。
「ぅん…」
イングラムの手付き、吐息、声色。思い出される情事の記憶が身体を支配してゆく。
その軌跡をなぞる様に、ヴィレッタは自身を覆うスーツの前をはだけた。
「はぁ…ん」
零れ落ちた自身の乳房に片手を添え、もう片手は下半身に伸ばす。その時のイングラムの手付きを真似る様にヴィレッタは自身を慰める。
「こっちの気も…ん、知らないで…っ」
ヴィレッタの行為は加速度的に激しさを増していく。男の部屋に勝手に上がり込んでの自慰行為だ。
…若し、このタイミングで部屋の主が帰ってきたらどうなるのか?そんな心配事は彼女の頭からは抜け落ちていた。
「はぁ……インモラルよね、こんなのは」
手を止める事無く、今の自分の状況を嘲笑う様に零した。
一度だが徹底的に教え込まれたヴィレッタの身体は火照り、その熱は自身を内面から焼いていく。
今、自分がどう言う事をしているかを彼女はしっかり理解していた。
気が昂ぶり、気が付けば自慰に耽っている。それが此処最近のヴィレッタの日常だ。言い様の無い虚無感がヴィレッタを支配している。
「んぁ…ぁ、あふっ……馬鹿ぁ…」
急速に育ち、持余す性欲を一時的に鎮める事は出来ても、それを完全に排出するまでには至らない。
浮かんでは消える兄の顔。だが、イングラムは声すら掛けてはくれないのだ。
胸に開いた穴を塞ぐ様に、また自身を慰める。
ちゅくっちゅく…卑猥な音とヴィレッタの喘ぎが室内の無言を追い出した。

「チッ……ロストしたか」
イングラムは通路の壁に凭れながら舌打ちする。方々を歩き回らされたが、ヴィレッタを補足するには至らなかった。
煙の様に消えてしまったヴィレッタは何処に行ったのか?後残っている場所と言えば、ヴィレッタの私室位しかない。
「……仕方が無い」
これで駄目なら諦めるしかない、とイングラムはヴィレッタの私室に向かう事を決意した。
『結果は報告しなさいよ』
別れ際にそう言っていたアヤの言葉が思い出される。
だが、見つからなければその報告もロストしましたの一言で尽きる。それが一番簡潔で良いとイングラムは安心しきっていた。
…だが、しかし。

そんなヴィレッタが自分の部屋でイケナイ事をしているとはイングラムは夢にも思わない。
「んっ!んっ!んうぅんっ!」
膣に男根に見立てた指を三本挿入して、ヴィレッタは鼻に掛かるエロい声を垂れ流す。
格好は既にほぼ全裸。脱ぎ散らかされたパイロットスーツは床に落ち、膣から分泌される汁がイングラムのベッドを汚して行く。
「っ!くうぅんん!!」
以前そうされた様にクリトリスを包皮越しに摘んで、ヴィレッタは悶絶する。際限無く垂れ落ちる愛液はその量を更に増していった。
意識は完全に己の内部へと向いている。外界の変化には余程の事が無いと気付けない。
ヴィレッタは脳内に描いたイングラムに犯されていたのだ。

「……留守、か」
そうして、ヴィレッタ私室の前にやってきたイングラムは部屋の主が居ない事を確認した。
インターホンを鳴らしてみても反応はないし、扉は施錠されてしまっている。
「……良し。引き上げるか」
これ以上の探索は意味が無い。自身でそう納得し、イングラムは切り上げる事を決心した。
無駄にエネルギーを消費したが、得られたものは殆ど無い。
…まぁ、こう言う日もあるだろう。続きは後日に持ち越しだ、と息を吐いて目の前の部屋の隣にある自室へと歩を進めた。
「…?」
自室の前に来た時、イングラムは確かな違和感を感じた。内部に人の気配がするのだ。
「…来客か?」
そう言えば、鍵を掛けていなかった。その事を思い出した彼は特に何も考えず、目の前の自動ドアを開け放った。

「はぁ!っ、あ、ああん!!」
外部に部屋の主がやって来ているとは知らずに、ヴィレッタは快楽を貪っていた。
飛沫を上げる愛液は方々へ飛び散って、点々と染みをシーツに残してゆく。
ヴィレッタは己を犯す男の名を叫んでいた。
「イン、ッグラム…!イングラム!!」
その瞬間…部屋の扉が開かれた。
「っっ!??」

「?」
今…確かに己を呼ぶ声が聞こえた。内部に人が居るのは明らかだ。視線を移動させながら、その声の主をイングラムは探す。
天井、デスク、壁、ベッド、ヴィレッタ……
(え?ヴィ、ヴィレッタ?)
……何で?why?
イングラムは一瞬にして混乱状態に陥った。探していた相手が何故に己の部屋に居るのか?
…白昼夢でも見ているのかも知れない。
そう思い、目を擦った後に改めてヴィレッタの姿を確認したイングラムは自身の視力が正常である事を確認した。
…否、重要な事はそんな事ではない。ヴィレッタが室内に居るのは良い。問題なのは…今、その彼女が何をしているのかと言う事だ。
「ぁ…っ、ぁぁ」
声にならない声がヴィレッタの口から漏れていた。
格好はほぼ全裸で、四つん這いだ。
手は剥き出しになった乳房と、下着の横から膣に向かって伸びている。床には脱ぎ捨てられたパイロットスーツとブラがある。
そうして…先程聞こえた己を呼ぶ声。
「…………Oops」
どうやら…見てはいけないものを見てしまったらしい。そう理解した瞬間、イングラムは反射的に扉を閉めた。
「ごゆっくり」
「あっ!」
プシュン!
無常にも扉は閉められた。室内に残されたヴィレッタは固まるしかなかった。

「ふう…」
目を閉じて深呼吸をする。今の状況をもう一度確認してみよう。
――――状況……扉を開けるとヴィレッタが俺の名を呼んでオナニーをしていました。
…それって何てエロゲー?
「…って!違うだろ!!」
扉が閉まってジャスト二秒でイングラムは自身にノリ突っ込みをかましていた。
往来を行く人が何事かとイングラムに視線をくれたが、本人は気付かない。
そもそも何で自室をヴィレッタに明け渡さねばならないのか?
部屋の主はこの俺だこん畜生※『重要なのはそんな事ではありません』
……混乱の極みにあるイングラム先生は自身にメディリーフを使う事すら考え付かない。
と、言うか廊下に締め出された状態では何も出来ない。やっとそれに気付いた先生は再び自室のドアを開けた。

「ちょっと待て!今の無し!ワンモア!」

混乱状態の人間は仲間に即死級の攻撃を見舞う事も多々ある。そんな状態で喚き散らす事しかしない先生は模範的な混乱状態者である。
「…って、何でお前はそのまんまの格好なんだ!?体勢を直せ!しゃんとしろ!」
「え?…………あ!」
切羽詰ったイングラム先生の声で、漸く正気に戻ったヴィレちゃんは自慰体勢を解除してベッドの上に正座した。
「よ、良し。これでまともな会話が出来るな」
「え、ええ」
漸くイングラム自身も混乱状態から解放された様だ。咳払いしつつ、あられもない格好のヴィレッタに動揺した声で話しかけた。
「も、もう…この際、何をしていたかとは聞くまいよ。そんなのは…あー、一目瞭然だからな」
「あ、あううぅ………」
いやーん!私をそんな目で見ないで?何を言ってるんだセンズリ扱いてたんだろう?
…要約すればこんな感じだろう。
証拠現場をバッチリ押さえられたヴィレッタは赤面して火を噴きそうな顔を必死で隠し、
イングラムも目のやり場に困りつつもしっかりとヴィレッタの身体に目が行ってしまっていた。
「ま、まあそんな事は良い。俺が知りたいのはおま…」
プシュン!
解放時間が過ぎたので、自動ドアが勝手に閉まった。何時までもドアの前から動かなかったイングラムはまた締め出しを喰らった。
「・・・」
ドガンッ!
力の限りドアを蹴り上げて、無理矢理にセンサーを反応させる。
開いたドアの内側に今度こそ滑り込んだイングラムはTake3に望むべく、デスクから椅子を引っ張り出してそれにどっかりと座った。

「ゲフン!……俺が知りたいのは何だってお前はそんな事をしているのかって事だ」
何を…ではなく、何で、だ。自慰をしていたのは判った。しかし、何故に俺の部屋で?…と言うのがイングラムの疑問。
そう言うのは自分の部屋でやって頂きたいものだと彼は零す。
「そ、それは……それは………」
「…そ、それは?」
蚊の鳴くような声でヴィレッタは呟く。イングラムは唾を飲み込んで、その言葉の続きに備えた。
……………
…………
………

「ぅっ…えぐっ」
「なっ!!?」
聞こえてきたのは嗚咽だった。涙がヴィレッタの瞼に溜まり、涙滴を成して行く。
(な、泣かれましたよ…!)
うろたえたのはイングラムだ。こんな状態で女に泣かれて平然としていられるほど、イングラムは冷酷ではない。
洗脳が解けてしまっているから尚更だ。
「お、おい…泣くなヴィレッタ。
…あー、人生長いんだ。人に見られたくない場面に限って露呈してしまうと言うのは少なからずある。
…正直、そう言う時は俺もどうして良いか分からん」
「っ…っく、私に……それを、言わせるの…?」
泣きながらもヴィレッタはイングラムの問に答えようとしていた。
「でも、俺にだってそんな経験は沢さ…………何だって?」
だが、そんな事を言われても訳が判らないイングラムは当然の様に聞き返した。
「だって…貴方、私を…前みたいに、構ってくれないから…」
「う…」
それを言われたら口を噤むしかないイングラム。以前は仲の良い兄妹だったが、それも過去の話だ。
抱いてしまった後、彼はヴィレッタを意図的に避けて距離を置いていた。
自身の裡にある気持ちを抑えられなくなりそうな事態を回避する為に、だ。
「でも…貴方の事が頭から離れなくて……部屋の鍵が開いてたから、それで…」
「そ、そう…か」
しかし、結局それはヴィレッタを苦しめる事にしかならなかったらしい。
その果てに…ヴィレッタはこんな事をするにまで至ってしまったのだ。
…良かれと思った事が完全に裏目に出てしまった。そう考えると胸に込み上げてくるものがイングラムにはあった。
「それは……寂しかった、のか?」
「…ん」
放置プレイが過ぎたらしい。彼女の様子がおかしかったのも、その根幹には構われない事への寂しさがあったからだろう。
「俺が離れて行ったから、か」
「嫌われてるのかと…思ったわ」
そんな馬鹿な。…こんなにヴィレッタは繊細だったのか。傷つけてしまった事への罪悪感がイングラムの裡に沸々と湧いてきた。
「それは気のせいとか、気の迷いの類でなくて?」
「………私の事、おちょくってる?」
若干の殺意の篭った視線に睨まれ、イングラムは肝を冷やした。
…御免なさい今のは冗談です。

よもやここまでヴィレッタが思いつめているとは。
……自分の事ばかり考えて、彼女の気持ちを少しも理解していなかった気がする。
そんな自身の軽率な行動を後悔しつつ、自分は彼女に対して何が出来るのかとイングラムは思い巡らせる。
「……御免なさい。みっともない所を見せて。直ぐに…出て行くから」
そう言って、ヴィレッタは立ち上がり、床に落ちたスーツをブラジャーごと拾う。部屋を出て行く気の様だ。
まあ、それも当然だろう。見られたくない場面を見られてしまったのだから。
「待て」
だが、イングラムは強い口調でそれを止めていた。
「お前…俺を妄想して、自慰をしていたんだな?」
「っ………そうよ」
改めて確認する必要も無い事だ。ヴィレッタが少し困った様な顔でそうだ、と告げた。
「お前の目の前に本人が居るぞ?…良いのか?そのまま帰って」
「っ!…イン、グラム?」
…答えは直ぐに見つかった。至極、簡単な事だ。もう一度抱けば良い。そうする事で道は見出せる。
「俺は一向に構わないぞ?……まぁ、どうするかはお前次第だが」
その言葉を聞いて、ヴィレッタの顔が赤く染まる。何かを期待する様な視線が注がれ、イングラムは軽くだが顔を綻ばせた。

「イングラム…」
「こんな状態のお前を放り出せると思うか?…いや、お前がそれを望むならば止めはせん」
胸中を吐露しつつ、少しだけ冷めた口調でヴィレッタを煽っていく。
…無論、イングラムは分かっている。此処に至って、ヴィレッタが申し出を拒否する事は決して無いと言う事を。
此処で拒否してしまえば、彼女は悶々とした頭と火照った体を放置しなくてはならないのだから。
「・・・」
「俺も今回の事には責任を感じている。だから…と言う訳ではないな。俺はお前を抱きたい。そうしたいし…それで良いと思う」
己が蒔いた種なのだ。刈り取るのも己自身でなくてはならない。
もうそんな事を議論する段階に無い事を理解しつつも、それでも彼女を放置していた事については罪悪感を拭いきれない。
だが、そんな事を抜きにしてもイングラムがこの場でヴィレッタを抱きたいと言うのは本心である。理屈では無いのだ。
「それで…?お前は、どうするんだ?」
最後の意志確認をする。承認を得られれば、作戦発動が決定する。イングラムは知っている。拒否はありえない。
「ふ、ふっ…フフッ…」
「うん?」
ヴィレッタの口から出たのは何故か含み笑いだった。先程まで泣いていた女が何故笑うのか?
予測していた展開とは少し違う進行にイングラムは眉を顰めた。
「ねえ…イングラム?」
「どうした?」
「そんな事、聞く必要があるとでも言うの?」
「え?」
心底おかしそうにヴィレッタは笑う。それはまるでイングラムを嘲笑しているかの様だった。
「それとも…態々確認を取らなければ、貴方は女も抱けはしないのかしら?」
「…っ」
ヴィレッタは明らかにイングラムを笑っていた。イングラム自身もその原因に気付いて顔を引き攣らせた。
確かにその通り。自分の名を呼んで自身を慰めていた女だ。それは裏を返せば、行為を望んでいると言う事に他ならない。
衣布目市の時だって…彼女は関係の継続を願ったのだ。
…既に心も身体も開かれている。議会の承認を待つまでも無い。
「まぁ…それも貴方の味、なんでしょうけどね」
「は、はは、ハハハハ…………………随分な事を言ってくれるな」
乾いた笑いが張り付く。こう見えて大分気を遣っていたイングラムだが、ヴィレッタにその気配りは最初から不要だったらしい。
…能書きを垂れる暇があるならさっさと来い。無言でヴィレッタはそう語っていた。
「確かに…それもそうだな。…だが、コミュニケーションは大切な事だぞ?」
「分かってるわよ。でも……ふふ。やっぱりおかしいわ」
どうやら遠慮は要らない様だ。
…頭の中で声がした。
押し倒せ。喰らい付け。己が裡にある野獣(ワイルドビースト)を解放しろ。お前さん、日本じゃ二番目だ。それも私だ。
……何か変なのが混じった。その声(前半部のみ)を聞いたイングラムは立ち上がり、身を包むパイロットスーツを脱ぎ捨てる。

さあ、盛り上がって参りました。

晒されたイングラムの身体は絞られた筋肉に覆われていた。190cmもの長身が線の細さを際立たせ、女性の体を彷彿とさせる。
華奢…と言っても過言ではない。スラリ、と伸びた四肢。胸板は少し薄いが、腹筋はしっかりと割れている。余分な肉は一切無い。
肌は健康的な肌色で、無駄毛等も全く無い。それらパーツの融合はある種の中性的な美しさをその場に体現させていた。
…先生自慢の八インチ砲はトランクスの布に隠され、残念ながら現状の確認は出来ない。
「……(ゴクリ)」
ヴィレッタは生唾を飲み込んだ。前に抱かれた時は余り注意が行かなかったが、今回は別だ。
その男の体を見ていると、何物かが己の内部よりせり上がってくる。
憧憬、敬愛、淫蕩、独占欲…そう言ったものは攪拌され、交じり合い、自身を焼く熱さへと姿を変えた。
「?……何処か変なのか?」
「……えっ!?あ、御免なさい。少し、見とれてた」
己の体に刺さる視線を不審がったイングラムはおかしな所でもあるのかと、自分の体を見回す。
だが、そんなモノは何処にもありはしなかった。
「見とれてた…って、野郎の体だぞ?……どうでも良い事じゃないのか?」
「そうは思わないけど……その、綺麗だなって」
ヴィレッタは感慨深げにイングラムを見やるが、そんな彼女の体だって負けてはいなかった。
むっちりと肉感があるのかと思えば、実際はそうではない。
野生動物を彷彿させるしなやかな筋肉が覆っているヴィレッタの体はイングラム以上に細く、脂肪だって申し訳程度しか無い。
ういた肋骨、若干だが割れた腹筋。括れたウエストがその細さを物語る。
しかし、セックスアピールが出来ていないかと言えば、それはありえない。
そんな細い体であっても胸のカップは不釣合いなほどの存在感と質量を誇っていて、それ以外にもヒップから太腿の線が非常に凶悪であった。
そんな体から醸し出される魅力は、例え服の上からだろうと周りの目をひきつけて已まないのだ。

「それは…あんまり嬉しくないな」
「どうして…?」
イングラムは頭を掻きながらゆっくりとヴィレッタに近付いて行った。
粋とか格好良いとか、そう言った言葉ならば素直に受け止められるが、綺麗と言う言葉だけはどうにも抵抗がある。
しかも、女性からの言葉なのだから尚更である。
「どうしても、だ」
「ん…ぅん…っ」
自分の寝台に辿り着いたイングラムはその上に居るヴィレッタの唇を奪う。
その口を閉ざす様に少し乱暴に重ねた唇からは舌が絡み合う湿った音が漏れる。
「っ…ぅ、むぅ………はぁ」
「んふ…んっんぅ………ふはっ」
情熱的なキスだった。口腔を蹂躙し、歯茎や歯の裏側にまで舌を伸ばし、唾液の交換すらする勢いを持っている。
しかし…何故か、どちらからとも無く唇を離してしまう。
イングラムもヴィレッタも何とも気拙い空気を纏って俯く。目を合わせようともしない。
そうして、両者の口から同時に飛び出した一言は以下。

「に、ニラ臭ぇな…」「ギョーザ臭が…っ」

それが原因だった。ランチメニューの選択失敗が良い雰囲気を途端にブチ壊してしまった。
因みに、ヴィレッタの本日の昼食はレバニラ炒め(ライス&味噌汁付き)だ。イングラムについては前述。
「い、今の無し。ノーカウント。…宜しいか?」
「…了解。と、取り合えず…キスはNGね今回は」
開始早々ケチが付いた。
どこからともなくイングラムが取り出したウルトラタブ(消臭効果あり)を頬張りながら、両者共に先行きの不安に囚われ始めたのだった。

状況…再開。ツッコミ所が盛り沢山だが、此処まで来て後に退く事は出来ない。撤退は不許可だ。
笑い出しそうになるのを必死に堪えながら先生はヴィレッタの体に手を伸ばした。
…性欲が萎えていないのは流石としか言えない。
「ね、ねえ…?」
「な、何だいヴィレッタ?」
「か、顔がにやけてるわよ…?」
「っ…お、お前だって…!」
やはりそう簡単に平常心に戻るのは無理だった様だ。
だがしかし、こんな所で止まっていれば今度は本気で行為を中断せねばならなくなってしまう。先生もヴィレッタもそれは望まないのだ。
両者ともに仕切り直しを図る為に大きく深呼吸。痙攣する腹筋を無理矢理大人しくさせて今度こそ行為を再開した。

「それで…お前は俺の何を想像してオナってたんだ?」
「っ…」
おかしくなった流れを正常に戻す為に、イングラムは冷めた顔を何とか作りだし、尋問する様にヴィレッタに語りかける。
…そうしないと噴出しそうになってしまうからだ。
それに気付いたヴィレッタも、イングラムに呼応する様に何とか体裁を繕う。
「どうした?答えないか」
「あうん」
無遠慮にイングラムがヴィレッタの乳房を握り潰した。ギリギリ肉が潰れて行く感覚にヴィレッタは上擦った声を上げる。
「ふん……強く握っている筈なんだがな。痛みはない、か?」
「ふっ、ん、ん……!い、痛い、わ」
「嘘臭いな。痛いと言う割には随分と嬉しそうな顔だ」
「ひあうっ!!」
乳房が拉げ、指の痕が付きそうな程に搾られた。搾乳するが如く容赦無い手付きでイングラムはヴィレッタを責めた。
痛みはあるものの、快感の方が勝っているのか。搾られる度にヴィレッタは鳴く。
「呵ッ……乳首も既にエレクト済み、か?…なぁ、そんなに俺に嬲られる様を妄想するのは気持ち良かった訳か」
「っ……い、いやぁ…っ」
攻撃目標が乳房から乳首へチェンジした。指の腹でしこった突起を転がしながら、ヴィレッタの耳元で囁き続ける。
「嫌だ…じゃないだろう?もう完全にお前の体は開いちまってる。俺に構われなくて、そんなに溜め込んでたのか…?」
「や、やんっ!先っぽ…弄らな、っっ!」
ベロリ。イングラムの舌がヴィレッタの耳の外周をなぞると、彼女は面白い様に跳ねた。
「やっ…も、もう!…そんなに焦らさないでよぅ…!」
「む…」
焦らすな、と来たか。
イングラムにはそんなつもりは毛頭無く、ただ少し前戯を兼ねた遊びのつもりであったが、ヴィレッタはどうやらそれでは物足りないらしい。
「ねえ…お願い…」
「あ、ああ…………い、いや…そんなにがっつくなよ。恥かしい奴だな」
胸嬲りじゃ足りないのか。
それならば、とセオリー通りに今度は下半身を責める事を決意するイングラム先生。
…ヴィレッタの剣幕に少し気圧されたのは秘密だ。

「………ほ?」
「アンッ」
グシュッ。その場所に触れた瞬間に、泥濘に手を突っ込んだ様な感触に襲われた。図らずもテンザンっぽい阿呆な声が出てしまう。
(も、もう…こんなに……?)
…なっているのか。ほんの少し触れただけ。それも下着の上からだ。
触れた指先には湯気が出そうなほどに熱せられた濃い愛液がべっとりと付着していた。
「こ、これ、は…」
「分かる…でしょう?…もう、こんなになっちゃてるのよ…?」
上目遣いで、縋る様に視線を絡ませてくるヴィレッタ。そのありえない程に媚びた仕草にイングラムは戸惑いを隠せなかった。
「ヴィレッタ…?お前、自分で弄ってた時から、こんなに?」
「いえ…違うわ。貴方が……私に触れた時から、奥から垂れて来ちゃって…」
「そんな馬鹿な話が………本当なのか?…そんな、短時間で……?」
「そんな事…今はどうだって良いでしょう…?」
下着に染みが…否、お釈迦になる程の濡れ具合。それこそ、前戯等はすっ飛ばして構わないほどの大雨洪水警報だ。
「……Oh,mammy」
よもや、ここまで出来上がっているとは思わなかったイングラムは顔を引き攣らせた。
因みに、それはヴィレッタの今の状態に対してではなく、自分自身に対してだった。

「……どうしたの?早く……愛してよぅ。…我慢出来ないわ…っ」
何時まで経っても動き出さないイングラムへ催促する様にヴィレッタが擦り寄る。
「ま、待て…待ってくれ…!」
鍍金塗装したイングラムの鬼畜オーラが霧散してゆく。
切羽詰った声で彼は事を急かすヴィレッタを止めようとするが、導火線に火の点いた彼女を止める事は出来なかった。
「ねえ…どうしたのよ。遠慮なんて要らないから…」
「そうじゃないっ!いや…だから、その…!」
「………?」
どうした事だろうか。イングラムの様子がこれまでに無い程おかしい。
始めて見る表情や声色にヴィレッタも不信感を募らせる。
一体…彼の身に何が起きているのだろうか?
「くっ……」
苦々しげに顔を歪ませるイングラム。疑念の篭ったヴィレッタの視線が突き刺さる。
…ヴィレッタの言う事も理解できた。早く抱いてくれと懇願している。イングラム自身もそうしたいのだ。
…だが、今の彼にはそれがどうしても無理だった。それも物理的に。
「ど、どうしたの…?何か、変よ」
「………………こう言う事だ」
ちょいちょい。イングラムはバツの悪そうな顔のままヴィレッタを手招きして、ある場所の情報を開示した。
その場所はイングラムの足の付け根。アキシオンバスターが隠されたトランクスの内部だ。
ヴィレッタはそこを覗き込む。


∧、、∧
ミ・ω・ミ ガオー
|uu__)~*
…暫くお待ち下さい。


「…………えうぅぅ…っ!」
「泣かないで!そんな目で俺を見ないでっ!」
内部状況を確認したヴィレッタがまたまた泣き出した。しかし、本当に泣きそうだったのはイングラム先生だ。
……彼のアキシオンバスターはバレルが展開していない状態…そのものズバリ、勃起していなかったのだ。
ヴィレッタが期待していた八インチ砲は稼動準備中であった。
「抱いて…っ、くれないの……?」
「今は未だ無理、だな。…あー、暫し待て?」
イングラムはゆっくりじっくり時間を掛けてヴィレッタを嬲り、良い感じに温まった剛直を彼女の膣に捻じ込む…
…と、その様に算段を立てていた。しかし、戦局は彼の予想していた以上の速度で動いたのだった。
前線から来ている支援要請を今のイングラムはこなせない。それには未だ幾許かの時が必要だった。
…妙齢のご婦人が目の前で股を開いていると言うのに何とも贅沢な悩みである。
「……ぅ…うぅ…役立たず…っ」
「ぐ、うぉっ……がはぁ!」
涙声だが辛辣なヴィレッタの言葉がイングラムに吐血を伴った再起不能なほどのダメージを与える。
この瞬間、イングラムの持つ株やら男の尊厳やらは大暴落した。
「……勃ててよ。ねえっ」
「む、無茶を言うな!男の下半身に人格は無いんだ!」
ヴィレッタが発した注文に即座にイングラムは首を振る。
時間、場所を選ばずに馬鹿になる事があれば、必要な時に全く反応が無い事もあるのが男性自身である。
…後者の場合、普通は医者に掛かるだろう。
どうやら、イングラムのそれは外部からの刺激に非常に鈍くなっているらしかった。
「勃たないの…?」
「否、勃つ。そもそも、お前は勃起した俺のを前に見ているだろう?」
多少は落ち着いたヴィレッタが深刻そうに言う。イングラムは全力でそれを否定した。
俺は遅漏ではあってもEDではない。そうとも付け加えたが説得力は皆無だった。

「「・・・・・・」」
気拙過ぎる沈黙が二人の間に存在していた。空気は重く、密度すら感じさせる。状況が状況なので、両者とも中々口を開けなかった。
「あ、あの……」
「…え?」
だが、そんな渦中にあってもやはり主人公。ヴィレッタは強かった。そんな彼女が沈黙を破った。
「あ、その…それって、私が手を加えたら駄目…かしら」
目を伏せて、恥かしそうに言ったヴィレッタ。その意味が直ぐに判ったイングラムは一応聞き返した。
「…俺の、に?因みに、どの様に…?」
「それは……擦ったり、咥え、たり」
何とか聞き取れる声量だった。
きっと、本か何かで仕入れた知識なのであろう。
顔を赤くしながらそれを食い入る様に読み耽るヴィレッタの姿がイングラムの脳裏にははっきりと浮かんできた。
(成長したな…ヴィレッタ)
イングラムは陶酔するかの様に目を閉じて、感じ入っていた。感動する場面としては不適切この上無い。
「私が…しちゃ、駄目か「却下」
そんなヴィレッタの勇気ある、且つ健気な申し出をイングラム先生はたった一言で握り潰してしまった。
「い、今貴方、私に同調してたじゃ…!」
「人の心を読むな!……俺は奉仕されるのが大嫌いなんだ」
「我侭言わないで!それが一番手っ取り早いでしょうが!」
「何と言われようとも絶っ対嫌だ!………に、二度と御免だあんなの……」
欲求不満度が頂点に達したヴィレッタは金切り声上げて食い下がるが、イングラム先生は意固地になってそれを突っ撥ねる。
気のせいか、顔色が非常に悪い。…過去に何かトラウマになる様な事でもあったのだろうか…?
「それじゃあ…どうすりゃ良いのよぅ」
「どうすればって…それは……………あ」
手を打ち尽くしたとばかりにヴィレッタは項垂れたが、イングラムは何かを閃いた様だ。
乱れ雪月花…いや、ひょっとしたら千手観音かもしれない。
「…そうだった。そうだったよな…!」
「っ!?……な、何?」
途端にイングラムの顔が下卑たモノへとシフトした。釣り上がった口元と危険極まりない視線が本能的な危機感をヴィレッタに生じさせる。
無限気筒発動時の凶悪な面構えだ…。
「ヴィレッタ!」
「は、はい!?」
自分の名を呼ばれたヴィレッタは反射的に竦みあがった。
一体、何をする気なのか?こう言う時のイングラムは冗談抜きで危ない、と言う事を彼女は身を以って知っていた。
「続きを頼む」
「…ぇ」
何を言われているのか分からない。ヴィレッタは言葉を紡げずに固まるが、イングラムはそんな彼女にも判る様にはっきりと言ってやった。
「だから続きだよ。…俺が来た時にやっていたアレの、な」
…イングラムが提示したのは自慰行為の続きだった。

「っ?!」
「どうした?奉仕等よりもずっと簡単な事だぞ。目の前にモデルも居るんだ。…これほどやり易い環境も無いと思うがね?」
目の前の男の言が信じられない。さっきの事をして見せろ、とイングラムが言う。
その彼の顔を思い浮かべ、慰めていた自身への羞恥とその時に感じていた形容しがたい空虚感がヴィレッタを満たした。
「ぅ、そんな……」
「今更恥かしいとか言うなよ?前のお前はそれ以上に恥かしかったからな。当然、覚えているよな…?」

――――衣布目市での事を思い出せ。
その時のお前はどうだった?最後は文字通り獣と化していた筈だ。取り繕うモノ等はもう俺の前には存在せん。

淡々と語られる事実にヴィレッタは何も言えない。
無闇矢鱈に腰を打ち付けて、快楽を貪っていた己が居た、と言う事を決して否定は出来ない。
そうして、そんな彼に再び犯される事を夢想して自身を慰めていた事もまた事実だ。
…確かにその通り。取り繕った所で付け焼刃にも成りはしない。全ては見られてしまっているし、知られてしまっている。
己の裡、本性…そしてその想いまでも。
「……拒否、したらどうなるの…?」
「そうだな……何も変わらんさ。だが、お前を貫くのが随分と遅れる事になるのは間違い無いだろうがな」
今のイングラムの声には抑揚が無い。熱さも冷たさも感じさせない無機的な声色だ。
「……私に、それをさせたいの?」
「いや?だが、見てはみたいのさ。…俺の事を想って、火照った体を鎮めていた訳だろう?…やっぱり、気になるじゃないか」
しかし…それはフェイクであるとヴィレッタは簡単に見抜いた。
無機的に聞こえてもその中に明確な焦りと期待が存在していたからだ。
イングラム自身が振った話題であり、こんな状況で一物は萎えたままなのだからそれは当たり前だ。
「そうすれば…元気になる?貴方のオチ○チンは……?」
「えっ!…あ、ああ多分…な」
ヴィレッタが急に発した卑語はイングラムを瞬時にうろたえさせ、赤くさせた。
(この程度で動揺するなんて…)
普段なら、ありえない事だろう。
イングラムの垣間見せた可愛い一面にヴィレッタの胸が潰れそうになった。
余程切羽詰まり、正常な思考が奪われているのか。それとも、己の一言がそんなに以外だったのか。ヴィレッタはどんどん大胆になる。
「ふ、フフ…!……はぁ。仕方の無いお兄ちゃんね?じゃあ…」
下着の端に指をかけて引き下ろし、ヴィレッタは自分から湿って重くなった下着を脱ぎ去った。
そして、それをイングラムに向かって投げつける。
パサッ。
それを片手で受けたイングラムはどうして良いか判らずにヴィレッタを見た。
「これは……何だ?どうしろと…?」
「あげるわ。…貴方専用の強化パーツ、って所かしら?」
「…訳解らん」
被れってか?履けってか?それとも喰えとでも言うのか?意図が全く読めない。
「ねえ…よそ見してて良いの…?」
「う…、っ…失敬」
ヴィレッタは脚を大きく広げて、剥き出しの局部を曝け出す。愛液に塗れた秘部が照明の光を鈍く照り返してくる。
イングラムの視線はそこに釘付けになった。
「うんん…ちゃんと、見てて…?貴方が…そう言ったのよ?」
「拒否しない…か。…いや、了解した。見物させて貰うよ」
ベッドに胡坐をかいたイングラムを挑発する様にヴィレッタは花弁を開き、その内部に自身の指を挿入して行く。
…羞恥が無い訳ではないが、このまま何も無い状態で長時間放置されるのは彼女にとっては酷吏による酷刑に等しかった。
だが、疼きを抑える為だけにヴィレッタは痴態を晒すのではない。
どうせ隠す様なモノは何一つ無いのだ。それならば、自身に許された手段によってイングラムの劣情を煽りたい。
そして煽った末に、壊れる迄愛されたい。そんなシンプルな情念がヴィレッタの根幹にある。
…シンプル足ればこそ、その情念は何に勝って強いのだ。
「んふ…こうやって……っ、貴方が私に、してくれた事を…お、思い出して」
ヴィレッタは完全にスイッチが入り、淫らな音と女の香りを周囲に撒き散らし始めた。
彼女の完全射程内に居るイングラムは、それらの全てを一人で受け止める。
「あふ、ん……胸とか、オマ○コとかを弄ってたわ……っん!」
指が二本、膣に挿入されていた。ヴィレッタの声は熱を帯び、片手は自分の胸を手荒く揉みしだく。
一体…何処にそんな水源があるのだろう。滑り、とろみを持った汁は流れを止めず、彼女の肛門までその筋が届いていたのだ。
「貴方の顔、を思い浮か…っべて…あの時の…ァン!貴方を想像しながら……んん」
「む、むう…」
イングラムが痴態を曝け出すヴィレッタに少しだけだが反応を示した。血が沸騰し、身体の冷え切った部位へと流れてゆく。
「またっ、あ、貴方に…ぅぁ!さ、されたいって思って…!」
抽挿されていた二本の指が三本に増やされる。人差し指から薬指までの三本はくの字に曲げられて、愛液を掻き出す様に膣壁を擦り上げる。

「・・・」
イングラムは目を細めた。目の前に居るのはヴィレッタだ。だが彼女が何故か知らない女に見えた。
一体、こいつは誰なんだろう。本当に…己が知っている女なのか?
……会話が途切れたのがちょうど一週間前。しかし、衣布目市での一件からは実質十日程度が経過していた。
…長く見てたったの十日だ。そんな短い期間で彼女は此処までの変貌を遂げてしまったのか?それとも、生来の資質であったのか?
もう、そんな事を考えても意味は無かった。ただ事実としてあるのは、それを引き起こしたのは自分に他ならないと言う事だ。
そして…そんな今のヴィレッタに興奮を隠せない己が居る事だった。
「あふっ…ねえ、見て…?見てよぅ……っ、イングラム」
「ああ…」
ヴィレッタは蕩けきった恥かしい己の場所をイングラムに間近で見て貰いたい様だった。
「んんっ」
挿入されっぱなしだった指の束が引き抜かれた。
掻き回されて泡立つ愛液が、ぽっかり口を開いた雌穴と宙を彷徨う抜けた指の間で糸を引く。何とも劣情を催させる光景だ。
(……俺は淫乱調教を施した覚えは無いのだが)
…貴様は何処のカルネア王妃様だ闇鴉。イングラムの頭はハイになり、そんな危険な言葉が浮かんでは消えた。
「もっと…奥まで見なくて良いの?」
自らの意思でヴィレッタは両手で膣口を押し広げて、その内部をイングラムの眼前に晒した。
咽返る程の熱気と、そこから立ち上る雌の臭いが彼の理性をシャットダウンしていく。
「っ」
自然と口腔内に唾が溜まり、イングラムはそれをグビリ、と飲み干した。
彼の顔はもう匂い立つヴィレッタの秘部の間近にあり、押し開かれた雌穴の最奥を食い入るように見つめていた。

「ぐ、っ……これは、堪らんな…」
今のヴィレッタの淫らさの原因となるモノがあるのならば……
それは今目にしているピンク色の壁の向こう側にあるのだろうとイングラムは夢想する。
ヴィレッタの女の部分の象徴だ。……見ているだけなんてもどかしい。
開き切ったその場所に今直ぐにむしゃぶりつきたい。小陰唇に吸い付いて、溢れる愛液を飲み干し、勃起した陰核を扱き上げたい。
…そんな浅ましい欲望をイングラムは抑えられなくなった。
「駄目よ…?」
「ぬっ」
だが、そんなイングラムの胸中を察したヴィレッタは待ったを掛ける。
「クスッ……肝心な時に役立たずの男が私に触れるの?」
「っ!!」
…ピキッ。
ヴィレッタの顔に張り付いた嘲笑。挑発する言葉が劣情とは別のものをイングラム内部に生じさせた。
彼が久しく感じていなかった感情…怒りと言う奴だ。
「此処まで来て…お預けか?」
ハハハ…性質が悪いにも程があるぞ。堰を切った感情の渦がイングラムにある種の高揚感をもたらした。
熱くなっていく身体に比べ、心は妙に落ち着いている。暗い色の炎によってエンジンに火が入る。
…黙ってりゃ、付け上がりやがって。
「何言ってるのよ。……私はずっと前からお預け喰らってるのよ?」
「なるほど。…その仕返し、か?」
「それもあるけど…あん、ふぅぅ、ん……悔しい?こんな事言われて」
呼吸する様に定間隔で妖しく蠢く襞と子宮口。
ヴィレッタは添えた指を動かし、その部分を強調する様に、イングラムを尚も煽る様に膣口を弄る。
グニグニ形を変える淫らな穴。ヴィレッタは楽しそうにその行為に没頭する。
「悔しいなら……うふふっ。貴方はどうするのかしら?……役立たずのお兄ちゃん?」
「くっ…ふ、は、はは。ハハハハハハハ………………………その通り、だな」
再び乾いた笑いがイングラムに張り付く。昂ぶった感情は堰そのものを決壊させて、ある一つの事象をイングラムの脳内に思い描かせる。
イングラムはゆっくりと立ち上がった。
「ヴィレッタ」
「うん?」

「あんまりお兄ちゃんを舐めるなよ……?」
この女の面を前回以上に快楽に歪ませたい。…否、壊したい。もうその為の準備は十分だ。
トランクスを脱ぎ捨てて、それをヴィレッタの目の前にちらつかせる。
…まあ、彼女の言う事も尤もだ。性行為を行うに際し、勃起しないと言うのは切実な問題だからだ。
(だが…俺はインポって訳じゃないんだぜ?)
突きつけられたイングラムの一物は完全に勃起し、亀頭の先からは先走りの汁が漏れ、先端を鈍く光らせていた。

「それで、誰が役立たずだって?」
「………あ、ああぁ♪」
ヴィレッタはそれを確認し、待ち焦がれていた様に火照った声を出した。
「まぁ…エレクト迄大分時間が掛かったが、それもお前の頑張りで何とかなった。…是非、礼がしたいん、だっ……ガッ!?」
「うんん……っ、ん」
言葉の末は擦れた呻きで潰れた。ヴィレッタはあろう事か、イングラムの亀頭にキスを見舞った。
予想だにしない彼女の行動にイングラムは狼狽する。
「っ!…ぅ、ヴィレッ…タ?」
「ふ…ぅ、ん……んふっ……っん」
裏筋から雁首までのラインに舌が這う。何度も何度も往復する舌はカウパーを舐めとり、唾液を一物に塗りつけた。
愛おしそうに竿を舐め上げるヴィレッタの姿は堪らなく淫らで、また美しかった。イングラムは背筋を奔る怖気に身体を震わせる。
「ぁは…あ」
一物から顔を離したヴィレッタは蕩けた表情を晒す。
そして、ベッドに横たわりながら、今度はグイッ、と限界まで花弁を両手で広げて、挿入を強請った。
「ずっと…待ってた…」
「っ…!」
「早く…っ、早く……来てぇ…っ!」
恋焦がれる相手への熱烈なラブコールだ。それこそ、気が狂いそうなまでに焦らされていたのだろう。ヴィレッタは半泣きであった。
「ま、待ってろ。今…今直ぐに…」
そんな強烈なおねだりを喰らったイングラムは急かされる様に分身をヴィレッタに宛がった。
熱を持った柔らかい秘肉の感触が先端にある。前回とは全く違った誘い込む様な感触を伴ったそれにイングラムは戸惑う。
(完全に……熟れた女のそれ、だな)
歳若いヴィレッタには不似合いな程の熟れた花弁。
見た目は処女だった時と余り差は無いのだが、感触自体としては何人もの男を咥え込んだ様な凄みがあった。
だが…彼女の知っている男はイングラムのみだ。
「お待たせした。行くぞ…?」
「はい…!」

イングラムの言葉にヴィレッタの瞳が潤む。待ち焦がれていたモノが漸く自分の中にやってくる。
込み上げる期待と情欲は混ざり合い、一つの感情を形成していった。
―――そう、だったんだ。
今まで明確には分からなかったそれにヴィレッタはやっと解を見出す。
非常に単純なものだ。思慕と恋慕の違い。それこそ、彼女がイングラムに抱いていた感情だった。
「っ」
「ふぁっ」
イングラムは一息にヴィレッタを貫いた。

「っ!…なぁ!?」
「アッ…あ、アアああァあああ―――――っ!!!!」
根元まで突き入れた瞬間にヴィレッタの膣は限界まで締まり、それと同じくしてヴィレッタの身体は大きく爆ぜた。
引き攣った声と飛沫く愛液。押し付けられてくる恥骨が痛みを与えてきた。
「い、逝った……のか?」
挿入と同時の絶頂等、イングラムには経験が無かった。
「ンアア!ぁああッ!っっ――!!くんんっ…!!」
ビクビク面白い様に痙攣するヴィレッタの姿を見て、イングラムの心にあった怒りは形を潜めた。
「お前……そんなに」
「っ…はあぁ………ま、待って、たって……言ったでしょう…?」
逝ったばかりで息も絶え絶えのヴィレッタが嬉し泣きの表情と共にイングラムに笑い掛けた。
…彼女がそんなに焦がれていたとはイングラムは夢にも思わなかった様だ。
「………甲斐性無し所じゃない、な」
事の重さを真に理解し、心が最高に痛んでくる。彼女の気持ちを無視して此処まで放置してしまった事は罪悪以外の何物でもないだろう。
…一番辛かったのは彼女の筈だ。十日も前から精神的、肉体的に…どちらにも相当のストレスだった筈。
だが、事此処に至り勃起が完了していないと言う事態に陥っても……彼女は悪態をつきながらでも待っていてくれたのだ。
恨むべきはチャージに時間が掛かりすぎる己の馬鹿息子と、そんな彼女の心に甘えていた己の弱さ…と言った所だろうか?
「お前……」
「ん?…なぁに?」
ヴィレッタのそこはキュウキュウ一物を締め付けながら、襞が膣壁そのものが複雑に蠢く。
一物に刺さる快楽の棘はイングラムの全身に甘い毒を回して行った。
「俺に…惚れてたか?」
「ん……そう、なのかしら」
「……疑問系か」
煮え切らない答えだ。しかし、彼女が自分に好意を持っている、と言う事はイングラムもちゃんと理解していた。
…兄とは名ばかりの正体不明の男に好意を持つとはチャレンジャーを通り越してある意味で勇者であろう。
若しくは、男を見る目が無いだけか。イングラムは何故だかおかしくて堪らなくなった。
「貴方は…どうなの?」
「……それ位、察してくれ」
「嫌よ。ちゃんと…言葉に出してよ」
照れ臭そうにイングラムは目を泳がせた。その気持ちがあったからこそ、放置プレイになってしまったのだ。
イングラムもまた茶を濁す答えしか出せない。ヴィレッタは不満そうに口を尖らせた。
「そんな事より…!」
「ふあぁっ」
しつこく回答を催促してくるヴィレッタを黙らせる為に、イングラムは根元まで埋まった男根を更に突き入れた。
膣自体の伸縮を無視したストロークは子宮そのものを上に押し上げる。
「今はこっち…じゃないのか?……欲しかったんだろ?俺のが」
「…っ、っ…ええ。欲しかったわ」
子宮口に先端を押し付けたまま、イングラムはヴィレッタの耳元で囁いた。ヴィレッタは悶えながらも、首を縦に振る。
膣にすっぽり収まったイングラムのそれを腹の上から愛おしそうに掌で撫でた。
「正直な奴だな。まぁ、それは俺も同じなんだが…な」
その様を見たイングラムもまた、本音を漏らした。
ヴィレッタ程に酷くは無いが、イングラム自身、彼女を抱きたいと言う確かな欲望を持ち、今回のコレに望んでいた。
だが、勃起不全の為に焦らされ、その欲望はかなり高まってしまっていた。
「クスッ……クールっぽい顔して、随分なムッツリさんね?」
「………それで結構だ。…全く、お前だって相当なアレの癖に良く言う」
ちょっとだけ悔しそうに、イングラムは皮肉交じりにヴィレッタをからかう様に言ってやった。

ギュッ。
「く、ぁ…!…お、おいヴィレッタ!?」
一物に襞が噛み付つき、竿の内部まで食い込んでくる。そんな圧迫がイングラムを襲って、彼は呻きの混じりの擦れた声を上げる。
「ん……んっ…、はぁ。…ひょっとして、そう言う女って嫌い…かしら」
括約筋に力を込めて自分で膣を締め上げる事で、ヴィレッタは今まで以上にイングラムを感じていた。
その大きさと熱さを鋭敏に感じ取りながらも、彼女は困った様な声で彼に尋ねる。
「何だって…」
「私だって、自分が今どんな境遇にいるか位は知ってる。
それが分からない程、鈍感では無いし、純情を気取るつもりもないわ。でもね…?」
「で、でも…?」
「……どうしてもそうなっちゃう。貴方を考えると…貴方の前、だと」
躊躇いがちな声色と視線が投げつけられた。
「う、うっ…ぐぅ」
情欲が一瞬にして燃え上がり、全身を駆け抜け、イングラムの剛直に限界以上の血を送り込んできた。限界を超えた勃起に痛みが伴う。
「ぁ…くはっ!…また、大きく…っ!」
拡張された膣がまた更に拡張を受ける。自身を広げていく圧迫感にヴィレッタが悶えた。
「お、お前…ある意味で本当に性質が悪いな…っ」
…何だってこっちを煽る様な台詞を平然と吐くのだろうか?狙ってやっている様にはどうしても思えない。
イングラムはそう思いつつも、そんなヴィレッタをもっと見ていたい、と言う己の意思が確かに存在している現実に笑うしかなかった。
(…男って悲しい)
どうやら…手遅れだった。

「俺は…嫌いじゃないぞ?」
「あ、あふっ!」
埋め込んだまま放置していた竿を稼動させた。突然の刺激にヴィレッタは身体を震わせた。
「地のお前を見るのは……いや、この場合は寧ろ…」
「きゃふ!…アン!アァン!!」
イングラムは腰を引いて、中ほどから奥にかけてを重点的に攻撃する。
擦り上げると膣壁は収縮し、襞はねっとりとした感触を以って一物を全方位から優しくしゃぶってきた。
「聞いてない、か。まぁ…良いか」
「んんっ!…す、凄……っ、奥っ!…までぇ!」
折角、ヴィレッタの問に答えたと言うのに彼女は与えられる快楽に膝を屈した様だった。
ゴリゴリ最奥を嬲られて、それでも喰い付いた竿を決して放さないヴィレッタは犬の様だった。
引っ切り無しに上がる嬌声がそれを更に彷彿とさせる。
「う、ぬ…っ」
腰を打ち付けつつ、イングラムは呻いた。突く度に、ヴィレッタの膣のレスポンスは天井を知らない様に上がり続ける。
とうとう、不感症なイングラム先生もそれによるダメージが嵩んで来たのだった。
(チィ…これは、凄いな)
隙間無い肉が方々から糸で締めて来る様な、痛みに似た快楽は彼には完全に未経験な領域である。
…だが、そんな強い刺激でなければ先生の装甲は抜けないのだ。
きっと今のヴィレッタは粘着榴弾鉄鋼や高性能バレルでも積んでいるに違いない。それに加えて、レベルアップもしたのだろう。
それ程の攻撃力と戦闘機動。…そう考えなければ辻褄が合わない。完全に以前とは別物だ。
「ぁ…ふっ……どう?少しは…感じて来ちゃった…?」
「っ!…っ、少し……余裕、無い、かな…?」
桜色に染まったヴィレッタはイングラムを下の口で咥えながら、余裕のありそうな表情を彼に向けていた。
イングラムも脂汗を浮かべて、正直に現状を苦しそうな声で伝えた。
「ねえ…んく!今度は…私で、い、逝ってくれる…のっ?」
「あ、ああ。……多分…っく」
前回…イングラムが最後まで達しなかった事に不満を覚えていたのだろう。ヴィレッタは今度こそ共に達する事を本懐としている。
イングラムはそんな彼女の意を汲んで、腰に手をやった。結合を更に深くしてやる為だ。
仰け反る彼女の白い喉を見ながら、イングラムも今回は下半身に込み上げるモノを感じていた。
ずっと溜まっていた物。自分で処理する事も無ければ、夢精すらありえなかった…そんな代物だ。
どれだけの量が貯蔵されているかは不明だが、最後に射精してから感覚的に一年以上は経過している事を彼は理解していた。
「ふっ…ふう………ぬ、うぬ…!」
さて…そんな危険な代物をブチ撒けて良いのだろうか?避妊具はしていない。ヴィレッタと己を隔てる物は何一つ存在しないのだ。
……いっその事、孕ませるか?
「な、なあ……ヴィレッタ?」
「?…どうしたの…?」
下唇を噛みながら、イジェクションを懸命に堪えるイングラムは動きを止めて確認の為に、己に串刺しにされているヴィレッタに問う。
「膣内(なか)で…良いのか?」
「…ぁ、射精…しそうなの?」
「ああ……今回は調子が…ぐぉ!…っ、締めるな!…こらぁ」
暴発しそうな一物を握り締められて、イングラムは泣きそうな声を上げた。
これ以上の攻撃は不許可だ。機体強度を超えて爆発する恐れがある。
「んん……来て?受け止めてあげるわよ……」
ヴィレッタは射精を強請った。その証拠に脚をイングラムの腰に絡めて、先端を子宮口に密着させる。
もうこれ以上行き場が無い程に、締まった膣内の壁が蠢きイングラムに止めを与えようとした。
「くはっ……ぁ、づ…!…し、しかし、本当に大丈夫、か?大丈夫な日…なんだろうな」
「ぇ……大丈夫、って」
機体損耗率が八割を超えたが、イングラムは尚も踏み止まる。そうして、彼が放った言葉にヴィレッタが意外そうな顔をした。
「?……確信が無いのか?…前回の排卵日って、いつだ?」
「排、卵日……?」
……何でだろうか。前回の衣布目市同様の厭な予感がイングラムを襲った。ひょっとして、基礎体温等をチェックしていないのだろうか。
暴走しそうだった息子が冷静になった。

――――いかん。それも十分考えられる。

あの時教えたのは男と女の繋がりのみだ。それ以外の……コウノトリ的な事には触れていなかった。
性交渉について全く知らなかったヴィレッタ。為らば…おしべとめしべについても知らないと言う事ではなかろうか?
「……ここ最近、生理があったのはどれ位前だ?」
アプローチを変えよう。ヴィレッタの排卵日が判らない、と言うのなら生理周期から強引に割り出してみよう。
占いに頼る様な不確かさだが、気休めにはなるだろう。イングラムはその答えで発射箇所を決めようとした。
「生理って……何?」
「………あー」
若し、生理が不順なのだとしたら膣内に射精す訳にはいかない。種が卵とBull`s eyeしてしまう。
だが、やはりヴィレッタは予想通りの答えを返してくれた。何と言う偏った性知識だろうか。
……だが、そう考えると少し妙だ。今のヴィレッタが過去の己と同じ状態ならば、稼動時間は凡そ半年と言った所だろう。
一度も経血を目にしていない等と言う事は……

(ま、まさか……!!?)

或る可能性が浮かんできた。
「お前…今まで、日常生活をしていて膣から大量に出血した事はあるのか?」
「え?」
イングラムは神妙な面持ちでヴィレッタに尋ねる。
「頼む。答えてくれ。……重要な事だ」
まさかそんな筈は…ないだろう。そう希望的観測をするも、ヴィレッタの口から飛び出た言葉はイングラムのその予想を超えていた。

「そんなの、来た事……無いんだけど」

(せ、赤飯前…!)
そんな台詞が脳裏を過ぎる。イングラムの魂は一瞬だが確かに抜けた。
「どうしたの…?私、何か変な事を言ったの?」
「い、いや…」
変な事と言うよりも聞きたくない真実を知ってしまった気がする。イングラムは少しだけ疲れた表情で戸惑うヴィレッタに目線をやった。
(いや…それも当然かも知れないな)
そもそも…イングラム、そしてヴィレッタと言う存在はユーゼスのクローンだ。
光の巨人の力を手に入れる為にのみ作り出された使い捨ての人形でしかない。
役目が終われば、存在が抹消されるユーゼスにとっての都合の良いスケープゴートだ。
…そんな人形に奴が生殖能力等と言う不必要な機能を持たせる事があるだろうか?
イングラムは答えが直ぐに見えた。ありえない。Noだ。
それならば、別の部分の強化に力を注ぐだろう。使用されない部分を残す等ナンセンスだ。
正しく形容するならば…ヴィレッタは赤飯前ではなく、月経そのものが無いのかもしれない。
そして、それは己にも当てはまるのだ。創造と同時に子種が全滅している恐れがある。
…全てはイングラムが導いた推測だ。本当の所は精密検査を受けなければ判らないが。
「いや…重要なのはそうじゃないな」
「ふぁぁ!ィ、イン、グラム…!?」
止めていた腰の動きを再開したイングラムは頭を占める取り留めない思考を一端、締め出した。
ヴィレッタが急な刺激に驚いた声を上げ、襞が竿を激しく愛し始めた。
…赤飯前だと言うのなら、排卵も当然起っていない筈だ。
まぁ、生理が無くとも排卵が起るケースはあるので絶対とは言えないが、きっと問題は無いのだろう。
例えそうじゃなかったとしても、もうこのまま引き下がる訳にはいかない。
そんな不確かな安心感に裏打ちされた確固たる決意がイングラムを包んでいた。
「きゃぃぃ!く、くはぁ…はげ、激しい……よぉ!」
「ハァ…う、上手いぞヴィレッタ。そのまま……っ」
頭の中は既にSex in drugでRock`n`roll。イカレた8ビートがアドレナリンを分泌し、ブレーキが壊れたダンプカー並の勢いを与える。
そしてそれは何かにぶつかるまで止まる事は無い。
イングラムは片手でヴィレッタの腰を掴み、もう片手で乳房を握り潰した。
それにシンクロする様に膣が唸りを上げる。小刻みに痙攣するそこは終わりが近い事を物語った。
煮え滾る欲望が腹の中で暴れ狂う。出口を求めて彷徨うそれはヴィレッタの最奥に進路を取った。
「だ、ダメ…ぇ!私、もう……い、逝っちゃ…!」
「っ、構わん、我慢するな。俺も直ぐに……お、追いつくっ!」
絶頂を促す様に、イングラムは腰をグラインドさせた。震えるヴィレッタ自身が竿に噛み付き、牙を突き立てて行く。
一足先に、ヴィレッタは絶頂へと辿り着いた。

「くひっ!!?―――あ、っあァあああアアああァあああっッ!!!!」

引き攣る身体と声。大音量の叫びは部屋中に反響し、膣からは愛液が小水の様に飛び出した。
ヴィレッタの引き絞られた内壁が戦慄き、イングラムの内部に溜まる欲望を搾精する。
「づっ、がっ……ここ、までか……っく!」
そんな強烈な吸い出しに一物は痺れ、青筋を立てて膨れ上がった。イングラムはズタズタになった防御線を放棄する。
…子種と言う名の鉛玉を子宮へとプレゼントする時が来た。
「全部…飲み干してっ、くれよ……っっ!!」
―――Je、Jesus!!!
ヴィレッタの絶頂から数秒置いて、イングラムもまた果てる。
ドロドロに溶け切った高熱を発する汁が尿道を駆け抜け、ヴィレッタへとインジェクションされていった。
デッドエンド・シュートだ。
「ァッ!…きゃぁんッ!!ア゛…熱、…あついぃっ……!」
「っ、ッ!う、ぐ…う、ぁ……っ!」
逝っている最中に子宮の底にブチ当てられる灼熱の奔流。
シーツを握り締め、涙滴を幾粒も零れさせるヴィレッタはイングラムの腰に絡めた脚を更にきつくした。
脈打ちながら精液をビュルビュル吐き出す肉塊じみた陰茎は殆ど注射器だ。
「と、ける…!お胎がぁっ…溶けちゃうぅ……!!」
「……ぅ、っつ、は、ハハ…気に、入った…か?」
搾り取られながら、冗談の様にイングラムは云う。射精の勢いは全く衰えない。
色々と内臓やら魂と言った物を吐き出している気に彼はなってくる。
そうして…それでも構わない、とそう思った時に漸くイングラムの射精は沈静化した。
数十秒の間、彼のそれは出しっ放し出っ放しのトリガーハッピー状態であった。…ヴィレッタにとっては堪ったモノでは無かった筈だ。
…そう言った意味では、先生はあらゆる意味で女性の敵であり強い味方だ。

「っ…ふゅぅぅぅ………」
裡に堪った膿を体外に排出したイングラムは全身を包む達成感を噛み締めていた。
大きく息を吐いて目を閉じる。呼吸は未だに荒れてはいたが、それも些事だ。
…とうとうやってしまった。文句を付け様の無い程の効力射だった。
「ぁ…ぁ、っ、ぅあ…はああぁ…!」
ヴィレッタはその熱い澱を裡に内包してか、ぶるぶる震えたままだ。
子宮に収まった己のゼリー状と化した精液を想像して、イングラムは堪らない気持ちになった。
まだまだ己に残された弾薬は消費しきれていない、と。

せり上がる欲情には既に歯止めが効かず、分身はヴィレッタの膣に収まったまま更なる快楽を要求して来ている。
もう一戦やらかすか?…否、彼はそうせずにはいられなかった。
二度目の情事にして、漸くの射精だ。…一度で終わるのは勿体無さ過ぎるし、まだまだ愛し足りないのだ。
「ヴィレッタ、未だイケルな?」
「あ……」
戦闘の続行を要求してくるイングラムにヴィレッタは直ぐに答えを返せない。
注がれた半固体の精液が思考能力を奪い、脳髄を蕩けさせていた。心此処にあらずの彼女を見て、彼は苦笑した。
(少し、刺激が強かったか?……だが)
…例えそうだとしてもイングラムの指針に変更は無い。
「もう一度、付き合って貰おうか?」
「未だ、足り…ないの?」
病人の様に精気の無い声だ。そんな弱った体であっても、ヴィレッタの心にはイングラム同様の欲情が燻っていた。
…未だ飲み足りない。未だ終わりにしたくない。そして、それは激しく燃え上がる。
「……そうだ」
「ぁ……はい。…貴方の、好きに…して」
真摯なイングラムの視線と声がヴィレッタにそう口走らせていた。
…もう、どうなっても良い。
そんな心の底が覗ける様なか細くも熱の篭った声、そして受け止める悦びを知った女の顔を彼女は垣間見せる。
「それなら…愛してくれ」
「ぁ…ん、んあっ!あうっ」
ズヂュ。粘ついた音が結合部より上がった。
膣内で男根によりホモジナイズされた空気と愛液、そして精液とが混ざって卑猥なハーモニーを奏でる。
コーラスはヴィレちゃんの泣き濡れた喘ぎとイングラム先生のエロ格好良い呻きと囁きだ。
焼け付く様な剛直がゆっくりとした動きで膣を穿ち始める。どちらとも無く、両手を絡めて二つの身体が折り重なった。

だが…その二つ返事が間違いだったと気付いた時、ヴィレッタにとっては既に遅かった。

……………
…………
………
……
…二時間が経過した。
「ふッ…ふっ…っ、ふっ…」
前後運動を反復するイングラム。
…最初の挿入から三時間は感覚的に経過している。エレクトしたままのアキシオンバスターで彼はヴィレッタを蹂躙していた。
「………ぁぁ、…っ、ァ…はんん………ぁ」
イングラムが小突く度にその細い身体が震える。彼女は既に瀕死だった。ぐったりと脱力し、ベッドに身体を預ける。
口は半開きで、視線は虚ろ。喉が潰されているのか、喘ぎ声すら聞こえない。ほぼマグロの状態である。
ポルチオとグレフェンバーグを蹂躙されて、死人の様な得体なさを醸し出す。
もう何度絶頂したかは不明。こうしてゆっくり挿入されていても、小さなアクメは絶えず起っているのだ。逝きっ放しだ。
…ただでさえ遅漏気味の先生のそれは、一度発射した事によって防御線が復活していた。
また、二度目と言う事もあり、強固な防御値は更なる補正を受ける。
例えるなら…装甲MAX改造+強化パーツの装甲値に常時『鉄壁』発動と言う出鱈目さだろう。
ヴィレッタも攻撃の手を緩めている訳では決して無いが、悲しい事に効力を与えられていないのだ。やはり先生は女性の敵であるらしい。
「ぐ、少し……辛く、なってきたな」
しかし、イングラムも人間だった。その範疇にある以上、生理現象には逆らえない。
再び込み上げてくる熱い澱。二時間近く掛けてやっと射精の尻尾を掴む事が出来た様だ。

下に目をやれば、己の楔を穿たれたヴィレッタが放心状態で揺れていた。
口の端から伝う涎の筋は艶かしく、乾かない涙の跡が何ともそそる。
(ヴィレッタ……っ)
そんな彼女を見ていると劣情や肉欲とはまた違う感情が底の方から滲み出てくる。それが何なのか、イングラムだって分かっている。
前回から何だかんだと理由を付けて封殺し、裡に閉じ込めた想い。……それは愛しさだ。
「これは…もう、駄目か」
一度目は何とかなった。だが、二度目が来てしまえばその念に蓋をする事は決して出来ない。
…そんな予感が彼の中にはあった。そして、本当は……そうなる事をイングラムは心の何処かで望んでいたのだ。
そうして回って来た二度目の舞台。その予感は確信に変わり、零れ落ちる切なさがイングラムの心に染みを付けていった。
もうそれは決して取れる事は無い。
「ヴィレッタ」
イングラムは彼女の顔を伸ばした手で優しく掴んだ。正面を向かせたヴィレッタの蒼い瞳を同じ蒼い瞳で射抜く。
快楽に淀んだ彼女の瞳に意思の輝きが戻った。
…一体、己は何を言おうとしているのか?
その先を決して言ってはならない。そんな心の声が木霊する。だが、言わずにはいられなかった。
無理に押え付ければ今度は心が壊れる。そこまでして封殺せねばならない事象や境遇等は…今のイングラムには必要なかった。
そんな事よりも重要な事がある。
例え、行き着く先が墓場だろうが地獄の入口だろうが、もう関係無い。因果律とか世界の事とかも…きっと何とかなる。
そう思えないのは愚かだ。

「好きだ…」

ありったけの想いを込めてぶち撒けたのはたったの一言。普段の声色と全く変わらないその言葉には確かに暖かさが満ち満ちる。
それが…イングラムの導き出したけじめだった。

――――!
その言葉がヴィレッタの耳小骨を震わせ、基底膜から電気信号に変換され脳内に届く。
その途端に…ヴィレッタの顔はくしゃくしゃになった。嬉しいとかを想うよりも先に涙が勝手にポロポロと落ちる。
ずっと待っていた言葉、掛けて欲しかった言葉。その確かな一言が何にも勝って重い。
泣き崩れたヴィレッタはイングラムに抱きつき、胸に顔を埋める。
そうして…涙ながらに作り出した笑顔と共に、同じく胸の内を…想いを込めてぶち撒けた。

「嬉しい…」

心も身体も一つに重なった瞬間だ。元は源を同じとする存在が一つに溶け合う…これ以上一体感を得られるモノはそうは無い。
何とも背徳的で倫理観を無視する危ない行為だが、今の二人にはそんな事は些事だった。
ヴィレッタは未だ知らない事だが、血を魂を分けた己の分身同士。お互いの存在を刻み付け、また融合させる様に絡み合う。
その為の確認行為が熱を増していった。
もう、互いに言葉は必要無い。そんなものを使わなくとも、お互いの欲している物は瞭然だからだ。
天井を目指して突っ走る。熱く熔けた白濁をぶち撒け、それを残らず飲み干すだけ。
「っ、く」
装甲が剥ぎ取られ、剥き出しになったイングラム自身をヴィレッタの熱い蜜壷が締め付けてくる。
火鉢に突っ込んだ火箸宜しく、真っ赤に焼け爛れながらも内部をかき回す。
呻きが零れ、そしてイングラムは息を飲んだ。…制限時間は残り僅かだ。その僅かな時間を彼はヴィレッタを愛でる事に費やす。
「ふっ…!ぐ、ぅ……ぅうん!!」
自身の快楽を高める為ではなく、ヴィレッタをよがらせる為に。
守りを欠いたイングラムは押し寄せる射精感は無視し、速度限界以上の抽挿を展開する。
膣を往復する度にオーバーフローゲージは上昇するが、イングラムはそんな事は気にしない。
「っ……っ、く」
背筋を伝い、脳髄を満たす甘い快楽が理性を奪い去っていく。
――――壊したい。
脳を揺さぶる囁き声。その声を消すには余りにも思考が馬鹿になり過ぎていた。
愛情も過ぎれば破壊と言う名の独占欲が顔を覗かせるのか?そんな言葉の波が心に浮かぶが、今のイングラムには理解が出来ない。
(だが……それで、コイツが俺のモノに、なるなら)
危険極まりない考えだ。だが、イングラムはそれを正当化するのが当然の様に思えていた。
「ん……っあ!」
現に…ヴィレッタもそんな彼に嬉しそうに抱きついて、貫かれている。
今の行為に対して色々と理由を付ける事も出来るが、裡にある想いだけは偽れない。
そもそも好意が無ければ実の兄とも言える存在に身体を許したりしない。
一度目は済し崩し的だったが今は二度目。無理矢理でなければ尚更だ。
(好き……イングラム…)
好いた男になら何をされても良い。…限度はあるが。
どうやら、彼女の脳味噌も爛れてしまっているらしかった。

「ひぅ!!?」
ゴリッ。鉄の様な硬さを誇る杭の先が雌穴を抉り、その衝撃が子宮を押し上げる。
「ァ゛、あはあァあアあああ―――――ッッ!!!!」
先に防御線が崩れ去ったのはヴィレッタだった。仰け反りながら、必死にイングラムにしがみ付き、大きな波にもまれて大海へと辿り着く。
濁った愛液と精液の混合物を結合部の隙間より垂れ流して、イングラムの一物からの更なる供物を望む。
「ぬうっ!…か、は」
襞の刃が突き立てられ、分身から精液と言う名の血が溢れそうになった。
打ち上げまではもう間も無くだ。カウントダウンは続行中。中止はありえない。
「ふはっ!…ぁう!ぁ、ぁ、ァ…!」
痙攣するヴィレッタの内壁は残り少ないイングラムのゲージを容赦無く削っていく。
握り締められ、中身を最奥へと誘う彼女の其処に慈悲は無く、イングラムは抗えない。
「………っ!」
最終安全装置は既に解除。引金に指が掛けられた。
もう一度…ヴィレッタの中に種を蒔く。その種が彼女の胎の中で実を結ぶと言うのなら…
(……望む所、だ!)
これ以上、上等な誠意の見せ方は存在し得ない。せり上がる欲望の固まりを打ち込む瞬間、イングラムはうわ言の様に呟いた。
「っ…ぐ!お、前を……壊してやる!」
これ以上行き場の無い狭い路地の壁を破壊する様な削岩機の一撃が見舞われる。
根元まで収まったイングラムの男根を圧壊する様に壁が収縮した。
「ぁ……………壊して…!」
此処に至り、ヴィレッタはイングラムに壊される事を望んだ。
そうされる事で…何時までも、彼の心に自身が根付くのだ。
そんな事を夢想しながら、イングラムが吐き出してくる愛欲の奔流を受け止める。
「…ぬっ、う、ぐ……ぁ!」
「ひんっ!ひぐぅっ!!」
二度目とは思えない噴水じみた量の熱波がヴィレッタを内側から焼き尽くす。
投げ入れられた炎の熱は冷める事が無く、子宮内にトクトク注がれる。
イングラムは華奢なヴィレッタを力の限り抱き締め、射精の快感と共に内なる欲望を撒き散らす。
「づっ……う、っ」
「ぁ…はんン!っ、っく…んくっ…!!」
胎の底に溜まって行く白濁。未だに噴出を続けるイングラム自身から更に搾り取る様にヴィレッタ自身は痙攣し、膣はギュウギュウ小刻みに圧迫を加え続ける。
「はぁ、っあ…ハァ……種付けされて…逝っているのか?矢張り…っ、相当気に入った…らしいな……っ?」
「んんぅ!………馬鹿ぁ…!」
意地悪そうに言うイングラムにヴィレッタは反論出来ない。
涙は勝手に零れ落ち、腰に絡めた脚は外れない。唇を首筋に寄せて強く吸い付いた。
ヴィレッタもイングラムに確かな痕跡を残したのだった。


行為は終わった。久々の派手な射精に気力、体力共に限界を迎えている。
息を吐きながら情事の余韻に浸ろうとしても、若干の汗と大量の(ヴィレッタの)汁を吸ったシーツが身体に纏わり付いて気持ちが悪い。
そんな殊勝な気は残念ながらイングラムには起きなかった。
「…どうした?」
繋がったまま、ヴィレッタはイングラムを見上げていた。
相も変わらず潤んだ瞳と上気した顔が少しだけ萎えた一物に活力を送り込んでくるが、動ける状態ではない。
「……腰が、抜けたわ」
非常に気拙い空気が出現する。ヴィレッタの腰は痙攣し、脳からの指令を全く受け付けてはいなかった。
立ち上がる事も出来なければ、力を入れる事すら儘ならない。
「そ、それは……はは。貴重な体験じゃないのか?」
…少しばかり張り切りすぎたのかも知れない。だが、壊すと言っておきながらこの程度で済んだのは僥倖である。
イングラムはそんなヴィレッタ自身の持つタフネスに苦笑した。
「しかしまぁ…随分、派手に乱れたな。シーツがお釈迦だ」
「うう……言わないで」
バケツの水でも撒いた様にズッシリと重くなったベッドシーツは、例え洗濯したとしても使い物にはならないであろう事は明白だ。
彼方此方に点々と付いた色濃い染みの大半はヴィレッタが犯人だ。
「前回ので確信してたんだがな…お前、汁気が多すぎるぞ?」
「あ、あう…う…」
「まあ…そんな些細な事は良い。…俺は、未だお前からの返事を聞いて無いんだが」
「え………!」
薄く笑いながらも真剣さがイングラムの裡より伝わってきた。先程囁かれた言葉。
それに対する確かな返答がなされていない事にヴィレッタは気付いて視線を泳がせた。
「俺は言ったぞ?『好きだ』って」
「・・・」
「じゃあ、お前は?…あの返事だけならどの様にも受け取れるからな」
イングラムが欲しいのはヴィレッタのそれに対する明確な発言だった。
やっている事が事なので、此処で終わってしまったとしても文句は言えない。
例え、身体のみの繋がりだけが生き残ったとしても、今の彼にはそれだけでは絶対的に足りない。
身体以上に心が欲しい。それが叶わなければ…イングラムはヴィレッタから離れる決意すらしていた。
…並では無い覚悟を背負ってイングラムは愛を囁いていたのだ。
「そんなの……言う必要があるの?」
「駄目だ。…お前の口から、聞きたい」
分かっている癖に。ヴィレッタの視線がそんなニュアンスを以って投げ掛けられるが、イングラムはそれを突っ撥ねる。
真摯な声には余裕の無さと共に誠実さが現れ、その瞳には嘘が無かった。打算や謀等は全く感じさせない、澄んだ瞳だ。
「……はあ」
そんな眼差しを向けられたら…もう、どうしようもない。
――――終わった、わね。
選りにもよって、相手が兄貴(仮)とは…。
性質の悪い輩に捕まった。そう心の中で悪態を吐きつつ、ヴィレッタはそっとイングラムに顔を寄せた。
「ヴィレッタ?」
「これが…答え」
チュッ。
浅く、啄む様な口付けが交わされた。深く下半身で繋がりながら、そのフランクさが逆に際立って感じられた。
そうして唇が離れる。…愛おしむ様にヴィレッタはイングラムに縋り付いた。
「…NG、じゃあ…なかったの、か?」
「もう、忘れたわ…そんなの」
ドキドキする自分の心臓の鼓動がイングラムの耳に入ってきた。…ここから先は聞く必要が無い。今ので彼女の気持ちは痛いほど判った。
…だが、聞かなくてはならない。自分で催促したのだから。そして、彼女もまた言わなくてはならない。
「大好きよ……イングラム…」
胸が壊れそうなほどの愛しさが襲ってきた。イングラムも…ヴィレッタも…それからは逃れられない。


片割れを抱きながら、びしょ濡れで気持ち悪いベッドに寝転がってイングラムは思案に耽る。
もう、後戻りは出来ない。己と彼女の間にはか細いが…確かに因果の糸が繋がれた気がするのだ。
それを取払う事は出来ないし、その必要性も感じられない。これから必要なのは、その糸を鎖のレベルまで成長させる事だろう。
この世界の因果を歪める存在を倒した後には…避けえない別離が待っている。
世界を正しい形に還す為の儀式。その生贄に捧げられているのはヴィレッタだ。
嘗ての己と同じ様に。世界の外側の存在はそれを妨げる事は出来ない。だが…介入する事は出来る。
そうすれば……きっと。
(…別れた後も……逢える、か?)
何故だか、そんな考えが浮かんだ。我ながら夢見がちな奴だとイングラムは笑うが、確立としてはゼロではない。
己の恋愛遍歴からも鑑みて、十分に有り得る話だ。クスハだかレオナだかが良い例だろう。そんな彼女達に記憶は無かったが。
クッ、と哂いを噛み殺してイングラムがヴィレッタへの抱擁を強くした。
「ん…」
圧迫が強くなったのか、ヴィレッタは息を吐き、身を捩った。
何れにせよ…賽は振られている。後はこのまま、ヴィレッタを守る剣として…彼女を行き着く所まで導けば良い。
元より、失うモノ等何一つとして無い身だ。
それに、今の己には力がある。ゼットンに破壊されたビルトシュバイン。その穴を埋める形で復活を果したアストラナガン。
自分の命…それと惚れた女の命を何とか背負える位の力量はある筈なのだ。…二週目なのだから尚更だ。
「く…」
だが…どうしてだろうか。イングラムの心に堪えられない気持ちが湧いてきた。
悔恨、懺悔…大きな罪を犯し、それを彼女にまで背負わせてしまった気がしてならないのだ。
若し…彼女がランタオ島で真実を知ったのなら何が起るのだろうか?
否…ひょっとしたら、彼女も薄々は感づいているのだろう。己と自身の関係について。

「…済まん」
搾り出す様にして…彼は呟いた。
それに応える様にヴィレッタがイングラムを抱き締める。しっかり聞いていたのだ。
「…ヴィレッタ?」
「言わないで……何も、言わなくて…良いから」
彼女は何も聞こうとしない。泣き出しそうな子供をあやす母親の様にイングラムを優しく抱くだけだ。
その心遣いが…イングラムには堪らなく嬉しかった。









――――2days later………



ピースクラフト食堂の外れの一角は時代から隔絶された者達の掃き溜めと化していた。
そんな吹き溜まりの主達…SRXチームは黙々と時間を消費する事を旨としていた。
本当なら仕事の一つもありそうなものだが、主人公たるヴィレッタがアクションを起こさなければ、自分達に活躍する機会が無い事を知っているのだ。
きっと、この世界の仕組みについてを理解しているのだろう。
だが、そのヴィレッタの調整に行かせたイングラムからは丸一日音沙汰が無い状態だった。
時間ばかりが過ぎている。リュウセイは真面目な声色で残りの二人に話し出した。
「なあ…今日で二日目だぜ?幾ら何でもおかしいぞ」
「確かにな。ヴィレッタは兎も角、イングラムもとなると……何かトラブルでも起きたか」
「はあ……応答が無いって言うのが一番困るわね。任せた手前、内情がどうなっているのかそれだけでも知りたいんだけど」
ライもアヤも同様の焦りを感じていた。
あの二人が人前に姿を現さない事など滅多に無い。その滅多に無い事が目の前で起きている。
状況は深刻なのかも知れない、と三人は思っていた。
「イングラムにゃあ、無理だったって事か?…喧嘩でもしたのかな」
「それは分からん。どうなっているのかは本人に聞いてくれ」
「やっぱそれしかない、か。…なあ、あの二人の部屋まで行ってみないか?」
「そ、それは直接問いただすって事?い、幾ら何でも乱暴じゃあ」
どうやら…リュウセイの中には苛立ちが育ちつつあるらしかった。
「いや…俺も正直、気は進まないけど…もうそんな事は言ってられないだろう?
俺はもう…缶詰になってるのは飽きた。ぶっちゃけ、ストーリーを進めて貰いたいんだよ。皆だってそう思ってる筈だ」
「リュウセイ……問題発言だぞ。そんな根本からゲームが崩壊する様な話は此処ではするな」
「まあ…気持ちは判るけど。…もう少しだけ待ってみない?せめて今日一日だけでも…」
きっとリュウセイは世界の裏側が見えているのだろう。ライは即座にリュウセイの口を閉じさせ、アヤは現状の維持を提案する。
リミットは今日一日。それが過ぎれば、直接彼等の私室へ出向き、説得を行うしかない。
が、それは杞憂に終わった。

「相も変わらず騒がしい奴等だな。…今度は何だ?」

「「「!!」」」
聞き慣れた低音の良く響く声が遠くから一団に向け掛けられた。
SRXチームは声のした方向…食堂入口を注視した。痩せた大柄の青ワカメが立っていた。
イングラム先生のご登場だ。
「て、てめえ!心配掛けやがって!…って、アイツは居ないのか?」
「無断欠勤の上、平気な顔で現れるお前の気が知れんな。…何をしていた?」
「ちょっとちょっとイングラム!結果は!?戦況を報告しなさい!」
マシンガンの様に三人の口から言葉の弾丸が飛び交った。先生は動じずに不敵な顔でそれらを受け止める。
「俺の口は一つしかない。質問は一つずつだ。先ず、何をしていたかだが…説得をしていた。身体を張ったな。
戦果については…まあ上手く行ったと思う。そして、アイツと言うのが誰を指した言葉かは知らないが…それってアレの事か?」
良く回る舌で全ての質問に答え、先生は別の方角を指差した。
「え?」
其処にはトレーにオムライスを二つ乗せたヴィレッタが向けられた視線にきょとんとしていた。

「何かあったの?」
「どうやら…俺達が一日顔を見せなかったから寂しかったらしいな。…そんなに俺達に会いたかったのか?」
プリスケン兄妹はSRXチームの向かいの席に陣取る。
イングラムは食事ついでに三人の小言に付き合う気なのだろう。ヴィレッタは今の状況を深く受け止めてはいなかった。
「仲間が顔を見せないんだ。心配するのは当たり前だろう。…違うか?」
「まあまあ…ライ。そんな事は良いでしょ?…二人揃って出て来たって事は、説得は上手く行った様ね。
…うん。貴方に任せて正解だった様ね、イングラム」
ライは目の前の二人に小言を言いたい様だが、アヤはそんなライを宥めつつイングラムの労をねぎらった。
「まあ…何だ。お褒めに預かり光栄の極みって所だな」
「……アレは…説得、だったのかしら」
イングラムは澄まし顔でオムライスをスプーンで端から崩していく。
だが、ヴィレッタは己の受けた行為について思い出しながら誰にも聞こえない様に呟いた。
アレの何処が説得だったのか?…そんな温い範疇には収まらない特濃な奴だ。
「…どうした?箸が進んでない様だが」
「え?……あ、いえ…何でも」
隣に座るイングラムが食事に手を付けないヴィレッタを訝しがる。ヴィレッタは頭から余計な思考を締め出して目の前の皿に集中した。
「なあ…ちょっと聞き難いんだけど、良いか?」
「「?」」
半熟卵とデミソースがチキンライスに絡み合い、ある種のハーモニーを口腔内で奏でる。咀嚼しながら二人はリュウセイに視線を向けた。
「…説得してたって言うのは、まあ…分かる。でも…それに二日要するって言うのは時間が掛かりすぎだと思うんだよなあ。
蒸し返す訳じゃないけど…ひょっとして殴り合いでもしてたか?」
リュウセイはこの二人の内情について詳しく知りたい様だった。好奇心は猫を殺すと言うが、この男にはそんな言葉は意味を成さない。
「そ、そんな事してないわよ。第一…喧嘩を売って返り討ちに合うのは私なのよ?其処まで無謀じゃないわ。
…ほら。顔とかに傷も無いでしょう?」
「お前…俺は確かに老若男女区別も差別もしない男だが、身内に手をあげる程に荒んでもいないし、堕ちてもいない。
…可愛い妹にそんな事するか」
どさくさに紛れて先生は恥かしい台詞を吐いたが、一同は気にも留めなかった。
「そうなのか?…身体を張ってた訳だろう?」
「そうよ。大袈裟に考え過ぎね」
「そもそも言う必要性を感じられんな。これ以上の尋問はお断りだ」
事が事なのでこれ以上口を割るのは二人にとっては進退問題に関る。
だが、リュウセイは追撃を諦めようとしなかった。
イングラムがうっかり口走った言葉が彼の胸に引っ掛かる。…何とも見上げた野次馬根性だ。
「じゃあ…お前等、丸一日何してたん……だ、よ…!?」
そうして…リュウセイはそれに気付いてしまった。
イングラムの首筋に刻まれた赤い印。二日前には確かに存在しなかったそれはどう見ても虫刺されではなかった。
「どうした?魂が抜けてるぞ?」
「?……っ!!?ぅ…ゲホッ!ケホッ!!」
リュウセイが何に気付いたのか、イングラムは判っていなかった様だが、ヴィレッタにはそれが直ぐに理解できた。
己が付けた痕。嚥下中だった水が気管に入って激しく咳き込んだ。
「…っ!」「ぁ…!」
「何だ?…………しまった」
数秒遅れてライとアヤも気が付いた。己の首筋に向けられてくる視線にイングラムも漸く理解が行った様だった。
赤いキスマーク。愛の証だ。
「消し忘れていた…か」
「ぁ…あぁぁ///」
第三者から見れば非常に目立つそれ。本来なら絆創膏等で隠すなりするのだろうか、イングラムはその存在を完全に失念していた。
……どうやら感付かれた様だ。それを理解したヴィレッタは赤面して顔を覆ってしまった。
「…チィ。バレたなら仕方が無い。…語ってやろうか?何があったのかを」
「イングラ…!な、何を…!」
「黙れ。これは必要な事だ。今、そう決めた。
何時か露呈するのなら、自分達の口から語った方が情状酌量の余地はあるし、ある意味男らしいぞ」
「私は女よっ!」
此処に至ってイングラム先生は居直った。それを懸命に推し止め様とするヴィレちゃんと夫婦漫才を展開している格好になってしまった。
だが、そんな愉快なやり取りは三人の耳には入っていない。
「………さっきから皆黙ってるけど、石化中?」
「どれ……あー、完全にフリーズしてるな。頭から液体窒素でも被ったか?」
「で……どうするのよ」
「自然解凍するまで待つ。ま、飯でも喰いながらゆっくりとな」
凍結したモノに外部から急な力をかけると壊れる事がある。
それを心配してか、二人は固まったSRXチームを無視し、黙々と目の前のオムライスを片付ける事に専心した。


…五分経過。漸く石化が解けた三人はプリスケン兄妹を何とも微妙な視線で舐め上げる。
汚物を見る様な冷たい…それでいて可哀想な人見る様な生温かい…お世辞にも好意的では無い視線だ。
「全く…勘が良いのも困り物だな?確かにお前は他人の内側を見抜く眼力が備わっている様だが…余りに行き過ぎるとそれは身を滅ぼすぞ」
「…自分の事はからっきしの癖に。…いえ、この場合それはリュウセイだけじゃないわね。
何にだって首を突っ込み過ぎれば痛い目を見るものよ?」
だが、プリスケン兄妹はそんな視線には臆さない。居直った人間が最強だと言う事が判っているのだ。
「な、なあ…お前等、冗談なんだよな?それとも、マジ…なのか」
「嘘を言ったって仕方が無いだろう。まぁ、信じたくない気持ちも判るがね」
「ええ。大体…皆の頭の中にある事が答えよ」
リュウセイはこの二人の言に何かしらの望みを託していた様だが、語られた言葉は真実味を帯びていて現実を直視するしかなくなった。
「本当か…?じゃ、じゃあ…ヴィレッタの悩みって本当に恋患いだったのか…!」
それも少しあるが…この場合どちらかと言えば、構われなくて寂しかっただけと言った方が正しい。
「何してたかって話しだが…アレだ。禁じられた遊びに興じていたって所か。
だが、少しハッスルし過ぎてな。回復まで丸一日掛かったのさ。いや…参ったね。実際、今も腰と背中が痛む」
「ぅ……///」
語られた言葉はまるで悪夢の様に三人を浸食していく。
あんぐりと口を開ける者、顔面の筋肉を引き攣らせる者、どうコメントして良いか分からず視線を泳がせる者…と三者三様だった。
「?…聞き取れなかったのか?それとも、理解できなかったのか?
なら…もっと具体的に言おうか?俺の『ピー』をヴィレッタの『ピピー』に捻じ込んで種(パンッ!)…ぐはっ」
乾いた音が響く。放送禁止用語を垂れ流す先生にヴィレちゃんが張り手を喰らわせたのだ。
「い、痛いな…!何すんだよっ!」
「黙んなさい!恥かしいわね!大人の時間には未だ早いのよっ!!」
「否定するのか!?あ、あんなに愛し合った仲なのに…」
「そうじゃなくて!……そこまで直接的に言わなくたって…皆分かってるわよ…」
テンパり過ぎて脳汁が駄々漏れなのだろう。プリスケン兄妹のテンションは普段からは信じられない程高かった。
「あー…お前達の関係については良く分かった。だがな…イングラム」
「む…」
全てを受け止め、悟った様な顔でライはイングラムを見ていた。だが、その視線には未だに疑念が渦巻いている。
「まさか…無理矢理ではないだろうな?」
「おいおい。俺は女を抱く時のルールは心得ている。
若しそうだったら、それは正常な恋愛ではないし、ヴィレッタも此処には居ない。…そうだよな」
「ええ。まぁ、私達のソレは既に真っ当とは言えないものだけど……優しかった、わよ?
…尤も、最初のはある意味で無理矢理臭かったけど、セーフね。法に触れる遺憾なモノでは決して無かったわ」
その辺りは胸を張ってきっちり言えるモノだ。イングラムにもヴィレッタにも疚しい部分は有りはしない。
強制猥褻や強姦の類ではない完全な和姦だ。それだけは法的に問題無い。
「貴方達…それで、良いの?…家族なんでしょう?それなのに…」
アヤは一般的な人間が持つ社会規範を以って二人に立ち塞がった。ある意味、最も厄介な社会的な通念が目の前に具現する。
「それなのに…何だ?まぁ…妹と言うか、何と言うか…それだけだな。俺は気にしない。ヴィレッタも既に承知している事だ」
「言いたい事は判るわ。どれだけ近親姦の正当性を説こうとも、そんなモノ…所詮は少数意見。
圧倒的多数の正論の前に握り潰されて異端の烙印を押されるのオチよ。でも…」
迷い無くヴィレッタはイングラムの手を取り、自分の手をその上に重ねた。
「私は…この男が良いの。これ以上の理由って、要るの?」
「・・・」
その清々しいヴィレッタの顔にアヤは言葉を忘れてしまった様に黙るしかなかった。
理屈じゃない。そんな諦めにも似た考えがアヤの頭を占めた。
「フ…ハ、ハッ…ハハハ!…言うじゃないか、ヴィレッタ」
「あん!」
そんなヴィレッタの行動が嬉しかったのか、イングラムはヴィレッタの肩を攫って抱き寄せた。
衆人環視は承知の上。抵抗などは無い。寧ろ、彼女も嬉しそうだった。
「結局はマッチングの問題なんじゃないのか?後付なんぞは幾らでも出来る。
…俺はこの女に捕まった。それが真実だよ。そこに…血縁とかそんな些細なモノは挟まないで欲しいんだが…?」
だが、どの道それが絡んでくる事を二人は知っている。例外は無い。
だが、それを承知で歩む道だ。進路変更の必要は無い。二人はそう決めていたのだ。

「それで…何か質問はあるかしら?」
「「「ありません」」」
「結構。理解が早くて助かる。…他にも色々とカミングアウトしたい事があるが、それは追々な」
昼間から乳繰り合う馬鹿二人にかける言葉は残念ながら今の三人には無い。
「なあ、俺達は…変態、か?」
「知らない。…極めてみる?」
変態か否か。それについては議論の余地があるが、確かな事は二人共もう修理不可能なほどに壊れてしまっていると言う事だ。
少なくとも、周りはそう思っているだろう。
「……面白そうだな」
「……そうね」
だが、プリスケン兄妹はもうその事について疑問は持っていない。そんな余計なものを持っていては歩みが止まってしまうのだから。

「ちょっと良いか?」
「何だ?」「何?」
リュウセイが少し戸惑った顔で兄妹を見ていた。
「まあ…お前等がそれで良いってんなら、俺は何も言わねぇ。
そんなの人それぞれだし、血縁ってだけで…あ、愛し合う二人の仲を裂くって言うのも前時代的だしな。
あー…でもさ」
「何だ?気になるな…まだ何かあるのか?」
ゴクリ。リュウセイは口腔に溜まった唾を飲みその言葉を言った。

「お前等さ……あのオペレーター四人衆はどうすんだ?」

「「は?」」
聞き慣れない単語だ。一体何を指しているのか。イングラムもヴィレッタも直ぐには分からなかった。
「む…」
イングラムは懐から取り出した煙草を咥え、禁煙である食堂内で堂々と喫煙を開始した。
モクモク煙が昇り、スプリンクラーが作動する危険がある中で彼は深呼吸してから煙を吐いた。そして一言。
「…………忘れてた」
「忘れるな。お前の追っ掛けだぞ」
ライは即座に突っ込んだ。だが、そんなツッコミでは効果が無い奴が居た。
「それは………誰?」
「ちょっとちょっと幾ら何でも薄情でしょう!グランドバースの記録室に居たでしょうが!
ブルックリン=ラックフィールド伍長(以下略)が」
どうやらヴィレッタの頭からは彼等の事が完全に抜け落ちていたらしい。
アヤが声を荒げたが、ヴィレッタの頭には彼等の顔は浮かんでは来なかった。
……両者共に大したタマだ。
何気にもてるプリスケン兄妹の前途は多難らしい。障害も数多いだろう。それを乗り越えた先に恋路は成就するのか?
ある意味…ギア・オブ・ディスティニー後のあの場面が非常に楽しみである。

Mission accomplished.
And……to be continued?

獲得アイテム…子供達の声援×5、エリクチャージ(夜用)×3、う゛ぃれったのぱんつ


[ 此贴被闇の皇女在2006-08-08 19:06重新编辑 ]


デミトリ「また風の中でお会いしましたね。
私から与えた若い体がお気に召しますか?」

ゲニ子「いえ…もとの体にもどさせていただきますよ、
ダークストーカー!」

[2 楼] | Posted:2006-03-29 14:09| 顶端
文森特

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冥界の染色体(II)游戏王国的浪人(I)海蓝之钻(II)
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我记得是NGC的超越才有的赙赠,IF公司附送的动画一般都是两集。



以上が、こんなくだらないことに真剣に悩んでいた愚かな男の話である。
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正義で世界は救えない。そんなものに僕はまったく興味ない。
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如果说小鬼是为了逃避现实而妄想的话,那么大人就是为了和现实战斗而妄想的!一个出色的大人就是一名出色的战士!
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依旧非常喜欢的——
我ら皆、銀の車輪の下に
[3 楼] | Posted:2006-03-30 13:50| 顶端
司马亮



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.....这东西谁买过?

 
[4 楼] | Posted:2006-03-30 17:12| 顶端

火花天龙剑 -> 创意的永无乡(IF 作品区)




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